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胃腸が弱い人の補給戦略~マイルド糖質制限で脂肪活用能力を上げる~

”脂肪活用能力を上げてレース中の補給を減らす為に何をやったかと、実際の補給について書いていきます。”

ロングのトライアスロン(スイム3.8km、バイク180km、ラン42km)を戦う上では”レース中のエネルギー補給が非常に重要です”ハンガーノックになってしまうと完走するのが難しくなります・・・

という情報が私が初めてロングを走った10年前から溢れていました。

~上記記事から引用~
”そこで、ひとつの考え方として、レーストータルでジェル何個分必要かというのを計算してみます。ジェル1個を120kcalとすると、この場合は3561÷120で約30個のジェルが必要ということになります。それを3種目に割り振ります。”

約12時間のレースでジェル30個・・・

 そんなにたくさん絶対無理!

SNSでレース中の補給を公開している方で、確かにこれくらい取っている胃腸が強靭な方はいます。

しかしながら、私のような胃腸が弱い族はこんなにたくさんは絶対取れません。

これまでは1時間にジェル2個。スイム中は取れないので、バイクとランの約10時間で多くても20個を標準に考えていました。

それでもレース中に気持ち悪くなって苦しんだ事が何度かあります。

そしてレース終了後は、かなりの確率で気持ち悪くなります。レース終了直後に焼きそば食べてビール飲んでいる人が信じられません。

一方で私はハンガーノックの経験がありません。
低体温・低血圧・低心拍で省エネ体質ではないかと思っていました。

補給の大切さの情報が増えたおかげで、ハンガーノックになる人は減って、逆に胃腸トラブルになる人が増えているのではないかと感じています。

そこで、レース中の補給をもっと減らせないか試みました。

1.レース前に取り組んだ事

長距離スポーツの糖質制限に関しては、上の記事が完璧に解説してくれているの、私の適用例を中心に書いていきます。

 1-1.マイルド糖質制限

紹介した記事では完璧な糖質カットを目指しています。普通の人がそこまでするのは生活への影響もあり難しいと思います。

私が実践した事
・糖質を控えめにする(ご飯おかわりしたいところを1杯で終わる)
・蛋白質を多めに取ることを意識する(肉・魚・卵・大豆製品)
・良質な脂質を多くとる(ナッツ・チーズ・乳製品・肉・魚)

特に間食・朝食は⇩のナッツを買ってぼりぼり食べていました。

レース前は練習でエネルギーが不足しがちなので、無理に糖質カットしてパフォーマンスを下げるよりも、上記のようなマイルド糖質制限がちょうど良いと考えました。

 1-2.朝食前の腹ペコトレで脂肪活用能力を上げる

ちょうどスイム以外の練習を朝練に切り替えていました。
最初は意図的にやっていた訳ではなく、練習後に朝食という習慣でした。

そうするとZwiftで100km/2時間30分程度の運動でも朝食抜き・水分以外は無補給で走りきれるようになりました。

どれくらいいけるか試しに、バイク+ラン4時間を朝食抜きカロリー補給なしでも特に問題なく走り切る事ができました。

朝空腹状態でこれだけの時間は体内の糖質だけでは賄えないので、脂肪をエネルギーに変える能力が高まっていると考えられます。

レースは当然朝食を食べて臨むので、5時間くらいは無補給でもいける
⇨そこまで無理して補給を取らなくても良いと自信になりました。

 1-3.レース前に特別な事はしない

■カーボローディングはやらない
レース前の数日間意識的に炭水化物を多く取る”カーボローディング”は止めました。効果も良く分からないし、普段と違う事して体調を崩したり、これをやらなきゃというストレスの方が悪と考えたからです。

遠征先なので普段と全く同じとはいきませんが、レース前も普段通りの食事をこころがけます。

レース前夜もレース当日も緊張からか食欲が落ちるのが常だったので、無理して食べることは止めました。

2.レース中のエネルギー補給

 2-1.45~50分でジェル1個(120kcal)ペース

1時間に吸収できる糖質の上限は60g(240kcal)と言われています。
たいてのジェル1本は糖質30g(120kcal)です。

もっと吸収できるといった説もありますが、胃腸弱い族がこれ以上無理する必要はないのでこれを上限と考えます。

試行錯誤の結果、私の場合は45~50分でジェル1個(120kcal)ペースがちょうど良さそうです。

私の2019年アイアンマン台湾(スイム3.8km、バイク180km、ラン42km)の例を紹介します。

■スイム:補給なし
■バイク:合計850kcal
15km  エネもち  145kcal
40km 粉飴ジェル 100kcal
65km   Mag-on  120kcal
90km エネもち  145kcal
115km  粉飴ジェル 100kcal
140km   Mag-on  120kcal
165km   Mag-on  120kcal
■ラン:合計490kcal
5km    粉飴ジェル 100kcal
15km  Mag-on  120kcal
25km  粉飴ジェル 100kcal
35km  Mag-on  120kcal
ラストコーラ少し 50kcal   ※水分補給については後述
合計:1340kcal

スイムからバイクへ移ってすぐに補給はせず、体を地上に慣らしてから15kmで最初の補給を取りました。上の小谷さんの記事でも最初の補給をスタート90分後に取るとあったので踏襲しました。

恐らく他の人に比べて、かなり少ない補給量だと思います。
消費カロリーを計算すると約7000kcal。
朝食+体内グリコーゲンを1800kcalとすると

不足分の3860kcal(脂肪536g)は脂肪エネルギーで賄ったことになります。

レース結果は、バイクの腰痛やラン後半の失速はあって会心のレースとはいきませんでしたが、私の中でほぼベストのリザルトだと思います。

◼️レース結果
SWIM3.8km 1:16:21 通過エイジ37位
BIKE180km 5:48:27 通過エイジ21位
RUN42km 3:32:33 ※タイムが良いのは2kmくらい短かった
総合10:43:22
エイジ15位/86人 総合57位/459人

脂肪活用能力を上げる取り組みにより、少ない補給でもパフォーマスンスを落とさず走る事ができました。

 2-2.愛用補給食の紹介

■エネ餅
ジェルばかりだと飽きてしまう。やっぱり固形物の方が美味しい。
固形物を前半に取ると胃腸の働きが良くなると聞きました。加えてランに負担がかからないように、バイク前半で取るようにしています。

■粉飴ジェル
成分はマルトデキストリンのみ。胃腸が弱い人にとっては余計な物が入っていないシンプルな方が良い。コスパも良い。

■Mag-on
サラっとして飲みやすい。味もスッキリ+酸味のものが多く好みなので愛用している。

 2-3.ここ一発のスペシャルフードは取らない

補給食は練習時に試す。普段取らないものは取らないが原則。

Vespa、TopSpeed、VAAMといった興奮剤+スズメバチ系のスペシャルな補給は取らないようにしました。

今まで取っていましたが、余計な事をして気持ち悪くなっている原因を作っていたのかもしれないなと。

トライアスロンは長い戦いなので、無理やり興奮剤に頼る程頑張ってはいけないと考えています。

もし取るとしたらランの30km以降。ここまではなるべく頑張らずに淡々と走れるペースを刻むべきです。

持ち物やこれを取らなくてはといった事が増えるのもストレスになるので、余計な事はしない方が良い。

3.レース時の水分補給

上の記事がとても参考になります。以下は私の適用例

 3-1.水分から糖質を取るべからず

意外と無視できないのが飲み物から摂取する糖質。
国内ロングの大会は、たいていアクエリアスとコーラを用意していただけます。

アクエリアス 500ml  糖質23.5g
コーラ       500ml  糖質56.5g

コーラを500ml飲むと1時間の糖質吸収のほぼ上限になります。こうやって見ると思ったより糖質量は多いです。

暑さによっても水分補給量は変化するので、エネルギー補給量を把握できなくなります。

加えてレース中に気持ち悪くなる原因は飲みすぎたアクエリが吸収できないから?とも思っていました。

アクエリ・コーラーといった糖質を含む飲料は取らない。水だけを取ることにしました。

※ただし、ランの残り10kmを切った場合はコーラ解禁します。
コーラを飲むと元気が出ると暗示をかけています。

 3-2.塩分補給その1~オリジナルスポドリ~

水だけだと塩分が不足します。
酷暑下のトライアスロンではアクエリアスでも塩分濃度は低い。

100gあたりの食塩相当量
アクエリアス     食塩相当量0.1g
経口補水液OS-1   食塩相当量0.292g

■バイクにセットするボトル
普段ローラーでZwift時は、下記”ぬちまーす+Xtend”でオリジナルスポーツドリンクを作って飲んでいます。いつも飲んでいるので、レース中も落ち着く&元気が出る気がします。

ボトルに水700mlにぬちまーす2g・Xtend1杯
※塩分は経口補水液相当。真夏でなければ、1g程度でも良い。

■ぬちまーす 
沖縄の海水を独自の製法で作成した、マグネシウム・カリウムといったミネラルが豊富な塩。たまたま沖縄で工場見学に立ち寄った時から愛用。
脱水対策+痙攣予防も込めて使っています。

■Xtend
アミノバイタルなどと同じBCAAのサプリ。水に溶かしてジュースにして飲む。人工甘味料で強烈に甘い点は好みが分かれるところ。
慣れるとその甘さで元気になるような気がする・・・
味はいろいろあるが、酸っぱいのが好みなのでレモンライムを愛用。
スプーン半分でも十分甘いので、かなり長持ちでコスパが良い。
カロリー0

 3-3.塩分補給その2~ねり梅~

最初のボトルが切れたら、水を受け取ります。
水だとそのまま掛け水にもできるメリットがあります。

酷暑で水分補給⇨胃腸で吸収⇨発汗 胃腸弱い族にはこれはかなりの負担です。

どうせ汗で体を冷やすなら、直接水を掛けて体を冷やした方が早い。
とにかくまめに掛水を心掛けます。

水だけ補給すると塩分が不足するので、練梅で塩分を補います。

 これを水分補給と合わせ定期的にちゅうちゅう吸って塩分補給します。

正確な食塩含有量は記載されていませんが、別のねり梅で20%程度と書いてありました。ねり梅40gなら食塩相当量約8g。

これはもうざっくりになりますが、水1L でねり梅40gの1/3程度を上限に摂取します。バイク終了後もたいていは残っています。

ランに持ち越しても良いし、ランはエイドで塩が置いてあるので、それで直接塩分補給は可能です。


いかがだったでしょうか?

必ずしも万人に適用できる内容ではないかもしれないので、部分的にも参考にしていただければと思います。

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