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Letter 〜人に優しくなれない自分が嫌い!と思っていた私へ〜

Letter
〜難しく生きていたあの頃の私へ〜


ラクに生きれる考え方があったのに、
困難な道の上を歩き続けて
疲れ果ててしまったあの頃の私。
今になって
「あ〜こう考えればよかったんだ!」
と気づくことがたくさんあります。
日常のことはもちろん、仕事、恋愛、家族。
そして病気のこと…。

冷静になると分かることも
悩みの最中にいるとなかなか難しいものです。
そして、
今はラクな生き方ができていたとしても
過去も今もおんなじ私。
また繰り返すかもしれません。

そこで、あの頃の私へ。
少し成長した未来の私から
お手紙を書くことにしました。

また、迷ってしまわないように。
もう少し、ラクに生きていけるように。

「あの頃」の私と
似た状況にいる方にも
この手紙が届くと嬉しいです。


Letter 〜人に優しくなれない自分が嫌い!〜

パン子ちゃん、最近お仕事はどうですか?
新しいチームに配属されて
責任ある仕事を任せてもらってる。
そう聞いてたけど、順調ですか?

頑張り屋さんのパン子ちゃんだから、
頑張り過ぎてないか気になって
手紙を書きました。

新しいチームのメンバーとは
楽しくやっていますか?

チームで働く楽しさって、
それぞれがサポートし合うことで
自分だけでは作り出せなかった
新しい何かが生まれたり、
1人では出来ないことが
すごいパワーで乗り越えられたり。
喜びを分かち合えることだったり。
たっくさんあるよね。

その反面、
誰か1人がパフォーマンス高く働いてたら
良いわけじゃなくて、
自分だけの頑張りだけじゃ
上手くいかないこともあるから、
目標意識の高いパン子ちゃんが
少し心配です。

それに私たちって、
どんなに仕事が上手くいってても
人間関係が上手くいってないと
心から喜べないし、
仕事自体も楽しく感じれなくなるもんね。
チームの誰か1人とでも
関係がギクシャクしちゃうと、
どっと疲れるものです。

え、そうなの?
仕事は順調だけど
人間関係が上手くいってない?
人に優しくできない?
自分の性格最悪?
どうしたの、パン子ちゃん。

心の声が
疲れてるように聞こえます。

もしかしてパン子ちゃん。
人に優しくできない自分を
責め過ぎて、
自分のことが大嫌い!
なんて思ってない?


実は私もそうでした。


昔ね、ある広告の仕事で
とっても大きな成果を出したの。
ずっと夢見てたことだったし、
そのために残業はもちろん、
家でも勉強をして
何年も何年も努力してきたからね、
結果がでた時は
本っ当に嬉しくて。

「会社の救世主」とも言われて、
今まで諦めず頑張ってきて
よかったなぁと思いました。
自分が育ててきた広告は
まるで子どもみたいに愛しかった。

そして。
それがゆえに
私がつくりあげた広告を
他の誰かに渡すことが
任せることが
嫌でした。

この広告の意図を全部
分かっているのは私だけ。
他の人にはどの部分が大事か、
どんな戦略で成果まで
導いているのかなんて分からない。
もし他の人に任せて
売り上げが落ちたら、
それこそ意味がないと思ったの。

だから、
広告を全国へ拡大していこうとなった時、
全部「私がします」「できます」
「大丈夫です」と答え、
自分で抱え込みました。

やってみると…、楽しかったの。

だって自分がつくったものが
どんどん広がっていくから。
カタチになっていくから。
もちろん、
決められた時間の中で作りあげる
苦労はあるけど、
その頃はちょっと感覚が麻痺していて。
常に頭はパンパンだったけど、
広告が完成する嬉しさに
夢中になっていました。

芸術作品を
つくってるような感覚でした。

好きなことが仕事って
時にやっかいです。
夢中になると
離れられないから。

担当のデザイナーさん達には
無理なお願いをたくさんしてきました。

私は会社の中でも
仕事に対しての情熱は人一倍で、
同じ熱量を
デザイナーさんにも求めました。  

責任感が強いというか
真面目というか、
完璧主義というか。

世の中に広告を出すということは
世の中の広告と戦うということで、
それに勝つためには
他社の人が考えるよりも
考え尽くすさないと。
限りある時間の中で
最大限の努力をして、
その中から一番良いものを
世の中に出したいと
思っていました。

だから、
「このくらい当たり前だよね」
そんなスタンスで
デザイナーさんに
無茶な要求をしていました。

だけど、なかなか期待以上の
原稿が上がってくることはなくて。
“そのくらいの案なら私も思いつく…。
本気で考えたの?
もっとプロとして
新しいものを見せて欲しい。
考え尽くしてこれなのかな。
私の伝え方が悪いのかな…。
でもこれ以上は難しいのかも。
自分で考えるか…“
と肩を落としていました。

今思えば、
デザイナーさんだって
最大限努力してくれていたと思います。
なのに、
デザイナーさんの気持ちを
勝手に決めつけていました。

しまいには、
諦めの姿勢を 
態度に出していました。
小さなため息をついては
「ありがとう。
今日は帰って大丈夫だよ。」と
つくってくれた原稿の
感想も言わず、
相手の頑張る力を
折っていました。

もちろん、
私の熱量で相手を巻き込んで
残業させるのも
申し訳ないと思ったの。
デザイナーさんと熱量が違うことは
もともと理解していたから。

それに、
当時は自分でやったほうが
良いクリエイティブができるとも
思っていました。
経験やスキルも自分のほうがあったから。
今思うと、
恥ずかしいほど高飛車だよね。

だから、
残業しても終わらない仕事を
抱えているのに
デザイナーさんの仕事も請け負い、
深夜遅くまで一人で
デザインを考えていました。

でも、
自分でやる方が納得のいくデザインが
できたのも事実でした。
考えに考え尽くした先に
誰も思いつかなかったクリエイティブの
世界が待っていて。
限界を超えた最後の最後に
「これだ!やったー!」
というデザインが出来上がるの。

次の朝には、
デザイナーさんの机に
新しいデザイン案が
置かれている状態でした。
デザイナーさんは
それを仕上げたらいいから
労力は減ったはず。

でもね、
私の気持ちは
それで満たされてたけど、
デザイナーさんは
どんな気持ちだったのかな?
と思うのです。

朝から無言の頑張りを
見せつけられて。
悔しい気持ちで
1日がスタートしてたはずです。
デザイナーさんだって
時間さえあれば
ここまでできたかもしれないもんね。

パン子ちゃんだって
もし同じことをされたら、
「私の仕事は認めてもらえないんだ…」
「私の頑張った時間はなんだったの?」
て思わない?
「最初からあなたが
納得いくデザインをつくればいい」
って思わない?

私は自分のスキルを見せつけて
驕り高ぶっていたのかもしれません。
一生懸命になりすぎて
ワンマンプレーになっていました。
チームで働く意味を忘れ、
パートナーとの関係性を
自ら悪くしていました。

先ずは何よりも
デザイナーさんの頑張りを
認めてあげなきゃ
いけなかったのにね。

作り上げてきた「モノ」より、
相手の「想い」や「好意」を
きちんと受け取って、
感謝の気持ちを
伝えなきゃいけなかったのにね。

きっとどんなに
モチベーションが高い人でも、
否定ばっかりされたら
次第に諦めの気持ちが芽生えて、
指示されたことを忠実に再現する
やらされ仕事マンに
なってしまうと思うの。

どんなに仕事が上手くいってても、
人って成果や数字だけじゃつながれない。

パン子ちゃんは
ぜひ気をつけて欲しいなと思います。


成果を出すために
スピード重視や能力重視で
その場しのぎを続けていくと、
長い目で見た時に
チーム全体としての
成長がなくなってしまうこと。

仕事としてはまだまだでも、
一緒に働いてる仲間の頑張りを
認め合うことを
忘れないでいてね。


でね、
世の中に出回りはじめた広告は
期待通りヒットしました。

でも。
私自身のガソリンは長くはもたなかったの。



続く。
Letter
 〜人に優しくなれない自分が嫌い!と思っていた私へ〜②

パン子

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