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蒼い真紅

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私の【自伝】です。 3年ほど前に一度私の半生を綴っておりました。 ▶︎読んでいるだけで勇気がもらえた ▶︎こんな自分でも生きてていいんだ 僭越ながらそんなお声を頂きましたので、…
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2020年8月の記事一覧

25.神様、お願い!嘘だと言ってください

25.神様、お願い!嘘だと言ってください

プロローグから続いています。

義父の失踪宣告、弟の親権者の変更の手続きを
裁判所で行うことになった。
突然始まった学校関係諸々の支払いで代理人を立てる余裕は無く、
申立人を母として、書類すべてを私が用意することになった。

裁判所へ出向かう当日。
私は、裁判所という場所に行くこと自体初めてだった弟と母を連れて行こうとしたが、私の体調が優れない。
早く手続きを終わらせたかった。
すべてを終わらせた

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24.失踪

24.失踪

プロローグから続いています。

当時の優先順位は
結婚生活、大学生活、仕事の順だったように記憶している。
相変わらず安定剤を飲みながら
すべてを満遍なくこなしていた。
食事も毎食手作りにこだわり
宿題の一つも忘れず、
仕事にもできるだけ支障を来たさないように通い続ける。

普通の家庭というものを模索しながらも
映画やドラマくらいしかお手本がないのだから、
知る限りのすべてを発揮するのみだ。

そん

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23.こんな私が夢を描いていいのだろうか

23.こんな私が夢を描いていいのだろうか

プロローグから続いています。

事務所には大学に受かってから通うことを報告した。
受けることはなんとなしに伝えていたが
詳細は事後報告だったから、
弁護士は苦虫をつぶしたような表情をしていた。

なにせ受かったところは夜間学部ではなく
昼間学部だったからだ。
だから、正社員からパートタイムに切り替えてもらったり
手続きをしてもらったり、
今後の働き方もこの時にそそくさと決めざるを得なかった。

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22.何かを変えなければ…

22.何かを変えなければ…

プロローグから続いています。

仕事は続けていた。
調子のいい時期もある。
それでも、以前のような何も考えずに行動するという感覚とは別物になっていた。

なんとかしなきゃいけない。。

私は心療内科を変えることにした。
ネットで様々な口コミを読み、
音楽療法もやっている心療内科に行くことにした。
口コミで評判なだけあって、
予約も取り辛く待ち時間も長い。
それでも良かった。
「今度こそは!」という

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21.壊れ始める心

21.壊れ始める心

プロローグから続いています。

日々何が起ころうと
変わらず太陽が昇り陽が落ちる。
私にどんな感情が芽生えようと打ち消そうと
淡々と時が刻まれていく。

同じように朝起きて
同じように仕事へ行き
同じように友達に会い同じように彼と暮らす。

日常というのはそういうものだ。

この日も同じように朝起きて
同じように電車に乗って同じように事務所へ向かった。

いつもの通勤電車。

ぎゅうぎゅう詰めの車

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20.父親の居ないファザコン

20.父親の居ないファザコン

プロローグから続いています。

義父に頼る人がいないことは知っていた。
でも、こうするしかなかった。
私は義父を見捨てたのだ。
心が痛い。
私は鬼だ。
心が痛い。
弟はどうなるというのか。

でも、どうにか弟だけには連絡をとっていきたい。
何かあったら…
考えたくも無かった。
私は一つ新しい携帯電話を購入し横浜へ向かった。
義父の目を盗んで弟に会いに行ったのだ。

弟はまだ小学生。
きっと何も分か

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19.義父を殺した日

19.義父を殺した日

プロローグから続いています。

仕事もプライベートも充実していた。
毎日が楽しく過去がどうとか考えることが少なくなった。
それでも時折
母と共に弟宛にお肉やお菓子を送っていた。
誕生日やクリスマスになればプレゼントを送ることもあった。

すべてが上手くいっていた。
贅沢言えば色々あるが
すべてが良い方向に向かっているように思えてた。

弟に会った余韻が覚めやらぬ頃
事務所に一本の電話が入った。

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18.安堵との出逢い

18.安堵との出逢い

プロローグから続いています。

これまでにも増して、仕事に励むようになっていった。
そして仕事は大変ながらも充実した日々を過ごしていた。
事務所には新しい人も入り、
何か流れが変わっていくようにも感じていた。
そして新しく入った同僚とはすぐに意気投合し、
仕事帰りに事務所近くのアイリッシュパブへ二人で行くのが日課となっていく。

新宿西口に位置するそのパブには、
当時、旅行者や日本で働く様々な国の

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17.6年ぶりの再会

17.6年ぶりの再会

プロローグから続いています。

横浜にあるホテルのロビーが待ち合わせ場所だった。
義父は少し歳を取っていたが
依然とさほど変わらない風貌、
見覚えのあるスーツを身に纏っていた。

麻貴、大きくなったね。
そんな義父の言葉に私は一瞬ドキッとした。
まるで何かのテレビで見たような、
実の父から久しぶりに会う娘に傾けるような
優しい眼差しを感じたからだ。

小学生になった弟に記憶があったのか定かではない

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16.やっと…

16.やっと…

プロローグから続いています。

再び私とは母、祖父母宅へ戻った。
引っ越してから一年も経たないうちに
祖母が他界したからだ。
入院してから2週間での急死だった。
まだ59歳。
突然の別れに何も出来ずにいた。

祖母は日ごろから小奇麗にしていた人で
入院の数日前に病気とは知らずにたまたま訪れた私に、
美容院で髪の毛をセットしたいから連れて行って欲しい
と布団で横になりながら言われたのを思い出す。

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15.目線の先に私は居ない

15.目線の先に私は居ない

プロローグから続いています。

タクシーに飛び乗った私は
当時付き合っていた彼の家に行った。
彼の家と言っても相手も高校生。
当然ながら親兄弟と一緒に住んでいる。
幼馴染の彼だったから、
彼のお母さんも昔からよく知る人だった。
私は必死に頼み込み、
「お母さんには連絡する」という条件で
泊まらせてもらうことになった。

その時何を話したのだろう。
何を考え何をしていたのだろう。
あとは覚えていない

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14.なぜ…

14.なぜ…

プロローグより続いています。

高校生活とアルバイトで
忙しかったが充実していた。
友達と遊びに行けるようにもなり
たまには渋谷に洋服を買いに行く。
彼もできて、
普通の高校生活を満喫するようになっていった。

でも、家に帰るといつもの怒号。
その種類は昔のものとは変わっていた。
そして私も幼い頃のように布団を被りはしなくなったが
居場所が無いように感じていた。

祖父母が好きだった。
もちろん、

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13.誰にも邪魔はさせない

13.誰にも邪魔はさせない

プロローグから続いています。

単位制の高校は
毎日クラスメイトが教室に集まるようなことはなかった。
月に数回ほど
職員室ではなく担任の先生の部屋に集まり
ホームルームをするだけというもの。

クラスメイトは現役の高校一年生が半数
別の高校を辞めて来た人が半数といった具合だった。
それぞれ自己紹介はしたものの、
お互い過去の話を根掘り葉掘りすることはない。
みんなそれぞれ「何か」があってここに来た

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12.自分の居場所を自分で勝ち取る

12.自分の居場所を自分で勝ち取る

プロローグより続いています。

季節は1月。
人に構っている余裕なんて無かった。

母や弟の様子も心配だったが、
自分の居場所を作ることで精一杯な私がいた。

その後私と母は家に戻れず、
着の身着のままで祖父母宅に身を寄せた。
でも、以前のような幸せな4人家族は
もうそこにはなかった。
母の怪我が治ってくると
祖父母の怒りは母に向かった。
あれだけ結婚を反対したのに!
そんな戻れない過去や様々な不

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