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ロックダウン中の学校生活

イギリス全土でのロックダウンが始まったのが2020年3月23日。もうすぐロックダウンが始まって丸一年になります。この一年、お店が閉まり、レストランが閉まり、カフェ、美術館、博物館、レジャー施設、ジム、美容室といったありとあらゆるものが強制閉鎖を余儀なくされ、同居する者以外(離れて住んでいる家族や友人)と会うことすら禁じられてきました。中でも、子どもを持つ家庭にとって一番インパクトが大きかったのが学校閉鎖でした。

学校が閉鎖されたのは2020年3月17日、ちょうど一年前の今日から長い長いHome Schooling(家庭学習)の日々が始まったのでした。途中、ジョンソン首相の子どもたちの教育の機会を奪うことは許されないという強い決意のもと学校が開校されましたが、開校されたのは6月の半ばから7月中旬までと9月から12月中旬までたったの3か月半。それ以外の8カ月半を、子を持つ親たちは自由に外出することすら許されず、友達とリアルに触れ合うことも許されない過酷な環境の中で、孤独な戦いを続けてきました。


Day0:School Closure(学校閉鎖)は突然に

2020年3月17日。急遽、政府の要請を待たず、CEO(3校を運営する学校法人の最高経営責任者)判断で少なくとも5週間、学校が休校になりました。

週末から感染が急拡大していて、当日の速報で感染者数1950人。急カーブで増える感染者数、週末までに5000人に届いてしまいそうな状況でした。
みんなしばしの別れとお篭りを覚悟したのか、お別れの言葉はいつもと違う
Good Luck!
Take Care!
でした。

Day1:休み中の宿題を袋から開けてびっくり⁉️

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一晩たち、気を取り直して子どものカバンを開けてびっくり。山のような宿題が用意されていました。一目で休校中の授業を親が代わりにやることを期待されていると理解しました。学校で使ってる教材や学習指導要領(学習到達目標)に加えて、どのようにモチベーションを保ち1日を過ごすかのTipsが書かれた校長先生からのレターが入っていました。




ロックダウンの混乱の中、人が往来しないように街中を取り締まる警察車両のサイレンの音や、感染がすぐそこまで迫っていることを意識せざるを得ない絶えず往来する救急車の音を聞きながら、感染拡大におびえて課題をこなす日々が続きました。5週間後、イースター休暇明けの4月末からは学校が開くと信じるほか、当時はなすすべがありませんでした。



Day35:途絶えてしまった学校からの連絡

約束の5週間が経っても、学校からの連絡は何一つありませんでした。イギリス生活も長いので、そこは織り込み済みというか、「まぁ、そうだよね。だってイギリスだからね。」というくらいの心の余裕はできていたのですが、この先どうしたらいいのか全く目途が立たない状況です。通っている学校のホームページを見ても何も更新がないし、困り果て系列校のホームページを眺めているとそこのTwitterアカウントを見つけました。

そこに、家庭学習を続けている子供向けにオンライン授業を提供しているサービス(OAK National Academy)のURLが載っていて試しにのぞくことにしました。

OAK National Academy

https://classroom.thenational.academy/

OAK National Academyは2020年の英国教育機関の閉鎖に対応するために設立され、無料のオンラインクラスを4歳から16歳までの子供向けに提供しています。

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開設当初は、英語、歴史、算数、第2外国語といった限られた教科だけでしたが、現在は全ての教科が網羅されているようです。

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日本からもアクセスできると思うので、英語学習やスペイン語などの外国語学習に利用してもよいかもしれません。

我が家も早速、OAK National AcademyをHome Schoolingに取り入れてみたのですが、オンライン授業といっても、通ってる学校のオンライン学習ではなく収録されたビデオを独りで淡々と見て、ビデオを止めて課題をこなして、また見てのスタイルで当時5歳の子どもには苦行としか言いようがありませんでした。画面の中の先生が褒めてくれるので、やりがいはあると言えばあるけど、飽きてしまって1日に何本も見るのは難しかったです。

Day40:Emilyがやってきた

ある日、School Office(事務室)のEmilyがサイクリング姿で突然我が家にやってきました。どうやら、学校側もうちと連絡がとれず困っていたようです。(Emilyが登録したメールアドレスが間違っていて、メーリングリストに追加されていなかったから音信不通になっちゃったんだけど、、、もうこういう話ありすぎて飽きるよね。)学校側は私たちが日本に帰国しているのではないかと思っており、それを確かめるためにわざわざ来てくれたそうです。

何はともあれ、ようやく学校とのライフラインが復活しました!

Day41:Home Schooling始動

先生と連絡が取れるようになってからは、毎朝、SMSでモーニングコールとタイムテーブルが送られてくるようになりました。

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ここに書かれた課題をこなして、その日のうちに先生にメールで進捗を報告します。送った内容はクラスのGoogleチームサイトに先生がUpしてくれ、サイトを通じてクラスメートの様子を知ることができました。それまで1カ月半、全く交流がなかったので、おともだちの写真をチームサイトで見られただけで、とてもうれしかったことを覚えています。

その後、何週間か経つと、週に2度、30分だけ、Zoomでインタラクティブな授業とオリエンテーションをしてくれるようになり、数カ月ぶりに会うおともだちとのコミュニケーションに自然と笑顔になりました。

またその週の優秀者をオリエンテーションとクラスサイトで表彰してくれるようになり、自宅学習のモチベーション維持に役立ちました。

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Day77~ ほんの束の間の開校

Home Schoolingも限界に近づいていた6月初旬。学年を絞って学校が再開されることになりました。対象はReception/Year1/Year6だけで、1クラス15人まで、部屋は3つ以上離して開校されることになりました。しかしながら、感染が怖く初日に登校した児童はクラスでたったの3名。Best Friend同士、どうしてもお互いに会いたかった娘とおともだちは初日から登校をしました。学校に通うのがよっぽどうれしかったのか、毎日その日あった出来事を一生懸命嬉しそうに話してくれました。

その後、長い夏休みを挟み、9月からは全学年を対象に学校が再開され、12月中旬までの間、束の間の学校生活を取り戻せました。

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Day273: 3rd National Lockdown(3度目のUK全土封鎖)と2度目の学校閉鎖

ジョンソン首相の強い決意の元、2度目のUK全土封鎖やその後の地域封鎖でも学校はなんとか開けてくれていたのですが、12月半ばにケント州で発生した変異種がUK全土で猛烈な勢いで広がったため、冬休みを前倒しする形で2度目の学校閉鎖の日が突然やってきました。

1回目の学校閉鎖で、多くの弊害が発生していました。子どもたちの学力や体力の低下、ひきこもる事でのメンタルヘルスの悪化、ストレスによる保護者からのDV、学校給食が唯一の食事だった子どもたちの食事問題、学校を閉鎖することはとても悪い影響が起こる事を百も承知で、でもそうせざるを得なかったあの日のジョンソン首相の申し訳なさそうな顔は忘れられません。

Day294:2nd Home Schooling

1度目の反省を活かし、2度目のHome Schoolingではインタラクティブな授業を学校が提供する事が義務づけられました。1度目のHome Schoolingでは親がマンツーマンで横について見てあげていないといけませんでしたが、2度目のHome Schoolingでは朝、パソコンでログインさえすれば、後は先生が授業をしてくれるので親の負担は各段に減りました。

ただ、子どもにとっては過酷でした。以下がある週のオンライン授業のスケジュール(Year2:6歳=幼稚園年長)です。まるで多忙なビジネスマンのようなカレンダーの埋まり具合になっています。。

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朝の9時から午後3時までずっと画面をみて英語の授業を聞くだけでも疲れるのに、加えて、カメラをオフにしようものなら、先生が毎度毎度「Can you please camera's on?」と言ってくるので、少しも気を緩める時間がありません。また、自分が発表したくても指されなかったり、自分はできているのに他の子の進捗がわからなくて待たされたりと、オンライン上でのコミュニケーションに限界を感じる場面が多々ありました。

しかしながら、短期間で初めての試みにも関わらず、試行錯誤をしながらクラスルールを決め、常に子ども達に目配せをしながら、しっかりとした授業を提供してくださった先生方には感謝の気持ちしかありません。ちなみに、オンラインレッスンは過酷そのもので、気が付けばクラスの半数の子ども達が、途中から学校に呼び出されてリアル教室で授業を受けていました。(画面越しに見えた)


私が捨てた100の事

その7 イギリス人の言う「絶対」という言葉を信じる事。絶対学校は締めない(と、その時は本気で思っていた、でも状況が変わった)という言葉。


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