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『ライセンスアウト』というベンチャー企業の新たなマネタイズ戦略の柱

日本に第四次ベンチャーブームが訪れてもう少しで10年近くが経ちます。

その10年を含め、今世紀最大、スーパーヘビー級の経済氷河期とゲームチェンジが同時に訪れたと実感している最中、コロナ前とコロナ後世の中で正とされていたことや価値観がかなり短い間で本当に覆ったような気がします。
ガラパゴス化しがちな日本市場にとっては特に。

このスーパーヘビー級経済氷河期によって、なかなかきついことも多々ありますよね…涙
その中でも、生き残りの兆しが一筋見えた実体験をもとに、きっとベンチャー企業にはライセンスアウト事業をマネタイズ戦略の一つの柱として取り入れることを考えるのは役に立つはずではないかと思い、このブログを書きました。

また、それらベンチャーを取り巻く環境にいる人たちもそういうアドバイスや計画をサポートすることができると、良いことが経済全体に循環するような気がします。

はじめに

現在、経済・経営環境は極めて厳しく、グローバルな企業間の国際競争が繰り広げられています。さらに、技術革新のスピード化・業際化の進展等により、企業の規模の大小を問わず、各企業は自社開発、自社技術だけでは経営計画を十分達成できない場合が多くなっている。

このような状況下において、自社開発、自社技術を補完するための技術導入(ライセンスイン)、および他社支援、経営戦略のための技術供与(ライセンスアウト)の必要性が生じており、現在は技術移転の必要性が高まっている状況と言えると思います。

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知的財産・知的財産権の基本的視点で日本に欠けている思考

知的財産・知的財産権の問題を考える場合の基本的視点としては、以下2つ。

「権利の保護と取得」
「権利の利用と活用」

成熟化という観点からみた場合、「権利の利用と活用」問題がより重要な問題となる。

しかし、私が把握する限り日本市場は「権利の保護と取得」というところで止まっており、「権利の利用と活用」へ進展しづらい性質を持っていると考えています。
その性質は何が原子になっているのかは、明確に突き止められていません。

※個人的には何か問題があるときに、全部が全部因果関係ではなく相関関係で起こっていると考える性格のため…
ただ、ありきたりですが、日本が製造業で経済成長してきたことと大陸続きの国ではないこと、特に知財に関する法律が長い間変化が無い等は少なくても関連していると思います。

なぜ技術移転、技術支援、ライセンシングは行われるのか?

技術移転の必要性について

(1)技術援助を受ける場合(license-in)

①コスト・パフォーマンスの観点から、自社で開発せず、他社から技術援助を受ける。
②技術開発の時間短縮、先発者(Head Starter)の地位確保ができる。
③他社権利の侵害を回避するためライセンスを取得する。
④自社の不得意分野の補完に役立つ。
⑤他社の秘密で有益な情報へのアクセス、利用権取得をする。

企業目的、企業経営理念の基本は、持続的発展、競争力。
そして、企業の持続的発展のためには、イノベーションが必要不可欠です。イノベーションの効率最大化のためには、技術移転、オープンイノベーションを選択的、補完的に位置付け、実施することが有益です。

(2)技術援助を与える場合(license-out)

①製品の製造、販売以外の方法により企業収益の増加を計る有力な手段となる。いわゆるオープンイノベーション。
②他社に技術援助を与える技術力のある会社として企業評価を高めることができる。
③余剰・遊休技術の商品化を図り、技術開発費、メンテナンス・フィーの回収を図ることができる。
④相手方の改良技術についてグラントバックを受けることができる。
⑤国際戦略の有力な手段とする。


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Artriggerのライセンスアウト事業による実体験

Artriggerでは会社のヴィジョンやミッションを達成し、より多くの人たちに価値を届けるためにブロックチェーン技術を強化してきました。
その中で、努めてきたことの一つが特許の取得です。

今では、複数の国際特許を取得しており、それらは収益化にかなりの影響を与えてきました。
コロナの影響で厳しい現在、逆にそれらの技術は必要とされいくつか案件化される見通しです。過去の案件を見てもライセンスアウトまで至らずとも一案件数千万円〜1億以下くらいの規模です。

私たちが特許出願をし始めたのが2017年からになりますが、当時は知り合いの弁護士の方にも、資本力のないベンチャー企業が高価な費用を支払ってまで特許出願をする必要性はないのでは、と特許出願自体が後ろ向きの行為として捉えられたアドバイスをいただくことがありました。

ベンチャー業界はスピードが命といっても過言でないですし、使える資金も限られていますが、要所で業界の核となるであろう部分と汎用性の高い部分を見極めながら大事なところだけ取得を目指し投資してきました。
その結果が時代の流れと共に報われ始めたところだと思います。

これらの実体験からベンチャー企業もサービスの差別化としての特許取得だけではなく、ライセンスアウトも念頭にした事業計画、特許取得に向けた戦略と予算振り分けを行うことはアリだという風潮に起業家含め関係者全体がなると、より多様性ある企業が増え、生き残る確率が上がり成長していくのではないかと思います。

予測ができない現状の中、使えるカードを増やすことによってベンチャー業界以外の外部との接触ポイントも増やし、中堅・大手企業は時間・コストを膨大にかけた研究開発を省略することによりスピーディーに動ける体制に舵を切る。

ライセンスアウト/インは日本経済におけるトリガーになるはずです。
それにより点だった企業同士が面になっていく気がします!


次回は、ベンチャー企業による特許取得までの道のりとリアルなお金の話をできたらと思います。

体験者としてならではの情報を整理して、少しでも多くのベンチャー企業や起業家のクリエイティブがスケールすると良いなと。

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