健忘録【12】「ポートを入れるしかないよ」とは言われても…… 嫌な理由……

〜背景情報〜

ポートというのは、よく胸に埋め込む、直接首の大きな静脈から心臓手前までカテーテルをつけた点滴用の医療機器です。

胸には、真ん中がグミとゴムとプラスチックの掛け合わせのような素材を入れた周辺金属で外から専用の採血の針のような付属品を刺すだけで、採血も点滴もできてしまう優れもの。((ちなみに、カテーテルを長めの皮下トンネルでこのボタンのような部分を下の方腹部に近い肋骨辺りに埋め込む手技もある。腹部ポートの使用率は、圧倒的に小児>成人かな?))

〜背景終わり〜

いや~、けど、血栓の既往が有るから、できればポートを入れたくなんかないんだよね……

しかも、何度も何度も敗血症になっている。敗血症とは、致死率15から25%の感染症。

その上、中心静脈カテーテル(CV)が血栓で詰まって抜いたことも、複数回ある。

骨髄移植の際、ポートではなく、中心静脈カテーテル(CV)を入れなければいけない。首の血管の一本は、既に長期閉塞で実質的には消失している。CVを入れられるのは、一か所のみ。(平時であれば、一応左右の脚の血管もCV挿入に使えるが、免疫が消失する骨髄移植の際には首が第一選択で、実質的には唯一の選択肢となるのが一般的だ。)ポートを入れてしまったら、ポートとCVを同時に同じ一本の血管に入れるか、移植前にポートの摘出手術を行うか……

そもそも、何度も敗血症という命を脅かす重症感染症になっている身としては、敗血症リスクが末梢血管よりも高く、学生さん(研修中のスタッフさん)の練習の第一選択になる「手技を練習させてくれる若年者」になってしまうのもちょっと微妙な気分だ。

そう……始めは誰でも不慣れだし、間違いは起きやすいからね…… ((どの仕事でもそうでしょ? 新人さんにミスは付きもの。それも込みで新米なのだから、その人に罪はない。でも、率先して練習時期に自分の身体を差し出したいと願うかは、ちょっと別問題。))

ちょうど、その前の週くらいに相部屋になった高齢のがん患者さんがポートを入れており、学生さんの練習台になっていた。

その時の彼女の言葉が、「実際のところ、嫌でも断れないわよね。こんな物を入れなくて済むのであれば、入れないのが一番よ……」と悲しそうな表情で私に助言してくれていたのだ。

やっぱり、入れたくないものを入れない方がいいよ、と紳士的な夫人に助言されたら、入れたくない気持ちは膨らむよね。

ほとんどの人は、一度ポートを入れると凄く快適だと喜ぶ。

実際には、合併率が高いわけではないだろう。

しかし、今まで散々、正にポートを入れる血管が何度も血栓で詰まった上、何度も敗血症になっている身としては、それらが末梢血管よりも起きやすいポートはハードルが高い。

必然的に同じ血管に太い穴のCVを入れるか、再手術でCVを抜くならば、なおのこと躊躇しちゃうよね。

普通はない悩みです。

このことを話、ポートではなくてPICCを入れてもらうことになった。

このPICCも血栓で詰まって抜くことになったのは、入れて数週間も経たない時だった。

幸い、大事には至ってませんが、いつどのようなことが起きるかは分かりませんね。

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