冬の夕べよ
どうかあの女(ひと)の
焦がすように熱く
猛る血の流れるからだを
薄暮のやさしい闇で
包んでおくれ
夜明けの澄んだ地平線を
ともに見つめ
そのみずみずしい指先に
触れられるように
冬の夜よ
どうかかの女(ひと)の
紅いルビーの唇
ヴィオロンの音を奏で
まっすぐに射る言葉を
露台を吹きわたる風で
受けとめておくれ
楽園に生るという
甘く熟れた柘榴に
震えず口づけられるように
夜よ
然(そ)うして濃紺の帳で
輝く肢体を覆いたまえ
魂の内から充ちる
灼きつくような光が
目をつらぬいて痛むから
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