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ヒデ(Hide)さんの闘病記です。
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2022年7月の記事一覧

闘病記(36)  回復期病棟のお風呂事情

闘病記(36) 回復期病棟のお風呂事情

 
「お風呂は1日おきで、機械浴になります。」
「はい。」
リハビリ病院に転院したとき、パンフレットかプリントのような物の1行を指差しながら声に出して説明をしてもらった。「はい。」とスムーズに答えはしたものの、
「機械浴って何?」
初めて耳にする言葉だった。
「機械浴ってどんなお風呂なんですか?」
と、質問できるような、親しい知り合いはまだ病室にいなかったし、自分でイメージしてみるしかなかった。「

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闘病記(35)  回復期病棟の トイレ事情

闘病記(35) 回復期病棟の トイレ事情

 回復期病棟の患者のほとんどは、車椅子で移動する。いわゆる大部屋から、食堂、風呂場等は離れた場所にあり、足や腰を痛めたり、脳出血や脳梗塞で歩けないという人たちにとって車椅子での移動は必須だった。そして、トイレもまた離れた場所にあった。(もちろん部屋によっては、近い場所になる人もいたが、それでも1人で移動する事はできず看護師さんや介護士さんとともに車椅子で移動した。)
 自分がトイレを使ったのは、最

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闘病記(34)  じゃんけんおじいちゃん。

闘病記(34) じゃんけんおじいちゃん。

 
 
 ベッド右側の窓から差し込む朝日と、左耳から聞こえる柔らかな笑い声で目が覚めた。他の患者を起こすまいと言う配慮からであろう、笑い声は抑えられてはいたが、そこにいる誰もがお腹を抱えて笑っているのが分かった。起床の時刻を知らせ、着替えの手伝いなどをするためにやってきた看護師や介護師の皆さんだった。
 笑い声の合間に、小さいながらゆっくりはっきりとした声が聞こえてきた。
「〇〇さん、じゃあ行くよ

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闘病記(33)バナナ は どうする ?    ふりかけ は ?

闘病記(33)バナナ は どうする ? ふりかけ は ?

 お年を召した多くの方々が、車椅子に乗り壁際に1列に整列をしている様は壮観だ。キラリと光る車いすの金属部分と、虚空を見つめるかのような(実は眠いだけかもしれないが) 視線が相まって、実に厳しい人生を乗り越えてきた人々の集まりのようなオーラを放っている。
 そんな人たちの中でまだ若造の自分は、聞こえるか聞こえないか位の声で
「おはようございまーす。」と挨拶をしながら、列の末尾に並ぶ。こうして毎日7:

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闘病記(32)  轟左箸男塾

闘病記(32) 轟左箸男塾

前回のテキストの終盤で、「ここにきて、自分でもちょっと信じられないような根性を見せることになる。」と書いた。いや、書いてしまった。反省。振り返れば自分の根性の大きさはひいき目に見てミジンコレベル。勢い余ってしまいました。
 代わりにと言うわけではないが、今回のテキストのタイトルは根性が入った(ように見える)タイトルをつけてみた。読み方は人それぞれと言うことで。
 さて、自分が左手での箸使い上達のた

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