見出し画像

なぜ不登校児童に弁証法が必要なのか

noteで告知するのを忘れていましたが、amazonより
なぜ不登校児童に好きなことだけさせてはいけないのか」を出版しました。

私の基本的な考えが書かれていますので、
ご家族にうまく説明しづらいと悩まれる方、どうぞご活用下さい。
kindle unlimitedで無料で読めます。



子どもが「共感できない人にならないだろうか」「回避的なままだったらどうしよう」「指摘されることを極端に嫌がるけど、このまま大人になったら・・・」

といった保護者の方の不安。

そうした皆さんがイメージする「困った大人」というのは、
パーソナリティ障害の人たちを指すと思います。


パーソナリティ障害とは、考え方や行動が、その人が属する文化から大きくかけ離れており、柔軟性のなさがあらゆる場面でみられ、感情制御や対人関係の問題でトラブルを生じることが長期にわたってみられる障害のことです。

その内訳には、懐疑性、シゾイド、統合失調型、反社会性、境界性、演技性、自己愛性、回避性、依存性、強迫性があります。

パーソナリティ障害については、川谷が詳しく書いていますので、こちらもどうぞご覧下さい。


パーソナリティ障害の人々は、
人と関わる中で生じる空虚感や無力感などの情緒を自分で抱えられずに、
周囲の人への暴言暴力、物の破壊、自傷行為、解離などとして出してしまう症状がみられます。

また、この情緒を抱えられない人は、偽りの自己を持つようになってしまいます。

本音を言って人と同じ気持ちになれない悲しみを抱えられないので、
相手に合わせた偽りの自己として、人と関わるようになるのです。

前に記事でも取り上げた能動性を失った状態です。

パーソナリティ障害は、通常18歳以上の人を対象に診断されるため、
小児期では診断がなされません。

小児期に人は様々な経験を通して悩むことで、感情制御や対人関係の様式を含むパーソナリティが発達します。

ですが、不登校が長期化し、人と関わることが減ってきてしまうと、
ますます人との違いを感じて苦しいので回避するという状態が加速し、
パーソナリティの発達が停滞してしまうことがあります。


そこで、この情緒を抱える力を育てるために有効な手法が「弁証法」です。

不登校児童の「行く」「行かない」のどちらかに割り切るのではなく、両方で悩み、両者のメリットデメリットを踏まえて、より高次元の解決策を考えるというのが弁証法です。


弁証法は、エビデンスとしては、境界型パーソナリティ障害の治療として、有効性が示されています。


弁証法で葛藤を抱える力を育てることと、そのために周囲がその子の行動を良し悪しで裁かずに抱えるということが、パーソナリティ障害の予防として大切だと考えています。


著書「なぜ不登校児童に好きなことだけさせてはいけないのか」は、スピノザの理論をわかりやすく伝えることを1番の目的にしたため、不登校児童の学校に「行く」「行かない」に対して、弁証法を使う、ということを書いたものの、その理由まで触れていませんでしたので、補足として、今回述べさせて頂きました。


10月7日に2作目を出版する予定です。

今回は、不登校の子を支える姿勢について述べましたが、2作目は、親御さんからのリクエストが多かった学習方法についての話を書きました。

学習のコツといえば、良書は沢山ありますので、私は、勉強しづらい子をどう支えるか、という点と、その子の大変さを理解するためのお話を書きました。
また、前回は触れなかった親御さんに伝えたいことも書いていますので、
勉強の話というより、前回の続きとして読んでもらえたらと思います。

上記の話も盛り込んでいて、1作目よりかなり読み応えがあります。


お役に立てたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?