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つながった日々のあれとこれを切り離して、これとそれをくっつけて、自分だけの過去と未来を…

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つながった日々のあれとこれを切り離して、これとそれをくっつけて、自分だけの過去と未来を今つくっていく。言葉でなにかを表現できたらいいな。

記事一覧

GOUTALの“Tenue De Soirée”

眺めているとその深い紫色の底に沈んでいってしまいそうな、大変高貴で稀少な宝石“veritas”でつくられた首飾りがお披露目もされるというパーティー。 招待されてると…

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4年前
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恋人たちシリーズ『拮抗する同性』

私達はまるで違うね 凸凹で補完しあいながら 愛を分かち合うようなふたりでもないね  私達は一秒毎に形状を変えてるから 補うことは難しくて 私達…

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4年前
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渋谷スクランブル交差点

渋谷のスクランブル交差点をみんな行き来してた わたしたち交差点のど真ん中で出会ったね ど真ん中で突然立ち止まったから ぎらぎらと足早に駆け抜ける人々にはねられ た…

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4年前
3

世界にぽつんと佇む

私は何も手に入れることが出来ない。 創りあげたと思ったらたちまち世界に献上されていく。 これは私のものってずっと愛情を注ぎたくても、ゆらゆら天高く上っていってし…

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6年前
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この世界の美しいもの

バレリーナと木々には同じ美しさを感じるの。 バレリーナの指の先の先まで、彼女の意思があるように、木の枝の先の先まで、幹と同じ密度で木であるように。

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6年前

この世界に生まれてきたのは

わたしがまだあそこにいた時に、聞かれたことがある。 ーーあなたは何? わたしは自分が何であるか、懸命に伝えようとした。 でも、たくさんの言葉を使ってでも、足り…

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6年前
1

いつも背合わせに立ってる。自らの足で大地を踏み、進むべき道はわかってる。目を合わせなくとも背中から伝わる熱が、お互いの目の前に広がる世界を伝え合うの。まるで、宇宙の星を一晩でつくれそうな。地球を飛び出して、宇宙に浮かぶガラクタみたいな星に、ふたりだけで立っているの?

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6年前
2

どんなに磨いても美しく輝くことのないガラクタを必死に愛でて私の部屋に置いておく。磨くとかおしゃれに写真を撮るとか野暮なことをするのはやめておこう。火傷するほど熱く心臓が止まるほど冷たくて、不規則に脈打つ荒々しくゴツゴツした触り心地の愛おしいガラクタ。いつまでも拾い上げた時のまま。

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6年前

問いかけはいつも一緒。答えはいつも違う。

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6年前
2

人間って星みたい。
その星をつくる成分なんかも全然違くて、大きさも密度も全然違くて、光り方も、表面も固体のひと液体のひと気体のひと、とにかく全て成り立ちが違くて、そのひとだけの景色がある。

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6年前

GOUTALの“Tenue De Soirée”



眺めているとその深い紫色の底に沈んでいってしまいそうな、大変高貴で稀少な宝石“veritas”でつくられた首飾りがお披露目もされるというパーティー。

招待されてるという金持ちの友人に誘われ、慣れない正装をして俺も参加することに。最近街を騒がせている、怪盗ヴェラがその宝石を狙っているらしいが、こんな大きなパーティーで盗み出すなんて無理だろ?と思う。

きらびやかな美しい装飾、招待客は各界の著名

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恋人たちシリーズ『拮抗する同性』

私達はまるで違うね
凸凹で補完しあいながら
愛を分かち合うようなふたりでもないね

私達は一秒毎に形状を変えてるから
補うことは難しくて
私達にお互いを受け容れる器もないもの

二頭の奇妙な生き物たちだよ 
人間の男の台詞なんて噛み砕いてしまうもん
狂暴な雌の生き物だからさ
神を宿すことも放棄してさ

手も取り合わない
たまに貴女の手を求めて

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渋谷スクランブル交差点

渋谷のスクランブル交差点をみんな行き来してた
わたしたち交差点のど真ん中で出会ったね

ど真ん中で突然立ち止まったから
ぎらぎらと足早に駆け抜ける人々にはねられ
たちまち赤信号になって発進する車にひかれて

でももうこの縞々を渡りきることには
ごっそり関心がなくなってしまった

ゆっくりと縞々から足をはなした君
「もう歩かなくていいよ、手を」
わたしも上に連れていってくれるの?
震えるわたしの手を

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世界にぽつんと佇む

私は何も手に入れることが出来ない。

創りあげたと思ったらたちまち世界に献上されていく。

これは私のものってずっと愛情を注ぎたくても、ゆらゆら天高く上っていってしまって、触って感触を確かめることさえ出来なくなる。

感情を体験した確固たる事実だけ残して、傷みたいに痛くなる。

この世界の美しいもの

バレリーナと木々には同じ美しさを感じるの。
バレリーナの指の先の先まで、彼女の意思があるように、木の枝の先の先まで、幹と同じ密度で木であるように。

この世界に生まれてきたのは

わたしがまだあそこにいた時に、聞かれたことがある。

ーーあなたは何?

わたしは自分が何であるか、懸命に伝えようとした。

でも、たくさんの言葉を使ってでも、足りなかった。

だからわたしは、自分が何であるかを表現するために、
この世界に産まれてきた。

わたしが生きてきた今までのこと。
望んでいるこれからのこと。
愛している今のこと。

これが、わたし。

いつも背合わせに立ってる。自らの足で大地を踏み、進むべき道はわかってる。目を合わせなくとも背中から伝わる熱が、お互いの目の前に広がる世界を伝え合うの。まるで、宇宙の星を一晩でつくれそうな。地球を飛び出して、宇宙に浮かぶガラクタみたいな星に、ふたりだけで立っているの?

どんなに磨いても美しく輝くことのないガラクタを必死に愛でて私の部屋に置いておく。磨くとかおしゃれに写真を撮るとか野暮なことをするのはやめておこう。火傷するほど熱く心臓が止まるほど冷たくて、不規則に脈打つ荒々しくゴツゴツした触り心地の愛おしいガラクタ。いつまでも拾い上げた時のまま。

問いかけはいつも一緒。答えはいつも違う。

人間って星みたい。
その星をつくる成分なんかも全然違くて、大きさも密度も全然違くて、光り方も、表面も固体のひと液体のひと気体のひと、とにかく全て成り立ちが違くて、そのひとだけの景色がある。