素晴らしきこの世界【掌編小説】
今日、俺は二十歳の誕生日を迎えた。昨日、同じ大学に通う俺の恋人がスマホに動画を送信してきた。その動画には彼女の姿が映っていた。彼女の隣には俺の知らない男がいた。知らない男と彼女は俺がよく知る彼女の家のベッドに二人で座っていた。男がこちらを見て微笑んだような気がした。長い動画だった。俺は最後まで見ていた。彼女は延々と男の下にいた。男の背中に腕を回し何かを探すようにしながらやがて動きを止めた。聞いたことのない声だった。少なくとも俺は聞いたことがなかった。低く唸るその声はいつもの彼