真夏の日暮れ
夕立の前に似た
張り詰めた気配
或る少女が
ひとり空を見上げ
鈍色の髪を
濡れた空気に浸す
雨雲の狭間
遠くで稲光が
見えたような
それとも幻か
振り返りざま
少女の目が
わたしを捉えて閃いた
其れは
飴色の目であった
誰も彼もが
少女の緊迫した挙動
指し示す方角から
目を逸らせない
飴色の目は
胸の奥底に沈む
革命への憧憬
知的昂奮への欲望
掻き立てられた
巨大な帆船の群れは
外海へとなだれ込む
波飛沫をあげ
荒れくるう風の
中心にはいつも
琥珀の目が在る
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