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NOと言える日本人か? (旅の適性チェック・その2)


さてさて前回に引き続き、「放浪の旅に、向いているか」「自分の弱点はどこか」を自己診断していこう。


【3】ここ大事。「断れない人」 

激しいアタックや押しの強さにどうも弱い、という人。そんな人が海外の荒波でやっていけるとお思いですか? 
第一印象はいい。そんな物腰柔らかな、優しげな人。だが、その二文字を取って「優柔不断」と人は言う。はい、あなた。断れない人じゃなくって!?

街のキャッチセールスに導かれ、そんなつもりもなかったのに何かの契約を交わしたことのある人。たとえば、英会話のCDセットやエステの契約。ヒロ・ヤマガタとかラッセンの絵とか……(バブルか。知らないかみんな)。
あるいは、話を聞いていたらそれはネズミ講や宗教の勧誘だったりして、あらあら、うやむやのまま講演会にも参加。なんだか事実上入信(入会)してしまった人も。
そこまででないとしても、行きたくない合コンや飲み会に、ついついいつも顔を出してしまう人。委員や連絡係などの役職を、やりたくもないのにいっつも押し付けられてしまう人。ボスキャラにいいように用事を頼まれている人。
そんな人たちが、この主張の強い海外でノーと言える日本人になれるだろうか!? 答えはノー!

観光地ともなると、もちろん生きる手段なのだからして、現地の客引きはかなり巧みだ。きちんと断れない人は、相手からすれば理想のカモ。特に日本人。金(きん)のカモ。
ボッタクラれて何か高価なものを買わされるぐらいならまだいいけれど、あれよあれよと言う間にヤバいクスリを勧められたり、「いいところがあるヨ、安いヨ、コッチヨ〜」と変な場所に連れて行かれて身の危険に合わないとも限らない。

つい断る労力を惜しんで「まぁ、じゃあ、時間もあるしちょっとだけ……」だとか、「断ると、なんか気を悪くするかな……」なんて、人類みな兄弟な気持ちで応じるのがトラブルの最初の一歩。
そうなのだ。君は優しさで、しかも国際交流のつもりで付き合ったとしても、相手はそれをただの「隙」と見なすだけなのだ。客引きたちは二国間の架け橋になりたいわけではなく、少しでも多くのお金を稼ぎたいだけ。
日本のイメージが悪くなったっていい。そんなものは一向に構わない。君は親善大使でもない。その気がないのなら、気にせず「いいえ」を突きつけてほしい。

旅で求められるような強靭なココロを持つ人材は、美容師さんがノリノリで提案してきた髪型を「それはいいです」と一刀両断できる人。あるいはカットが終わって、後ろ頭を合わせ鏡で得意気に見せられた時点で、「こことそこをカットし直してください」だとか「カラーの色が思っていたのとは違います」と泣き寝入りせずに再注文ができる人。
それぐらいの強い意思表示ができなければいけません。ぜひともなりましょう。

さらに色恋沙汰に弱い人も要注意だ。
敵は見るからに目つきの悪い、金のなさそうな怪しげな人だけではない。優しくハンサムな異国人を送り込んでくることもあるし、感じのいい爽やかな美人だって犯罪グループの片棒だってこともあるのだ。
胸に手を当てて過去の恋愛遍歴を振り返ってみよう。悪い男や女に引っかかったことはない? 好きでもないのにズルズルと付き合うことになった人は?

それほど話したわけでもないのに、イキナリ誰かが「あなたのことをもっと知りたい」とか「フレンド、フレンド」とか言い寄ってきたり、「ビューティフルだ……」だの「クール……」だの、「ウチの国ではない魅力がある。君は不思議な人だ……」ぐらいの、喉仏が溶けるような台詞を平気で言ってのけるのだ(マジで)。

そこで「やっぱり! 外国人には私の魅力がわかるのか!」と膝を打ったり、「外国では挨拶程度にこれぐらいボディタッチをするものなのかな」とボンヤリ受け止めたり、「そもそも旅先での甘いロマンスを期待していないわけでもないよね〜」と頭の片隅の妄想を消さないで相手に話を合わせていると、もう敵の術中にはまったようなものだ。
相手にとっては、ウブで意思表示が曖昧な日本人は、ひと思いに捻り潰せるかわいい小鳥ちゃんなのである。

特に女性は気を張ってほしい。おかしい、アヤシイと思った時点ですぐに断らないと、後で大変悲しいことになる。「この人は本当に純粋に、珍しい日本人である私とお友達になりたいだけなのかもしれない」とか、「なんかいい人そうだし強く断るとかわいそうだな」などと躊躇していると、グイグイ、グイグイと間合いを詰められてしまう。
そこは外国であり、君は完全にアウェイだ。面倒なことになってからでは、手を打つのも難しい。
わずかなロマンスの可能性についつい賭けに出ないで、即断しよう。
たとえ自分で設定した婚期のリミットが迫っていようが、ハーフを産みたい願望なんかが心のどこかにあろうが、だ。

私は旅先のロマンスを根っからは否定はしないが、「そうそうウマイ話はない」と言いたい。ラブ・ストーリーは突然に、街中では発生しない。もちろん、絶対にないわけではないが、日本で起きないことが外国でなら頻繁に起きるわけではない。ラブに発展するよりも、事件に発展する確率のほうがずっと高い。現にたくさん被害にあっている人を見聞きしている。
悲しいことだが「異教徒の女には何をしてもいい」と言いのけた奴もいた(サイテー)。そういうメンタルの人もいるのだ。

相手は金が目的かもしれないし、体が目的かもしれない。
甘い誘いは、違和感を持った時点で即座に「NO!」。ヒラリー=クリントンの生き霊でも乗り移った勢いで、声高に叫ばなければならない。

特に注意すべき瞬間は、
 ・場所を変えようという誘い:「いい場所を知ってるから一緒に行こうよ」など
 ・飲食物を一緒に取る誘い:「美味しい店で一緒に飲もうよ」など。

その行った先の店は彼の息がかかっているかもしれない。お店の食事だからといって安心して口にするが、もしかすると睡眠薬が入っていることだって否定できない。
敵はそれを生業としていて、日々鍛錬されているだろう見事なワザを、手を替え品を替え展開してくるのだ。

本当に君と友だちになりたいのなら、君が断ったとしても強引にはしてこないはずなのに、ナゼかしつこく誘ってくる。そこも見極めの一つのポイントだ。
本当に友だちになるのなら、こちらから会う場所を指定したり、家には決して入らないなどのルールをきっぱりと明言していこう。イニシアチブはこちらが取るのが肝要だ。そして自分で引いた一線は、決して超えないこと。自信がなかったりなんだか不安があるようなら、今回は友だちになるのは早々に諦めよう。

もっとも悪い奴らはは、その国の現地人だけではない。
「同じ旅行者同士、仲良くしよう」と旅人を装った外国人が、ひっかけに来たこともあった。
さらには本当にひどい話だが、人に雇われた日本人が、同胞の我々を騙しにくることだってある。旅先で出会う日本人というのは、ついつい心許してしまうもの。そこに付け込もうという作戦だ。

常に心のどこかで警戒心を持つこと。
優しい言葉がけや微笑み、立ち話には喜んでこちらも受け取るけれど、それ以上踏み込まれた場合はきちんと「断る」ことが大事だ。


( くぅぅ、世知辛い! 気を引き締めつつ、その3へ )


ここまで読んでくれただけで、うれしいです! ありがとうございました❤️