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SSまとめ

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過去に描いた作品をまとめました。 すぐに読める作品ばかりです。 もし少しお時間があって、少しでも興味を持ってくださったらタップして見てください。
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記事一覧

【SS】大掃除

【SS】大掃除

掃除の基本は、始めることだ。
誰しも掃除はやりたくないもので、進んでやろうとする人なんてほとんどいない。
だからとりあえず散らばったものを手に取って、戻す。

入れる場所を決めて、戻す。
決まった場所がなければ、作る。
箱を用意して、ラベリングして、新しい場所の完成。

ただ、どこにしまえばいいのかわからないものも出てくる。
もう多分使わないもの、でも捨ててしまうには惜しいと思ってしまうもの。

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【詩】花瓶に花を生けるように。

【詩】花瓶に花を生けるように。

花瓶に花を生けるように、生まれた感情を私という花瓶に差し込んでいきたい。

本音では、好きな花だけを生けていたい。

しかし、人には好ましくない感情だって生まれてくる。

捨ててしまいたくなるほどに、醜く染まった感情。

その感情を嫌い捨ててしまうのは、楽なことではない。

だから、手元に置いておきたくなくて必死に捨てようとする。

けれど、嫌いな感情は私を私だと思い出させてくれる花束だから。

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【SS】封じ込めた香り

【SS】封じ込めた香り

 包丁を軽快にならす音がキッチンに響かせ、わけもなくキャベツのみじん切りをする。二人暮らしとはいえ、一玉買ってどうしようと言うのか。消費できるのか。最初は不揃いで下手くそだったみじん切りも、半玉を超えたあたりから、綺麗な細い線たちが生まれていく。
 ザクザクと刻んでいく音を聞いていると、不思議と心が落ち着いてくるのだ。佑介がみたらきっと「何週間分あるの?」と聞いてくる気がする。
 まあ、全てのおか

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(習作)道端で見つけた地球

 家の中で考え事をしていた時、ふと外に出たくなって私は散歩をすることにした。
「こんな寒い夜にどこいくのよ。明日も仕事でしょ」
 母親が少しイライラしながら言ったが、私は軽くかわして外にでた。

 夜の散歩は、少し気持ちが高ぶる。普段は陽の光に照らされている光景が、全く別物に見えるし、空気も違って香るのだ。昼の光は、強く照らしてくるからすごく干渉されている気分になる。けれど夜の光は、少し冷たくて他

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【SS】心の缶詰

【SS】心の缶詰

 私は心の缶詰を毎日食べている。子どもの時から、変だとは言われていた。
実際に、何件も病院を回り、とある病院で「体質だ」と言われ落ち着いた。
病院で処方された缶詰を摂取することで周りと同じように生活できている。
 でも、病気ではないのだ。お肌を綺麗にしたい女子が、サプリメントを飲むのと少し似ていると思う。だって、感情は必ずしも必要なものではないから。

 缶詰は輸血のように、人から提供されている。

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【SS】あたりまえの音

【SS】あたりまえの音

 何気ないことだった。

 いつも物静かな彼に対して「もっと喋ってよ。私ばっか喋ってるじゃん」といってしまった。

 彼の好きなところがどこかと聞かれたら、「クールなところ」と答えたに違いないのに。自分の天邪鬼さに嫌気が差す。けど、大事なことを喋ってくれないのは確かにそうなのだ。そして、文句をいうのも大体私。別に、浮気をされているわけでも、無下にされているわけでもない。私の文句に対して言い返してこ

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【才の祭小説企画】サラダ

【才の祭小説企画】サラダ

 今日の夜ご飯に、サラダを作ろうと思った。
 息子がシステムキッチンの向こう側で寝そべって何かをしているのが見える。少し不安になって「しょうくん何してるのー」と聞いてみたが、返ってきたのは「ないよ」という言葉だった。
 2歳になっていっぱいしゃべるようになったが、まだ言葉の使い方が少し不自然なところが可愛い。「内緒」と言いたかったのか、それもとも「なんでもないよ」と言いたかったのか。どちらなんだろ

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【SS】酔っ払いピアノ

【SS】酔っ払いピアノ

都会の寂れたバーには開店当時からピアノが置いてあった。
昔は、夢を追うピアニストたちがたくさん演奏をしていたが、今では誰も弾くことがなくなり、調律もされていない。
そんな中、バーの店主が倒れ、店を閉めることになった。調律のされていない古いピアノなんて、誰も引き取ろうとは思わない。このまま処分されてしまうのだろう。みんながそう思った。
店が取り壊される前夜、誰もいない店に一人の男がゆらゆらと入ってき

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【SS】朝のロープ

【SS】朝のロープ

 早朝、布団の中にいるのに手汗が止まらない。怒号が頭にこびりついて、剥がれない。
出勤まであと2時間、予定よりも早く起きてしまう。気持ち悪くて布団から出た。
 起き上がった瞬間、体の周りがぎゅっと締め付けられる。
 朝食をとりながら、ニュースをみる。自分が使っていない電車の人身事故についてやっていた。それを見て、迷惑さよりも羨望の気持ちが強くなる。
 腕に何かが食い込む、手からまた汗が出てきた。今

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【SS】火星のおじいちゃん

【SS】火星のおじいちゃん

おじいちゃんは地球人だ。

地球が滅んで、人類が火星に移り住んだ時、おじいちゃんは今の僕と同じ小学生だった。

今のおじいちゃんはもうボケてしまって、地球のことを聞いても何も話してくれない。

けど、まだ僕が4歳だった頃、おじいちゃんが言っていた。

「俺は、ラーメンが好きだったよ」

教科書で見たことがある。小麦粉を使った細長い「麺」と呼ばれるものが、濃い色の汁に浸かっているものだ。

火星には

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【SS】違法の冷蔵庫

【SS】違法の冷蔵庫

誰しも、心に違法の冷蔵庫があるんだ。

自分の法律を破る時に使うものが入っているの。

秩序を保つためにやってること、みんな実はあるでしょ。

無闇に怒らないとか、約束は守るとか、わがままは言わないとか。

理性的に生きるとか、冷静にいるとか。

でも、それが苦しくなる時がある。

そんな時、人は違法の冷蔵庫を開けて中身を使うの。

それぞれが影響を与えないように、プラスチックのビニールで密閉され

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【SS】株式会社リストラ

【SS】株式会社リストラ

「なんでこんな会社名にしたんですか」

丸い耳をしゅんとさせながら虎島が不満を呟いた。

「そりゃあ、リスとトラが開いた会社だしな!」

利洲山が前歯を出して笑った。ふわふわなしっぽが椅子から溢れている。

会社を開いて三ヶ月、利益はほとんどなし。仕事仲間も見つからず、社員はこの2匹のみの小さな会社。つけた本人は大満足なようだが、相方は不服なのか尻尾をいじいじ。

「リスを名前の最初に入れたかった

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【1分マガジン】夢を売る人

【1分マガジン】夢を売る人

しゃぼん玉、好きな夢が見れるしゃぼん玉作りませんか。

そう声をかけてきたショートカットのお姉さんは、どこからともなく小瓶を取り出した。
青みがかった瞳なのに、顔はスッキリ整った日本人顔。そのアンバランスさが、不気味に見えた。
そもそも、仕事帰りの夜の街中で、突然声をかけられるというのも不可解だ。

胡散臭いにもほどがある。そう思っていたのに、僕は気づけば小瓶を手に持っていた。

「夢を見たい人は

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【SS】火傷、繰り返し

【SS】火傷、繰り返し

ヘアアイロンで火傷した。

ほっぺたの右、にっこり笑うと頬骨が出てくる部分。

すぐに冷やせば良かったのに、何が起こったのか一瞬でわからなくなってしまい、冷やすのが遅くなった。

そのせいで、少し跡になってしまったのだ。

化粧で隠せるだろうか。

すぐに、「髪の毛のセットをしてるということはもう化粧をしたあとだ」と気づき、この傷跡とは当分一緒に過ごさねばならないのだと悟った。

髪の毛を巻くのは

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