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企業のブランドメッセージをタイプ別に分類してみる

コピーライターの和田です。のっけからですが、ブランドメッセージをご存知でしょうか?

まだまだ一般的ではないかもしれませんが、企業ブランドを情緒的に発信することで右脳にインプットさせるメッセージを指します。企業キャッチコピー・タグラインと置き換えても、まあOKかなとは思います(企業キャッチコピーとタグラインの定義を語り出すと、1記事書けちゃうので省かせていただきます)。

この記事では世の中にたくさんある企業のブランドメッセージを4つに分類することで、そこに隠されたメッセージを探ってきます。

1:ブランドメッセージの王道! ~意思宣言型~

ブランドメッセージといえばコレ!と言えるのが意思宣言型です。「私たちの会社は○○です!」と、自社を主語にした力強いメッセージを伝えられるので企業のブランドメッセージに最適です。実例をもとに掘り下げてみます。

あったらいいな をカタチにする(小林製薬)

小林製薬の既成概念に捕らわれないチャレンジングな企業姿勢を端的に伝えてくれるブランドメッセージです。「熱さまシート」「サカムケア」「トイレ洗浄中」など、思わずフフッとなってしまう商品ネーミングにも企業姿勢が表れていると思います。

このブランドメッセージを分解してみると、

(私たちは世の中にないけれど)あったらいいな(と思える商品を既成概念に捕らわれずに)をカタチにする(チャレンジングな姿勢を大切にする企業です)。

というメッセージが隠されていると思います。まさに意思宣言型のブランドメッセージ!

もう一例。

その想いを、たしかな未来へ(ブランディングテクノロジー)

私の作成したブランドメッセージです(←ここ重要)。リブランディングする以前の「フリーセル」時代には、「想いに応える、ソリューション。」というブランドメッセージを掲げていました。これも意思宣言型です。

リブランディングを行うにあたり、やはり力強いメッセージ性は伝えたかったので同じ意思宣言型を踏襲しました。また、社内コミュニケーションを考えた時にも、ブランドメッセージのタイプを変えることでスタッフが混乱することを避け、スムーズにブランドシフトできるように設計しています。この設計が甘いと、社内コミュニケーションが阻害されてしまいますからね。

それにお客様に自社をご紹介する時にも、
(私たちはお客様の)その想いを(ブランドへと昇華させ)(テクノロジーやデジタルマーケティングを駆使し、経営を向上させることで)たしかな未来へ(導いていくパートナーです)。

と、フロントに立つスタッフが自社を主語にして語れることを意図しています。こうするとメッセージは力強くなりますからね!

■その他の意思宣言型ブランドメッセージ
Inspire the Next(日立)
向き合って、その先へ。(三越伊勢丹ホールディングス)
ひとの 時を、想う。(JT)
服を変え、常識を変え、世界を変えていく(ファーストリテイリング)
明日は変えられる。(アステラス製薬)
一瞬も 一生も 美しく(資生堂)
いつか、あたりまえになることを。(NTTドコモ)

2:自社の強みを伝える! ~USP訴求型~

イメージとしては小売業や飲食業など、一般消費者向けの企業に多い気がしています。ブランドメッセージの主な受け手である一般消費者に、自社の強やアピールポイントを理解してもらいやすいので、これらの業種に馴染みやすいと思います。

お、ねだん以上。(ニトリ)

シンプルイズベスト! 分かりやすく伝わりやすい。そして、ニトリの企業価値やUSPがしっかりと伝わる。なおかつユーモアも感じられるので親近感がわきやすい。

「お、(めちゃくちゃいい商品がたくさん!)ねだん(しかも安い!)以上(安いのはもちろんだけれど、それ以上の価値や満足がある!)」というメッセージが行間から読み取ることができますよね。

このブランドメッセージなら、主語を企業側に置く(お、ねだん以上。と思っていただける商品を販売する企業です)ことも、消費者側に置く(値段以上の商品が欲しければニトリへ行こう!)ことも可能です。

■その他のUSP訴求型ブランドメッセージ
人を、想う力。街を、想う力。(三菱地所)
新製品が安い(ケーズデンキ)
激安の殿堂(ドン・キホーテ)

3:受け手との距離感を築いてくれる! ~関係構築型~

関係構築型は、勝手ながら現代っぽいブランドメッセージかなと思っています。「グイグイ・ガツガツとアプローチしてくる企業」よりも、「程よい距離感と程よい関係性保ってくれる企業」の方が、受け手側にとっては受け入れやすいかなと思うからです。肉食系よりも草食系。

お口の恋人(ロッテ)

もはや説明不要ですよね。いつかこんなブランドメッセージを生み出してみたいものです。「お口恋人=ロッテ」「ロッテ=お口の恋人」と、ブランドメッセージと企業名がイコールの関係にまで昇華しているのが素晴らしいですよね。これがブランドメッセージのあるべき姿なんだろうなぁ。

(当社の商品を食べていただくことで、お客様にとっての)お口の恋人(と思ってもらえるような存在を目指します)という関係性を感じ取ることができます。「恋人」なのがポイントですよね。ちょっとドキドキできるような関係であることを示唆しているので、企業としてのロッテやロッテ商品に対する期待感や憧れを高めてくれます。

■その他の関係構築型ブランドメッセージ
あなたと、コンビに、ファミリーマート(ファミリーマート)
ココロも満タンに(コスモ石油)
マチのほっとステーション(ローソン)
みんなの食卓でありたい。(松屋フーズ)

4:自社の理解度を深めてくれる! ~事業紹介型~

ちょっと珍しいタイプのブランドメッセージかもしれません。「当社はこんなことをやっている企業です!」と事業内容を伝えながらも、ブランドを浸透させるのが事業紹介型のブランドメッセージです。

事業内容がイメージしにくかったり、ちょっとニッチな企業で使われる傾向がある気がしています。toB向けの企業が多いかも。

空気で答えを出す会社(ダイキン工業)

エアコンでお馴染みのダイキン工業ですが、事業内容を紹介するブランドメッセージを使用しています。でも、「エアコン作ってます!」という事業内容を単に紹介するのではなく、「空気」に重きを置いている会社であることを伝えています。

(ダイキン工業の事業の本質は)空気で答えを出す(ことであり、そのための研究や商品開発には徹底的にこだわる姿勢を持った)会社、というメッセージが伝わってきますよね。

■その他の事業紹介型ブランドメッセージ
窓を考える会社。(YKK AP)
100年をつくる会社(鹿島建設)

5:まとめ
ブランドメッセージを4つに分類してみましたが、その枠にくくれないブランドメッセージもたくさんありました。例えば、インテル入ってる(インテル)。

これは、「PCにインテルが入っていることに価値がある(USP訴求型)」「あなたのPCにもインテル入ってますよ。だから快適なんです(関係構築型)」とも受け取れることができます。折衷型のブランドメッセージもたくさんありました。

みなさまの身の回りにあるブランドメッセージを、分類してみることをおススメします。企業からのメッセージに新しい発見があるかもしれません。

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