【倫理】報道の自由度に関わる「放送法の解釈変更」問題をわかりやすく説明(撤回の真相についても):映画『テレビ、沈黙。 放送不可能。Ⅱ』(田原総一朗、小西洋之)
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国会でゴチャゴチャやっていた「放送法の解釈変更」はこう決着していた!映画『テレビ、沈黙。 放送不可能。Ⅱ』で田原総一朗が小西洋之を問い詰める
非常に興味深い内容の映画だった。覚えている人もいると思うが、少し前、元総務大臣の高市早苗議員が議員辞職をするとかしないとか国会でゴチャゴチャやっていたことがある。この映画で描かれているのは、この騒動に関係するものだ。いわゆる「放送法の解釈」の話であり、「政権からの圧力があったのではないか」みたいな疑惑がその中心にある。「ニュース番組を見てもよく分からなかった」という人もいるだろうし、問題の本質からズレて高市早苗の進退問題ばかりが取り上げられていたことも余計その状況に拍車をかけていたと言っていいだろう。
その辺りの事情について、問題の発端から、そして恐らく国民のほとんどが知らないだろう「意外な決着」までを、この騒動に火をつけた小西洋之参議院議員に田原総一朗が様々な質問をすることで明らかにしていくのが本作である。
本作における最も重要なポイントについてまずは触れておく
さて、この「放送法」に関するゴタゴタは問題が錯綜しており、非常に分かりづらいので、なかなか上手く捉えられないだろうと思う。しかし、本作『テレビ、沈黙。 放送不可能。Ⅱ』に関して言えば、「絶対に知っておくべき知識」は1つだけだ。それは、後で触れる事情によってテレビ等では一切報じられていないため、国民のほとんどがその事実を知らないはずである。私も、この映画を観て初めて知った。
というわけで、まずはその「最も重要なポイント」について触れておこう。まとめると、以下のようになる。
もう少し分かりやすく書くとこうなる。
今この記事を読んでくれている方で、「放送法に関しては一定の知識を持っている」という方は、上述した事実を理解していただければ、もうこれ以降の文章を読む必要はない。後は、「その『撤回』を実現させたのが小西洋之議員であること」「総務省の極秘の内部文書を小西洋之に渡した官僚がいたこと」を知っておけば十分だろう。
さて、私自身は映画鑑賞時点で、「放送法の解釈変更」に関してはそれなりに理解していたと思う。ニュース番組等を見て、「何が問題なのか」はある程度分かっていたし、映画を観ながら改めてそう実感することもできた。もちろん、様々な細部について「こんなことが起こっていたんだ」と知れたし、そういう意味でも映画を観て良かったと思う。ただやはり、「『撤回』されていた」という事実には何よりも驚かされた。小西洋之議員がその「撤回」を認めさせた時の映像も映画で流れるのだが、「恐らく、初めて世間に公開されるだろう」と語るぐらい、世間的には知られていない話なのだ。テレビで報じられなかった背景についてはまた後で触れるが、とにかく、「そんな展開になっていたのか」という点に驚かされた。
「放送法の解釈変更」に関する問題の基本情報の整理
さてまずは、「放送法って何?」「解釈の変更?」みたいに感じている人向けに、基本的な情報を整理しておこうと思う。ただ、私の理解不足や認識違いがあるかもしれないので、その点はご容赦願いたい。以下の文章に何か誤りがあったとしても、それは映画の不備を指摘するものではなく、単に私のミスだと理解していただければ幸いである。
発端となったのは、2023年3月3日の予算委員会で、小西洋之議員がある質問をしたことだった。それ以前に彼は、総務省の官僚から極秘に内部文書を受け取っており、それに関する質問をしたのである。上映後にトークイベントが行われたのだが、その中で小西洋之は、その内部文書の「性質」について、「『総務省が政権からこのように突っつかれている』という事実を総務省内で共有するために作られたもの」だと語っていた。
そして、自身もかつて総務省の官僚だった小西洋之議員は、その資料をひと目見て「完璧な行政文書だ」と感じたという。見て明らかなぐらい、行政文書としての体裁が整っていたというわけだ。また、「放送法の解釈変更」に関しては、政権が総務省に「明らかに違法だと感じられる要求」を突きつけていたとされている。となれば総務省としては、自分たちの身を守るという意味でも、「このような経緯があってこういう決定をしたのだ」という記録を残しておかなければ後で怖いだろう。そのような様々な背景を踏まえれば、これは間違いなく「総務省で作られた正式な文書」だと判断できるというわけだ。
しかし、何故このような念入りな主張をしているのか。それは、当時の総務大臣だった高市早苗が後に、「この文書は捏造だ」と発言するからである。小西洋之からすれば「そんなことはあり得ない」となるし、戦術の経緯を信じるなら、多くの人がそう感じるだろう。「国民に対する裏切りを見て見ぬふり出来ない」と感じた勇気ある内部告発者によって、このような資料が表に出てきたのである。それを「捏造」と言い切って問題の商店をズラそうとしたというわけだ。
では、その極秘文書には一体何が書かれていたのだろうか。その中心的なテーマこそが「放送法の解釈変更」である。「放送法」そのものについては後で詳しく触れるが、その「解釈」について、政権はある変更を行いたかった。そしてそれを実現するために、当時安倍首相の総理補佐官だった礒崎陽輔が総務省に対して、「このような解釈変更をどうにか押し通せ」と、まさに「恫喝」と言うしかない、横車を押すようなやり方を続けていたのだ。その「恫喝」の様子が、文書には記録されているのである。
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