部屋 第8話
その扉はシングルベッドいっぱいの大きさだった。
おれはこの扉の上に寝ていたのだ。
金庫のようなその扉の右端にはタッチパネル式の数字が並んでいた。
おそらくその数字を押して、解錠することができるのだろう。
この扉を発見したことで、おれはとても前進したような気がした。
さっきまで、この部屋には何のヒントも無かったのだ。
ヒントはとても身近な場所にあるものだ。
マットレスをめくったら、そこに扉があり、おそらくこれを開けることができれば、外に出られるだろう。
おれはふと思って、ベッドの下を見た。
ベッドは木製の四本のフレームに支えられている。
その間は空白である。
扉が外に通じているのであれば、ベッドの下は空白で無いはずだ。
扉の先には何もないのだろうか。
「とにかく扉を開けよう」
おれは思い付く数字を入力していった。
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