シェア
嶋田青磁
2020年5月20日 16:18
2019年12月23日 22:55
2019年9月27日 21:01
La nostalgie 濃紺のみなもに銀の絨毯が敷かれたみちをおまへの手をとり駆けてゆきたかった 裳裾を垂らしたやうな細く白い雲、澄みゆく大気 耳もとで囁かれるのはすべてが 残酷な結末である #詩 #散文詩 #文学
2019年8月30日 17:12
月明かりさへ霞ませる燦然たる光は橙色をしてぼくの心臓を震わす光はあまりに眩しく肋骨のすき間を洩れ辺り一帯に恒星のリュクスを撒き散らすやうだ八月の夜の静寂に燃え盛る星が叫ぶぼくは此処にゐてそれから恋をしてゐると #詩 #散文詩 #文学 #8月31日の夜に #夏
2019年6月17日 20:53
淡色の花々を抱(いだ)きながらそれらを一つ残らず手折り埋めてしまいたいといふ衝動 あゝ 憐れな命よ 芽吹き 開花させたるは紛れもなくふたつの胸のふくらみの深部であるといふのに #詩 #文学 #散文詩
2019年6月8日 14:01
薄雲の透き間からそっと手をのばしあのひとの運命を変えられないだらうか 曲がり角をやさしく手の平でふさぎ遠く朝の光を目指して硝子玉の転がるやうに 真っ直ぐ #詩 #散文詩 #文学
2019年4月30日 23:59
2019年3月11日 19:56
昨夜贈られた一輪の薔薇この連なる花弁がその目には何色に映るか あなたも知っているはずだ必ずしも薔薇が望まれた色をもって咲かないことを 聖堂でひとりぼくは祈った 願わくばそれが白薔薇であるようにと #詩 #散文詩 #文学 #哲学
2019年3月6日 12:52
砂粒の混じる風が頬を強く打ち、熱の籠もる痛みが唇を震わせた。草木の萌える土はなく、乾いた地の裂け目は暗く深い。とうの昔に枯れ果てた灌木にとまる黒々とした鴉(からす)の群れの、虚しい笑い声だけが残響するさまは、しかし現である。果てない荒野を歩みながら、わたしは外套の内にかくす青い星の存在を常に想った。「この仄青くかよわい光を、守ってゆかねばならないのだ。」唯一残された使命の断片と、傍若無人な風だけ
2019年2月13日 19:06
真夏の日暮れ夕立の前に似た張り詰めた気配 或る少女がひとり空を見上げ鈍色の髪を濡れた空気に浸す 雨雲の狭間遠くで稲光が見えたようなそれとも幻か 振り返りざま少女の目がわたしを捉えて閃いた 其れは飴色の目であった 誰も彼もが少女の緊迫した挙動指し示す方角から目を逸らせない 飴色の目は胸の奥底に沈む革命への憧憬知的昂奮への欲望掻き立てられた
2019年1月28日 00:20
冬の夕べよどうかあの女(ひと)の焦がすように熱く猛る血の流れるからだを薄暮のやさしい闇で包んでおくれ 夜明けの澄んだ地平線をともに見つめそのみずみずしい指先に触れられるように 冬の夜よどうかかの女(ひと)の紅いルビーの唇ヴィオロンの音を奏でまっすぐに射る言葉を露台を吹きわたる風で受けとめておくれ 楽園に生るという甘く熟れた柘榴に震えず口づけられるように
2019年1月25日 18:40
詩人は駆ける天蓋の閨にねむる貴方の烟る横顔薔薇色の頬のため 綴られた韻律揺れ惑う抒情斬り閃く散文円やかな調べ 蒼ざめた唇に匙でそっと親鳥のように言葉をはこべば たちまち春が咲きこぼれ冬が雪解けて頬に紅みさす 夢見るような瞳と慈しみのまなざしは焚べられた詩の其々が灯す炎 金星の差延べる手をとり詩人は旅する腕一杯の詩篇と倶に銀色の砂浜を駆け貴
2018年12月25日 19:47
石灰岩と曇り空の曖昧な境界は水彩筆によって暈されて滲む 鈍色の水辺に揺れる葦のさきが冷たく柔い風を受け小刻みに震えた 静かに流れる水がただよう躰の白い肌を溶かすようにやさしく包みこむ 水面を透かし見る空は遠く 広くのばした腕を雫が伝い落ちた 薄曇りが映る川は櫃を海へと運ぶがゆるやかな流れは午睡のように物憂く 聖櫃に納められた乳白色の蕾は 今か今
2018年12月5日 21:33
時は満ちた 遠く鐘の音が告げるのは出奔 絡む蔦を剥ぎ門を開け傷ついた手は光芒をつかむ 金色の血が奔流となり褐色の瞳を希望に燃やす 鳴り響く鼓動溢れだす生命の躍動長い行路の始まりにおまえはいる おまえには翼がある明くる大空へ地を蹴って飛ぶ翼が 冒険と愛が青空の遥か高み雲の向こうに待つだろう 透明な追い風が必ずやおまえを助ける 新しい未来の