【禍話リライト】校舎のベル/ドア並べ

 不可解な話を2つ。

 「あれって何だったんだろう?」となったとしても、あまり深入りしない方がいいという事も、色々とあるのかもしれない。


校舎のベル

 中部地方にある学校の話だそうだ。

 その学校には、使われていない校舎があった。
 旧校舎という訳でもないらしく、理由はさっぱり分からないのだが、使えそうなのに何故かめったに使われず、殆ど物置同然にされていたという。

 その使っていない校舎の入口に、丸椅子が設置されており、その上にベルが置かれていた。
 入口にベルが置かれているなら、普通は中に常駐している人を呼びだす用途に使われると思われるのだが、先述の通りこの校舎は使われていない。

 この不思議な校舎とベルについて、入学した最初のオリエンテーションでは教師からは何も聞かされない。
 やがて昼休みになって、学校内を巡った末に不使用の校舎と丸椅子とベルを見つけるのが新入生の常だという。

 しかも、このベルを置いてある丸椅子も、雨が降ると濡れないように一時的にどかしたり、あるいは一日が終わると誰かがしまい込んでいるのか、全くと言っていいほど汚れが見られないのだそうだ。

 ある時、やんちゃな生徒が興味本位にふざけてこのベルを鳴らそうとした。

 何故か鳴らなかった。

 よくよく調べてみると、ベルが完全に固定されており、絶対に鳴らないようにされていた。
 周囲の生徒どころか鳴らした張本人すら怖がって、それ以来誰もベルに触れないまま、この学年は卒業した。

 あのベルと校舎が何だったのか、未だにさっぱりわからないままらしい。


ドア並べ

 東京のとある雑居ビルの話。

 ビル内のとあるテナントが閉鎖になったため、テナント内部の荷物を全て外に運び出して軽トラに積む、そういうバイトがあった。
 そのバイト中に急にトイレに行きたくなったのだが、あいにく作業中の階の男子トイレは壊れており、仕方なく下の階に向かうことにした。

 何事もなく用を足し終えて元の階に戻ろうとする時になって初めて、ドアが開いているテナントが目にとまった。
 開けっ放しで出かけてしまったのかな?そう思って、せっかくだし閉めてあげようとそのテナントに近づいて、ふと中を覗くと。

 今まさに閉めようとしたドアと全く同じドアが、そのテナントの床に三つ、漢字の三の字の形に並んで置かれていた。

 ん?なんで?

 不思議に思ってテナントの中をさらに見回すと、部屋の奥のホワイトボードが目に入った。

ぴったり均等に置くこと

 ホワイトボードに書かれた文字を読んだ瞬間、これはイカンとさっさとドアを閉めて元の階に戻った。

 念のため閉鎖になったテナントの持ち主に聞いてみたが、「階が違うから知らない」というばかりで、結局何だったのか今も分からないそうだ。



出典
元祖!禍話 第二十六夜(後半は猫ちゃん映画の話とかです) 12:55~


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