書けるときに少しでも書いておきたい

書けるときに少しでも書いておきたい

マガジン

  • 短歌

    5首ずつ、つくった順にまとめてあります

  • 日記

    いちばん素の自分で自由に書いてあります

  • ドラマ感想文

    いまところ、フジテレビ木曜ドラマ「silent」についてです

  • 読書感想文

    本当はこれをメインにしたいのですが、積読ばっかり

  • 映画感想文

    もともとfilmarksに書いていたものです

最近の記事

短歌10・代々木公園

何度でも何度間違えてもあなたに出会う 次は来世だけれど 前髪を気にする君は纏ってる くるりのばらの花のアウトロ 打ち付ける雨は水面の楼閣を砕けど砕けど消してはくれず 曖昧な金木犀もこれからは辿ればそこは代々木公園 カーテンの薄くて白い方が陽をたっぷり吸ったみたいな声だ

    • 2021年初春、7年付き合った人と別れてすぐの頃に凄まじかった反動的結婚観のメモが出てきたので原文ママで

       街を歩いたりインスタを見たりすれば世の中はカップルだらけなことが分かる。デートは楽しい!恋愛は良いぞ!とマスメディアからも個々人からも発信され、恋愛が是、というのは世の常識として流布している価値観だ。恋愛は経済を回すので資本主義社会にとっては都合が良い。多くの大人も恋愛の末に結婚しているのだからその選択をした自分を肯定するために恋愛を肯定するだろう。そして生物として子孫を残さなければいけないのだから、性行為に至る前段階として恋愛感情を抱くのは本能的に必然とも思える。  し

      • 「努力」への鎮魂歌

        「努力 未来 a beautiful star」 米津玄師の「kick back」で繰り返されるフレーズを、なんて皮肉なんだろうと思った。 主題歌となっている「チェンソーマン」では、努力した普通の人間が、なにかの気まぐれや単なる確率で次々と未来を奪われていく。 「努力は報われる」という信仰は、圧倒的な外部要因の前では、余りにも無力である。 冒頭のフレーズは、2002年発売のモーニング娘。の楽曲からの引用だ。当時のモー娘は、努力信仰最期の時代を謳っていたのではないだろうか。

        • 短歌9・北大塚

          危なかった あの人がもし左利きならばそのたび思い出してた 遅かった春一番は浜に咲く梅の匂いを乗せ北へ吹く 光とは光自身とその他の闇を隔てる 君と同じく 幼稚さと老獪なずる賢さを持て余したまま 大人になれず 大塚の今はもう無い銭湯の45℃が覚めない東京

        短歌10・代々木公園

        • 2021年初春、7年付き合った人と別れてすぐの頃に凄まじかった反動的結婚観のメモが出てきたので原文ママで

        • 「努力」への鎮魂歌

        • 短歌9・北大塚

        マガジン

        • 短歌
          10本
        • 日記
          6本
        • ドラマ感想文
          8本
        • 読書感想文
          2本
        • 映画感想文
          4本

        記事

          木曜ドラマ「silent」8話感想

          どんな行為も、それ自体は善でも悪でもない。善かどうかは、その行為が何と組み合わさるかで決まる。スピノザに拠れば、そういうことらしい。 風間くんが手話サークルを作ろうとしたこと自体は善でも悪でもなく、それ自体は別に褒められも誹られもするべきではない。 風間くんの働きかけで実際に手話話者が増えたり、その人たちのろう者への関心が高まれば、多くのろう者にとっても暮らしやすい社会への一歩となる。その便益は、奈々さんの気持ちがどうであろうと確かに存在するだろうし、意義あるものだろう。

          木曜ドラマ「silent」8話感想

          木曜ドラマ「silent」7話感想

          なんで声で話さないの?と尋ねた紬への返答を見せることなく、想は入力した画面をそっと伏せた。 「伝える」という目的を果たすための選択肢の中でも、「書く」というのは「話す」より難しいのではないかと思う。 Twitterやnoteの存在によって、誰もが書き手として気軽に発信できる時代になったが、話す人に比べて書く人はなお限定的なように見える。 話し言葉より書き言葉の方が難しい理由のひとつは、仕草や声のトーンといったノンバーバルで伝えられるニュアンスがこぼれ落ちてしまうからだ。

          木曜ドラマ「silent」7話感想

          木曜ドラマ「silent」6話感想

          本作は一見すれば、「ろう者と聴者の恋愛ドラマ」である。しかし「恋愛ドラマ」ではないかもしれない、と3話感想の最後に書いた。 6話で思い直したのは、「ろう者と聴者の」の枕詞も決めつけだったのではないか、ということだ。 ろう者と聴者、男性と女性、幸福と不幸。 二項対立というものは分かりやすい。 だが、そういう構造主義的な認識ではこぼれ落ちていくものも多い。 想は、そのあわいの中を漂っている。 変化していく自身に戸惑い、ろう者にも聴者にもアイデンティティを見出せていなかった。

          木曜ドラマ「silent」6話感想

          木曜ドラマ「silent」5話&EP#0感想

          湊斗と想は似たもの同士だ。 「別れよう、俺が無理だから。このまま一緒にいたら無理になる」 湊斗のその背負い方は、EP#0での想と同じだ。 帰りが遅くなったことに責任を感じる紬を横目に想は、 「遅くなったのは、俺がお姉ちゃんを引き留めちゃったからなんだ。ごめんね」 と光に話した。 優しさを単に優しさとして人に渡すのではなく、自分のエゴや責任だと背負いこみ、自分がやりたいからやっているだけだ、と自分を納得させる。 そういう、見返りを求めず裏表なくただ人を思える優しさが、湊斗

          木曜ドラマ「silent」5話&EP#0感想

          短歌8・北12条西

          ゲレンデで喉が痛くちゃだめでしょと隠す寝息の向こうの結露 君に合うコートが街に溢れてる 君の今年のコートは知らぬ  次々と小さな靴に割られてく落ち葉の音は優しいきいろ  お揃いのスリッパを買い替えた時 あなたの指の細さに気付く 「大丈夫 私たちならひとりでも」いつしかそれは正夢になり

          短歌8・北12条西

          木曜ドラマ「silent」4話感想

          湊斗を見ていて、自分でも意外な言葉を思い出した。 それは、今週の「あちこちオードリー」で、お笑い界で天下を取る人とは?というトークをしていた際の「若林は共感性が高いよね」というオリラジ中田の分析を踏まえた、若林の言葉だ。 「お笑いで天下をとる人は、お笑いのルールを自分のルールに変えちゃう人。共感性の高い人は、そのルールを人に押し付けられないから、たぶん天下は取れない。」 これって、恋愛における湊斗にすごく当てはまるんじゃないか?と思った。 恋愛において「天下をとる」=

          木曜ドラマ「silent」4話感想

          日記・容姿いじりと面白さの認識論

          「お前、最近口が悪すぎるよ」 そう本気で注意するトーンで友人Bに言われた。やるせなかった。君たちの知性を信じてリスクを取ってるのに、分かってもらえないんだ。その上、自分が正義なのだと勘違いし矮小化された加害被害構造を決めつけている。悲しかった。 友人Bのその発言は、ふざけてウインクしてきた友人Aに対して自分が言った、「なんか友人Aって惜しいよな」という言葉に向けてだ。 文脈上、ルックスをいじる発言であることは間違いない。だが、友人Bは注意する際、自分がこの発言をチョイス

          日記・容姿いじりと面白さの認識論

          短歌7・由比ヶ浜

          歩いてた夜の自分に教えたい いま横にある澄んだ寝息を 太陽の無い世界では影も影にすらなれない ぬるいかたまり ブランコがちょうど良い夜だからもう抜け出したいなこのホテルから わこわことみかんを剥いた手を見せてきいろと笑ったこたつを捨てた すぐ波が奪ってくから砂文字はあの秋のまま今もどこかで

          短歌7・由比ヶ浜

          短歌6・仙台駅

          もう通うことはない街の週末の天気予報に未だ目は行く 太陽に蝋の翼を溶かされて月夜で虎に成り果てる日々 生焼けのホットケーキのまだ液の部分みたいだ あと何年か 自殺する気持ちが分からない人はたぶん免許を返納しない コンビニで自分は食べぬスイーツを買った家路は歩幅が広い

          短歌6・仙台駅

          短歌5・八事石坂

          0.02mmの先に触れられぬ別の人がいる 私もあなたも 目が覚めて覚えてるのは何を話したかではなく会っていたこと どの歌の「君」を聴いても君思う 近頃は別の人も思う いつか思い出す時のため筆を取り 匂いをあらわす言葉のなさに 鳥居さえくぐれば幸せだと信じ 幾つ過ぎたか目は伏せたまま

          短歌5・八事石坂

          短歌4・逗子桜山

          伸びた髪と焦げくさい風を指で梳くたびに散りゆくあの日の花火 ここに傷、ここにも汚れが、と剥かれ小さくなってしまったキャベツ 目覚めると最初に目が合う女の子 名前も知らぬ見慣れた誰か ひぐらしの声と溶け合う永遠を 突如断ち切り踏切は開く ぐちゃぐちゃにぬるくなったパフェの淵 垂れぬようにと拭い 溢れた

          短歌4・逗子桜山

          短歌3・山手通3丁目

          スカートを初めて干した朝に見た 光ほころぶベランダと街 カーテンが揺れて覗いた白白と浮かぶ桜は綺麗でしたね どこまでも遠くへ伸びると思ってた青はもう赤らんできていた できあいのひと皿を分けあいたくて寝ぼけ眼でキッチンに立つ 失恋しなくても髪を切っていい世だからターバン巻かずに済んでる

          短歌3・山手通3丁目