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レポート#5-1 bibu / Sweden

今回は、スウェーデン bibu Festivalの様子をレポート。

私が訪れる子どものためのフェスティバルの中ではダントツの作品数とワークショップ / セミナー数で、観れなかった作品もいくつかあり…
フリーパスを買ったので、当日券にチャレンジしつつ無理だったら元々予約していた作品を観て…と、いろいろとアレンジをしながら参加した、忙しいフェスティバルだった。


bibu Festival

主催:bibu AB
期間:2024/5/15 - 2024/5/18
会場:Helsingborgs Stadsteater / Helsingborgs stadsbibliotek / Tryckeriet, Aktivitetshuset ほか

↓フェスティバルのサイトはこちら↓

スウェーデンで隔年で開催される子どものための舞台芸術フェスティバル。
特徴としては、とにかくセミナーとワークショップが多い。
チケットは3〜6日間のチケット、2日間のチケット、1日チケットの3種類。
親子は少なかった印象。
大人だけか、保育園や幼稚園、小学校などからグループで連れてきている子どものどちらかだった。

会場について

Helsingborgs Stadsteater

劇場ホワイエを使った交流スペース

市の劇場。
本部が置かれ、作品上演の他にも交流会やセミナー、ワークショップが開催されていた。
バーやワークスペースもあり、いつでも誰かがいた。


Helsingborgs stadsbibliotek

図書館内のカフェ

公立の図書館。
カフェやいくつかのスペースが併設されており、図書館利用者とフェスティバル関係者が入り混じるのが面白い。
図書館全体を会場として使用したり、2つの小さなスペースで公演を行ったりしていた。

Tryckeriet, Aktivitetshuset

さまざまな年齢層の人々が楽しめる文化センター。
大きなホールやダンスステージのほかにも細々とした部屋がいくつもある模様。

Dunkers kulturhus, Konsertsalen


文化センター。ギャラリー、ホールなどがある。
駅の目の前、とても便利な場所にある。
子どものための公演や大人のためのイベントなど取り組みは幅広い。


さて、ここからは観劇した作品を紹介していく。
順不同。

Jag tänker på dig (I'm thinking of you)/ Johanssons pelargoner och dans (Denmark)

対象年齢:10歳以上
会場:Helsingborgs stadsbibliotek, Kulan
作品時間:60分

ヘッドフォンを使った体験型パフォーマンス。
音声を聞きながら図書館を歩き回り、図書館空間と対話するような作品だった。
市立図書館とのコラボレーションによって生まれた作品で、創作のスタート地点が「図書館をこれまでと異なる視点で捉える」ということだった模様。

スウェーデン語と英語の2種類あり、私はオールEnglish。
こういうのができるのもヘッドフォンパフォーマンスの強みだなあ。
私程度の英語力でもほとんど問題はなかったけど、おそらく1つタスクを飛ばした気がする。

図書館内部


世界共通、ダンサーが考えることは一緒なんだな…と思いながら観劇した。
2020年に創作した「おどりのなか、もやのなか」と構造はほとんど同じだった。
途中で「身体の表面が溶けていく、もっと溶けて地球の中心にたどり着く」とか言われて、本当にどこかで聞いたことある言葉だな…と思いながら体験した。

私たち観客は当然体験しているだけなのだけど、同時に振り付けられてもいるので、何も知らずにただ偶然今日この時間に図書館を利用している人からするとフラッシュモブみたいな感じだったのではないだろうか。
最初の方は図書館の利用客の存在が少し気になったけど、あまりにも誰も気にしない(図書館利用者が)ので途中からは全く気にせず体験した。
ヘッドフォンをした何人もの大人が歩き回りながら伸びをしたりいろいろなスピードで歩いたりしていても誰も気にしないのがすごい。笑
どうしてもパフォーマーモードになってしまう(「ゆっくり歩く。もっとゆっくり。もっと。さらに。」とか言われるとどうしてもモードが切り替わってしまう)自分を自覚しながら。
ちらちらと視界に入る他の観客も「あ、この人は演者側だな。この人は多分プロデューサーだな。」とか一目瞭然で結構面白い。
歩き方って本当にわかりやすい。

日本でこのような作品を上演すると考えた時に、どれくらいの人が心地よく参加するだろう。
「おどりのなか、もやのなか」を昨年マルシェの一部として展示した(その時の様子はこちら)。この作品は個室の中に1人で入って体験する作品なので、個室の入り口に「踊る」と掲示した。完全個室なので誰にも見られないのだけど、「踊る」という掲示に拒否感を示した人が何人もいた。
そうか。誰の目に触れなくても、踊ることが嫌な人もいるのか。
それは私にとっては衝撃的だったけど、もしかしたら日本人には多いかもしれない。
誰も見ていないなら全員踊りたいに違いないと思っていた私には大きな気づきだった。

この作品を、この環境で上演できることがシンプルにすごいと思った。
それは、観客側のこともだけど、公共的な空間、しかも図書館という場で。

音楽の演出力

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