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論文は誰が審査するのか?~査読の仕組み~

最近、論文の引用などがニュースなどでも増えてきました。
その中で、「査読」という単語を聞かれたことがある方も、いらっしゃるかもしれません。では、査読とは一体どういったものなのでしょうか?

今回の記事では、査読という観点を中心に、論文を出版していく仕組みを紹介したいと思います。

査読とは?

まず、査読という仕組みについて簡単に紹介していきます。
Wikipediaを見ると、以下のような説明がされています。

査読(さどく、英: peer review、ピア・レビュー)とは、学術雑誌に投稿された論文を、その分野を専門とする研究者が読んで内容の妥当性などをチェックし、掲載するか否かの判断材料にする評価や検証のことである(※1)

マーケティングにおいても、日本語・英語かかわらず様々な学術雑誌が存在します。そうした学術雑誌に投稿された論文に対して、内容や質を審査することを「査読」と言います。

論文執筆者の目線で言うと、論文を書く→投稿する学術雑誌を決定する→論文を投稿して査読を受けるといった手順を踏むことになります。

多くの場合、査読プロセスにおいて、一発OKということはありません。
審査員から何かしらの指摘を受け、論文を修正する必要が出てきます。この修正作業を、「リバイス(revise)」と呼んだりもします。

すなわち、論文を投稿して査読してもらう→結果を踏まえて修正する→再度査読してもらう→再度修正する、といったループを、査読者が納得するまで繰り返していきます。

こうしたこともあり、一つの学術論文が掲載されるまで、数年かかることもざらにあります。

当然のことですが、査読者が納得しなければ、論文の掲載が認められません。査読プロセスにおいて、論文の掲載が却下されることを、「リジェクト(reject)」と呼びます。

リジェクトは、論文を投稿して一発目にされることもあれば、何回か修正した後に突き付けられることもあります。

査読担当者は誰?

基本的に、査読を担当する人は、同じ分野に所属している研究者になります。私の論文であれば、マーケティングや消費者行動論といった分野の研究者の方が、査読を担当することになります。

基本的には、論文投稿者は「誰が査読をするか」といったことは分からず、査読者も「誰の論文か」といったことは分からないようになっています。

ただし、ミスマッチを避けるためか、論文を投稿する際、査読をしてほしい研究者のリストの提出を求める学術雑誌もちらほら見ます。提案通りに査読者が選定されているかは、分かりませんが・・・

マーケティングの論文では、多くの場合、2~3人で査読をすることが多いでしょうか。この辺りは、分野によって違いがあるかもしれません。

査読に通った・落ちた後は?

では、査読に通った後・落ちた後はそれぞれどうなるのでしょうか。

まず、査読に通った場合、論文が学術雑誌に掲載されます。
基本的に、学術雑誌を出版している会社が、綺麗なレイアウトに整えてくれるため、最終稿で細かな間違いなどがないかを確認して、出版されることになります。

もし査読に落ちてしまった場合、違う投稿先を見つけていきます。
落ちた理由も踏まえつつ、異なる雑誌に投稿して、また査読プロセスに入っていく・・・というのが一例かと思います。

リジェクトは精神的に辛い部分がありますが、切り替えて頑張るしかありません。

以上、査読という仕組みに関する紹介でした。
もしかすると、分野によって多少の違いはあるかもしれませんが、大まかな流れ・内容は同じだと思います。

また別の記事で、査読者とのやりとりの話なども紹介するかもしれません。

※1: Wikipediaより



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