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なぜ誘導的に成長させてはいけないのか?思いやりから関わるコーチング

基本的にはコーチングの本ではありますが、そもそも子どもや社会人などへの教育も含めた、対人支援全般に関する問題提起でもあります。

まずひとつのアプローチを「誘導型のコーチング」としています。そこでは「外部からの期待への対応」のため、「迅速な問題解決」目指し、「不安や義務感といった防衛的反応」を引き起こすことで相手の行動変容を引き起こします。ところがこれはストレス反応を引き出し変化が持続しません。

一方で「思いやりのコーチング」では、「自分自身のありたい姿の体現」のため、「自ら望む姿への持続的な変化や成長」を目指し、「変化や学習、コラボレーションへのオープンさ」を引き出すことで内側からの持続的成長を支援していくものです。

世の中は前者の誘導的なアプローチで大部分が満たされていないでしょうか?あらゆるシーンで絶対的に誘導的であることがNGではないですが、乱用されてしまうことで閉塞感のある世の中を生み出してしまっているなーと思います。

そして「他者への成長支援」という文脈でのこの本は、「教育・支援される側のベネフィット」について書かれています。一方でそれと同時に、「教育・支援する側にかけられた呪縛」についても踏み込んだ内容にもなっているのではないかと感じます。

もし教育者が誘導型のアプローチに固執する場合、その人自身が他者からの誘導型アプローチに囚われている可能性があると私は考えています。自分が意識的にせよ無意識的にせよ認知する世界観でしか、他者に関われないですからね。

本の中身としては、思いやりのコーチングによって刺激されるポジティブ感情が有効に機能する研究事例であったり、より実践的な活用方法について書かれています。

読書感想文は久々ですが…編集者の方とお話をして、なぜこの本が世の中に必要なのか、すごく感じるところがあったので書いてみました。

ちなみに…熊本行きの飛行機に置いてきてしまったのですが、無事に帰りの空港の搭乗口で帰ってきたので読み切ることができました。良い本は無くしても手元に帰ってくるんです!


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