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作詩-言葉たち-vol2

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#自作詩

重なりきれない大切

私が大切にしたいもの、大切にするものを、
大切にすることで、
私が大切に想う世界を大切にしよう

私の大切は、あの人の大切になれない
あの人の大切は、私の大切になれない

重なりきれないふたつを
それすら愛おしんで慈しむ

あの人のいだく宝石が煌めくことを祈るよ
そこに正しさなんてなくて
あの人の放つ光が答えなんだろう

光に望む姿などない
ただ望む光を浴びられることを願う

あなたが生きる姿が見

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SSノスタルジック

懐かしい表紙をひらいたら
あなたは愛しく 其処にいた

そんなに昔じゃないけれど
触れなくなって いつからだろう
忘れるよりも ずっと残酷
心を寄せなくなるなんて

だけど不意に呼び戻された
あなたを愛しく思ったことを
あなたがくれる物語を
そっと見つめていたことを

懐かしい表紙をひらいたら
片付けられた愛しさがまた
桜のように花開いて
胸の奥に熱がさした

永遠なんて誓えないけど
今また少し共

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波にのる
たった一言
とても難しくもあること

櫂を棄てた
流れゆく小舟になるんじゃない
激流を物ともせぬ
船頭となること

流れの道筋を見出すこと
過たず舟を操ること
不意の潮目にも櫂を放さないこと

身を任せながら
諦めないことと似ているのかもしれない

泣きたくなって櫂を棄て去ってしまいたい
激情に駆られる
それでもどうしようもなく此処に在ることを思い知らされて
光はまだ其処にあると教えられ

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夜明けのひかりをとじこめて

夜明けのひかりをとじこめて
金いろの希望を留めておけたら
曇り空の下でも
どしゃ降りの雨の中でも
歩きつづけてゆけるだろうか

朝陽よりもまぶしいのに
月のようにやさしい
あのひかりを
いつも胸に抱いていたい

傘をさすこともできないくらい
雨を降らせて
道なんか見えなくても
たったひとつのひかりが欲しいの

夜明けのひかりをとじこめて
この胸に飾れたら
どんな希望より晴れるのでしょう

ガラスの

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寂しさのしずく

隣にいる人すら
意味を持たぬほどの
寂しさがこぼれでるときがあるの

紫いろの夜は
差し伸べられる手すら厭わしくて
すくいあげられることを望んでいない

闇にも呑みこめない雫を
熱く濡らしては
絞りだせない声を滲ませる

今夜は
孤独なほど寂しくなくなるから
どこまでも一人にして頂戴

世界に別れを告げて
一人 待ち侘びる雨音は
月光の音色よりピアノらしく寂しく響くのでしょう

透明にしすぎた寂し

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