フォローしませんか?
シェア
唐仁原昌子
2024年3月10日 23:36
深夜二時、スマホの画面がぼうっと光る。 日曜日の夜中に、こんな時間まで起きているやつなんて、私には一人しか心当たりがない。 光った画面には、想像した通りカオリの名前が眩しく示されている。ベッドに寝転んだまま、スマホを手に取り通話ボタンをタップして応じてあげることにした。「…なにー?」「お、やっぱり起きてた」 夜の隅っこで、だらだら睡魔を待っていた私を知ってか知らずか、声の主は嬉し
2023年10月22日 22:02
♪勝って嬉しい花いちもんめ 負けて悔しい花いちもんめ── どこかから声が聞こえてくる、子どもたちの声。 学校からの気だるい帰り道。 思っていたより冷たい秋風に、思わずめいっぱい伸ばした制服の袖口。 買い物客でざわつく、賑やかな商店街。 商店街にある顔馴染みの肉屋で買ったコロッケを、齧りながら歩く夕暮れ。 重たいリュックに、磨くことを随分サボっている傷だらけの革靴。 横を歩くのは
2023年4月30日 22:39
「ヤバイー、今回のテストまじで死んだわー」「私も。私このテスト1つでも赤点取ったら、お小遣い1ヶ月なくなるんだけど」「まじで?それ鬼すぎん?」「鬼無理。ほんと、絶対死んだ」電車の到着を、ホームで待つ時間。そのほんの数分で、目の前にいる女子高生たちは、何度も死ぬ。彼女たちは口々に、今日あったらしいテストの出来について話し、笑いながら何度も死んでいく。「うわ、バイト先から着信来てる」