まいたけ

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最近の記事

【禍話リライト】引き寄せる村

 とある廃墟にまつわる話。  学生時代の仲間内で、一人だけずるずると就職が決まらない奴が居たそうだ。他の面子は夏ぐらいには就職が決まり、一番へらへらしている奴などは春先に真っ先に決まっていたりする中だった事もあり、傍目からも焦りが見て取れた。どうしたものかと心配していると、卒業間際にようやく就職が決まって、これで全員無事に社会人になれると卒業したという。  その年の夏の事。  全員就職先が地元だったという事もあり、久しぶりに皆でまた集まってどこかに行こうかという話が持ち

    • 【禍話リライト】とりかえしがつかない家

       よくある都市伝説の一つに、ある土地に行くと謎の村があり侵入した体験者が村人から追いかけられる、というパターンのものがある。大抵の場合、そもそもそのような土地自体が元から存在しておらず、ゼロから作り上げた創作怪談であることが多い。  あるいは逆に、普通に生活している人が居る集落で、肝試しに来たヤンキーを注意しようとしたのがそれに尾鰭が付いた、というのが実際のところの話なのだと思われる、のだが。 「そういう事だったらどれだけ良かった事か…と今でも思います」 ───────

      • 【禍話リライト】下がっている鏡

         東京の話だそうだ。  ある公園の男子トイレの個室に、鏡がぶら下がっている事があるという。  時刻は夜、それも比較的早い夜8時かそのくらいの時間帯。  適当な紐を鏡に付けて、壁に打ち付けた釘で簡易にぶら下げられている。  手洗い場には鏡がちゃんと据え付けてあるため、その代わりに取り付けたという風でもない。  下がっている鏡の種類も多様で、大きいものも手鏡サイズのものもあるのだそうだ。  この鏡は、ぶら下げられてから2日ぐらい経ったぐらいに、いつの間にか撤去されるそうだ。

        • 【禍話リライト】おかえりください

           こっくりさんの怖い話を集めているというKくんが聞き集めてきた、「こっくりさんに囚われてる人」の話。  最初にそういう前振りを聞いた時は、てっきり学生の時から今に至るまで「降霊術としてのこっくりさん」を遊んでいるという事かと思って聞くと、そうではないという。 「違うんですよ、『お化けの方のこっくりさん』に囚われてるんです」  こっくりさんの名前はもう聞かなくなって久しいが、似たような儀式/遊びは名前を変えて細々とオカルト本や占い本に受け継がれていると聞く。  ならば、そ

        【禍話リライト】引き寄せる村

          【禍話リライト】水曜の回覧板

           今現在40代のAさんが大学生だった時に、変わったアルバイトをしたことがあるという。  Aさんは田舎の方の出で、大学進学を機に初めて都会に出て一人暮らしを始めることになった。そういった新入生の補助のため、大学から住まい探しの手助けの案内もあったそうなのだが、Aさんは少しばかりの茶目っ気をだして自分で家を探すことにしたという。  すると、ほどほどに古びた学生向けのアパートを運よく見付けることができたという。大家さんも結構さっぱりとした性格のおばさんで、Aさんはすぐに打ち解け

          【禍話リライト】水曜の回覧板

          【禍話リライト】だんらんの村

           禍話の常連提供者に、廃墟に泊まりに行くのが趣味の甘味さんという女性がいる。これはその甘味さんが遭遇した、飴玉の話。 ───────────────  ある廃村を巡っていた時に出くわした体験談だそうだ。  甘味さんはその廃村を一人で見て回っていたのだが、途中で自分とは別個に廃墟巡りをしていたというカップルと遭遇した。甘味さんも軽く会釈をしたものの、デートな雰囲気だった二人とは一応は気を使って距離を取り、一人で少し離れた場所を見て回ることにした。  そうやって色々見てい

          【禍話リライト】だんらんの村

          【禍話リライト】つぎはぎの軽

           発端は、「シン・禍話 第二夜」(2021/03/20放送)の1:12:58~ごろの、「隙間女と窓女」についての雑談である。  禍話のメインパーソナリティ・Fear飯の二人の大学の先輩に、ジィルさんという人が居る。  事故物件に住んでおり、その家に出る女性の幽霊から好意のようなものを寄せられる、というかなり変わった体験をされている方で、禍話でも度々話題に上がる事がある。  そんなジィルさんが、「隙間女と窓女」の終わり間際に、「こんなところに居られるか!」という趣旨のコメン

          【禍話リライト】つぎはぎの軽

          【禍話リライト?】隙間女と窓女

          ※以下は「シン・禍話 第二夜」で披露された、  話の合間の雑談の書き起こしです。 ───────────────  そうそう、これは最後の禍ホームにいくまえの余談なんですけど。  前回、「青ゲットの男」話について良からぬ話、噂を吹き込むみたいな事をやりまして。  まあ、そこそこの反応があって?あれはあれで面白いって言ってくれた人も居て。  誰かから「シリーズ化ですね」って(笑)。  シリーズ化って言ったってね、そんなあらゆる都市伝説の知らないネタなんて俺知らないから!

          【禍話リライト?】隙間女と窓女

          【禍話リライト】サンタの欠片

           今は大学を卒業して就職し2年ほど経っている、Aさんという男性から聞きとった、よく分からない体験談。 *********  Aさんの学生時代に、付き合っているのだか付き合っていないのだか、微妙な距離感の女性が居たという。  たまにお互いの家に泊まりに行ったりはするものの、付き合ってるともお互い何とも言わない、そんな雰囲気の付き合いだったそうだ。  「いやーちょっと変な事があって」  その彼女が大学三年生の頃に、急にこんな話をしてきた。 「玄関に100均で買った安いサ

          【禍話リライト】サンタの欠片

          【禍話リライト】校舎のベル/ドア並べ

           不可解な話を2つ。  「あれって何だったんだろう?」となったとしても、あまり深入りしない方がいいという事も、色々とあるのかもしれない。 校舎のベル  中部地方にある学校の話だそうだ。  その学校には、使われていない校舎があった。  旧校舎という訳でもないらしく、理由はさっぱり分からないのだが、使えそうなのに何故かめったに使われず、殆ど物置同然にされていたという。  その使っていない校舎の入口に、丸椅子が設置されており、その上にベルが置かれていた。  入口にベルが置

          【禍話リライト】校舎のベル/ドア並べ

          【禍話リライト】ドレスが来た話

           2010年ごろの話。  Aさんの勤めている会社の先輩が、夏のある日に体調を崩して会社に来なくなってしまった。ちょうど仕事の繁忙期に重なっていたのだが、先輩がかなり優秀な社員だった事、そして何より、会社が非常にホワイトな職場だったという事もあり、これまでの有給を全て消化するという形で、先輩はしばらく病欠する事になった。  そして、そのまま一か月が過ぎた。  先輩はよほど大変な病気だったらしく、まだ休んでるけど大丈夫なのかな…とAさん達が心配していると、ようやく先輩が会社

          【禍話リライト】ドレスが来た話

          【禍話リライト】運ぶ音の記録

           Aさんは大学生の頃、ディスカウントショップでアルバイトをしていた。業務としては倉庫内の整理・棚卸が主なのだが、その店は飲食店からの注文が非常に多く、中々に忙しかったらしい。そのためバイトの人数もかなり多く、シフトも完全な固定制だったため、一部のバイト以外とはほとんど面識がなかった。  ある時。  バイトから帰宅して一息ついていると、上着の胸ポケットにボイスレコーダーが入っていることに気付いた。Aさんは自宅での勉強用に、大学の講義内容をボイスレコーダーに録音することが度々

          【禍話リライト】運ぶ音の記録

          【禍話リライト番外編】恋しちゃったんだ

          ※怖い話ではありません  禍話のメインパーソナリティ・Fear飯の相槌担当加藤よしきさんの、「どこかで聞き覚えのある」話。  世の中意外と適当なものである。 ───────────────  まだまだコロナ禍真っ只中の2021年の話。  加藤さんが持病の頭痛のために大きな病院に行った時のこと。  待合室で椅子に座って待っていると、結構な年の御老人と、30~40ぐらいの付き添いの男性の二人組が近くに座った。  この老人が、結構な大声で付き添いの男性に話しかけている。  

          【禍話リライト番外編】恋しちゃったんだ

          【禍話リライト】第七公園

           廃墟に泊まりに行くのが趣味というKさんの体験談。 *********  とある地域に、山の一部を切り崩して作られた団地があった。いや、山の一部だけを残して切り崩した、というのがより正確な表現かもしれない。それほど半端な部分が小山のような形で残っており、どうせなら残りの部分も切り開いてしまって団地を拡張すればいいのに、そう思う人も居たそうだ。  その山の残った部分に、神社だかなんだかの何かを祀った祭壇のような建造物があり、そこがとても気持ち悪いのだという。話を聞いたKさ

          【禍話リライト】第七公園

          【禍話リライト】パジャマの花子さん

           「正直に言うと、自分でもこの話が怖い話なのかどうか、ちょっと判別がつかないんですが…」  そう前置きして、Hさんという人が、Bさんから聞き取ったという話を教えてくれた。 ───────────────  関東地方の中学校で起きた話だそうだ。  某インスタントカメラの「写○ンです」が旅のお供だった頃というから、30年から40年ほど前の事だろうか。  当時B君の居たクラスにAさんという女の子がいて、Aさんはクラスの女子グループから苛めを受けていたという。  PTAだか何

          【禍話リライト】パジャマの花子さん

          【禍話リライト】もてなしの家

          承前  かぁなっきさんが羊羹の怖い話で悩んでいる最中、そんな事で悩んでいるとは露とも知らなかった友人が、とある話を持ち込んできた。 「いやぁ、かぁなっきさん。すっごい怖い話聞いたんですよ」 「すっごい怖い話って、自分でハードル上げちゃって大丈夫ですか?」 「いやいや、これが本当に怖いんですよ。ほら、こっちが勝手に思っているお化けのパターンってあるじゃないですか。そんなの関係ないんだなって。ストーリー上こうなるっていうお約束の展開なんてないんだなって、そう思いましたよ。すご

          【禍話リライト】もてなしの家