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“実在しない都市”を使って、SDGsや社会課題解決解決のプロセスを疑似体験するオンライン研修をはじめます 【社会課題×空想都市】

こんにちは!社会課題解決に特化した人材育成や企画・PR支援をおこなう株式会社morning after cutting my hairです。

今回、変化し続けるこれからの社会・世界を生きるすべての人が、健やかに、個人の幸福を共存させあいながら生きることができる世の中をつくっていくための一歩となるような「研修・ワークショップ事業」を開始することになりました。

その名も、

「課題発見力」と「対話力」を身に付けるオンラインワークショップ
「空想都市中村市 都市改善推進課」

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「ようこそ、“中村市都市改善推進課”へ」——。
「空想都市 中村市 都市改善推進課」は、社会の課題解決プロセスを疑似体験しながらこれからのビジネスに必要な「課題発見力」と「対話力」を身に付けるオンラインワークショップ・研修です。
この研修は、参加者のみなさんが中村市役所の「都市改善推進課」を訪れたところから始まります。
空想都市「中村市(なごむるし)」を舞台に、今の世の中にある「社会課題」について、誰もが「自分はどう感じるのか」「どうすればいいと思うのか」を自問・内省し、他者と対話し熟議することで、これからの社会に必要な「課題発見力」と「対話力」を身に付ける内容となっています。

このnoteでは、「空想都市中村市 都市改善推進課」のご紹介と共に、わたしたちがなぜ今この事業を開始しようと決めたのかをお伝えできればと思います。

【新事業に関するお問い合わせはこちらから】


1.開発経緯 -答えのない「社会課題」というもの

わたしたちmorning after cutting my hair,Incは、2018年の設立以来、国内外を問わずさまざまな企業・団体様の社会課題解決に関するとりくみに携わらせていただき、「想いを世の中へ伝え、物語の力で人の心が動き続ける社会をつくる」ために活動を続けてきました。

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弊社WEBのポートフォリオページ

その間にも、この社会は目まぐるしく変化し、あらゆる課題が顕在化してきました。ここ数ヶ月大きく話題になったものだけでも、新型コロナウイルスの流行、人種差別、ハラスメント問題、格差による貧困、SNSでの誹謗中傷問題、気温40度を超える酷暑、大雨による被害や地震、モーリシャス沖で発生した重油流出事故など、この社会において、「課題」というものは後を絶ちません。

弊社のメンバーは全員、morning after cutting my hair以前にもソーシャルスタートアップ・非営利セクターで活動をしており、最短でも6年以上を「社会課題と向き合うこと」に費やしてきています。

そんな中で強く感じるのが、「社会課題」というものの「答えのなさ」です。

SDGsなど、世界的に達成すべき目標として定められてはいるものの、その解決として一義的に「これが正しい」と言い切れることは非常に少なく、数多くのプレイヤーや研究者・専門家達でさえ、常に模索しながらより良い社会を目指して奮闘しているというのが実際だと感じます。

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さらに、わたしたちmorning after cutting my hairでは、「社会課題=日常生活や個人の中にあるもの」だと捉える視点を大切にしています。社会課題とは、はじめから「課題」という姿をして明確に存在しているわけではなく、日常の中の不安や不便や不満や不快といった「曖昧な靄」の中にあるものだと考えているのです。
最近では「SDGs」や「ESG投資」などの言葉を日本でも聞くようになりましたが、これらは社会課題に意識を向けさせる良い面もある一方で、社会課題を「単なる記号」や「(自分たちとは遠い)どこかに『課題』という形で存在しているもの」というイメージにしてしまった部分もあるのではないかと危惧しています。

どちらにせよ、正直まだまだ一般の感覚には浸透しておらず、一部の(感度の高い)人間たちの間で扱われる言葉であったり、「やらなければならない」というトップダウン的押し付けで義務的に処理されるだけのものになってしまっている現状も感じます。

そうは言いながらも、世界のESG投資への純資金流入は今年7月時点で約8兆円(約780億ドル)といわれていますし、海外では「人権デュー・ディリジェンス」という考えが普及し、企業活動の中での人権に関する悪影響を認識・防止・対処するためのプロセスチェックが義務付けられるようになりはじめていたり、日本では「まだまだよくわからないけど…」というテンションであるものも、世界的には注目度・必然度が増してきているのも事実です。


2.なぜ今新事業を始めるのか -VUCA時代を生きる力を養うために

もうご存知の方が多いかとは思いますが、これから先、わたしたちは「VUCA時代」を生きていくといわれています。

VUCA(ぶーか)とは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の四つの言葉の頭文字をつなげた造語。2010年代に、ダボス会議や米国人材開発機構などで多く使われるようになり、その後ビジネスシーンなどでも用いられるようになってきた概念です。

変化が激しく、予測不能な事態が多発し、より複雑化していく社会の中で、これまでのような「予測して計画を立て、その通りに実行し分析する」といういわゆる「PDCA」のやり方はもう通用しなくなっていくのではないかといわれています。

今まさに世界中を覆っている新型コロナウイルスによるさまざまな影響も、VUCA時代を思わせるひとつです。「予想ができない」ということは、人間にとって非常に大きな心理的負担になります。この先、今まで以上の不安や恐怖を感じながら生きていく中で、社会やその中で起こる課題というものはより一層複雑になり、多様になっていくことが想像できます。

そんな社会の中で、それでも個人や組織が健やかに、幸せに、持続可能に存在し続けていくためには何が必要なのか。そして今、わたしたちにできることは何だろうか。そう考えた結果、

1)社会課題やSDGsについて、記号ではなく体感として接し、その解決プロセスを体験する機会の創出
2)「正解」を追いかけるのではなく、「答えのない問いを深め、解決するべきと思う課題を発見する」経験の創出
3)直面するできごと(課題)に対して、自分は何を感じて考えているかと内省し、認識し、それを他者へと伝える力の向上
4)自分と異なる考えを持つ他者の意見や感情に耳を傾け、理解しようとする対話力の向上

これらを得られる場づくりをオンラインベースで実現しよう!と、今回リリースする「空想都市中村市都市改善推進課」の事業開発に着手する運びとなりました。


3.事業内容について -正解に頼れないからこそ「熟議」を

本事業は、社会課題について知ってもらうという側面ももちろん含みながらも、「熟議する」ということを最重要視した設計をおこなっています。

VUCA時代を生きる中で、個人・組織を問わず最重要であり大前提となってくるスキルは「熟議する力」なのではないかと考えているからです。

わたしたちmorning after cutting my hairでは、どの事業においても以下の「トリプルダイヤモンド」の思想・手法をもってお仕事をさせていただいています。

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たとえばPRのご依頼などでよくあるのが、この三つのダイヤモンドのうちの二つ目「アイデアの拡散と統合」や三つ目「アウトプットとアジャイル」を欲している!というもの。もちろんお手伝いはさせていただくものの、わたしたちは必ず「そもそも…」という部分から掘り返すステップを踏ませていただきます。

そうすると、当初ご依頼いただいていた内容とは別の部分に必要性が見えてきたり、「本質的な課題はそこではなさそうだ」という新たな視点・結果が見えてきたりすることがあるのです。

「社会課題」というものを考えるときも、つい「解決策のアイデア」から考えてしまいがちですが、本来最重要視しなければならないのは「本質的な課題を捉え直す」ということではないかとわたしたちは考えています。しかし、目まぐるしく移り変わり、スピードを求められる今の世の中では、この思考を鍛えられる場面はなかなかありません。だから、当事者や課題の本質に寄り添わない「社会課題解決」のアウトプットやビジネスアイデア、メッセージが世に出てしまうということが起こるのも、ある意味では仕方がないことなのかもしれないとさえ思います。

本来重要視すべきは「本質的な課題を捉え直す」ということ。だからこの研修事業では、その部分を体験し、熟議するという経験を通じて力を養っていくことができる内容を目指しました。

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(「空想都市中村市都市改善推進課」資料より引用)

基本的には、「空想都市中村市」を舞台として、街に住む市民の声や地域の情報を頼りに「どうすればより良い街(社会)になるのか」ということを熟議することでワークショップは進行します。

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「正解」を探すことはある程度の知識や経験があればできるようになっていきますが、VUCA時代の正解は非常に脆く不安定です。そもそも、この社会や人生というものに「正解」なんてものは無かったはず。

今の日本では、SDGsや社会課題について「解決するためのアイデアを出そう!」といった場は少しずつ増えてきているように思いますが、本来必要なのは「何が本当の課題なのか」「なぜそれが課題だといえるのか」「それは本当に解決すべきなのか」「なぜ解決するべきだと考えるのか」という部分を個々人が考えるというステップではないでしょうか。「正解」が無いのと同じように、課題というものも「課題」という形をして最初からそこにあるわけではないのです。

多様化が進む中で、わたしたちが健やかに幸せに生き続けていくためには「自分たちで自分たちなりの正解をつくっていく」という能力が必要になります。これは個人でも組織でも変わらず言えることだと思います。

そのためには、自分のことも他者のことも「知ろうする」ことが必要です。「熟議する」力を育てることこそが、これからの時代の希望になっていくのではないかとわたしたちは考えています。

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4.空想都市とは -なぜ空想の街を舞台にするのか

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(空想都市中村市の地図 ©︎地理人研究所)

空想都市とは、「地理人」こと今和泉隆行氏の手によって描かれた、「極限まで現実に近い空想の都市」のひとつです。サイト上には空想都市の精緻な地図が公開されており、誰でも自由に閲覧することができるようになっています。

今回はこちらの空想都市「中村市(なごむるし)」を舞台に、参加者が中村市役所を訪れるところから研修・ワークショップを開始する設定・世界観を構築しています。

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(「空想都市中村市都市改善推進課」進行画面の一部)

地理人こと今和泉氏とは、弊社代表取締役の田中美咲がmorning after cutting my hairを設立する以前、2013年から2020年までの8年間立ち上げと運営をおこなっていた「一般社団法人防災ガール」の頃から企画協力をしていただいたり近況報告をしあったりという交流を続けてきました。その中で、株式会社地理人研究所や空想都市として今後関心のある方向性などをうかがっていたことも踏まえ、今回の企画設計の段階でご協力をいただけないかとお声がけをさせていただき、本事業の想いに共感していただいたことで、監修協力を実現することができました。(今和泉さん、ご協力ありがとうございます…!)

本事業では、「熟議」の場の設計として、「誰もがフラットに語れる機会の創出」「自由な発言が可能な場づくり」を念頭に置いています。現実の街を舞台に設定してしまうと、どうしても事前知識の差や立場上の発言の制限などが発生する恐れがあることを考慮し、今回「極限まで現実に近い空想の都市」にお声がけをさせていただきました。

また、架空とはいえ非常に緻密に設計されていることから、「現実世界に起こる社会課題をストーリーとして投影可能である」ということも中村市を舞台に設定している理由のひとつです。

これまで得てきた知見や経験はもちろん活かしながらも、肩書きや立場を問わずフラットに話をすることができる場として、敢えて没入感を重視した体験型のコンテンツ設計にも工夫をしています。


5.実施事例・成果 -個人の幸福が共存できる社会のために

実は、リリースを待たずして、すでにお声がけをいただいた株式会社日立製作所の皆さまと共に本事業を実施させていただいております。

集合写真

日立製作所のみなさまとの打ち合わせを重ね、今回は「アフターコロナの社会における移動を考える」というテーマにカスタマイズさせていただき、全3回の内1回のみ一般公開として、研修企画を実施しました。

企画の実施レポートはこちらからご覧いただけます!

(2021年1月追記)
日立製作所さんのブログでもこの取組みについてご紹介いただいています。

<体験者の声>

すでに実施した回では以下のようなご意見を多くいただき、「オンラインでもここまでできるのか!」「立場の違う人と話すことで新しい気づきがあった」といった驚きの声も寄せていただける結果となっています。

アンケート1
アンケート2


今後は企業様や行政、教育機関など、さまざまなセクターで開催できればと考えておりますので、ご興味を持ってくださった方はぜひお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

「課題発見力」と「対話力」を持つ個人や組織を増やすことで、これから先の時代がどんなに不安定で複雑・多様化していったとしても、個人の幸福を共存させながら進む真の持続可能な社会というものの形成は不可能ではないのではないかと思います。裏を返していえば、「課題発見力」と「対話力」も無い社会では、それは不可能に近いとも考えられるかもしれません。

より多くの方に参加していただけるような仕組みも今後検討していく次第です。運営面など、何かしらのサポートをしてみたいという方も歓迎ですので、気軽にお問い合わせなどいただければと思います!

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対話を深めながらアイデアを発散させるワークショップも実施しています。

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Consulting for Social challenges with Love. based in TOKYO & SHIGA, JAPAN. ///// 世の中にある「課題」に挑む人たちの想いを伝え、感動と共感の力で、『人の心が動き続ける社会』をつくる。