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【企画】夜行バスに乗って

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2024.3月に行われた企画の収納マガジンです。 夜行バスに乗って新宿に向かう人々、見送る人々、あるいは……!! 珠玉の note クリエイターが描く、春の群像劇をどうぞみなさま…
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【短編小説】ニシヘヒガシヘ あとがきのようなもの+おしゃべり

 このたびは短編小説『ニシヘヒガシヘ』をお読みいただき、ありがとうございました<m(_ _)m>  こちらの作品は、豆島圭さまの企画に参加させていただくために書いたものです。  人気者の豆島さんが、こんな面白い企画を打ち出したのは、3月初日のことでした。  期間はひな祭りから春分の日までの19日間。  バス内部の座席表や、出発駅、到着駅など、舞台の設定に細やかな気配りがありますが、そこで繰り広げられる世界は基本的に自由とのこと。  他の方の作品に絡めてもOK。(ただしリ

《#夜行バスに乗って》お尻拭き職人の話

どうも。3児のパパです。 ウソじゃないです。3児のパパです。 長女さん(8歳)と次女さん(5歳半)、 3女さん(3歳半)を絶賛子育て中です。 やってしまった・・・・。 完全に締め切りを忘れてました・・・・。 ということで、締め切りを1日過ぎてしまいましたが、 当然のように投稿してみたいと思います。 以前途中まで書いてたお尻拭き職人の話2が 企画内容にぴったりだったので、 刷り直してみました。 序章 一体いつぶりだろう。次女さんが1歳の時にディズニーランドに行ったから、

夜行バスに乗せて

ふぅ。 長い旅だった。さすがに疲れたよ。 最後の客を見送ると、私は事務所の仮眠用ベッドに倒れ込んだ。 帳面町からバスタ新宿まで9時間。ひな祭りから春分の日まで、合計19日間の旅。 いやあ、よく頑張りました。わたし、偉い! え、ブラック企業と思った? いやいやいや。そんな長旅、私ひとりぶっ続けで運転できるわけないじゃん。 「乗合 春」は、風林火山号の運転手の総称。 そのほとんどは自動運転。そう。AI春ちゃんが運転手。 AI春ちゃんが調子悪い時は、一緒に運転席に座ってたけ

春と風林火山号……が出発するところ

 帳面町は県の北東部に位置する自治体である。  明治維新以降、石灰石の鉄道貨物輸送が盛んで、とくに戦後の高度成長期のモータリゼーションによる道路網の整備や都心開発のための旺盛な建材需要に応え発展してきたのであった。  世の中が右肩上がりを信じて疑わなかった時代までは歴代の町長が可能性の低い新幹線駅の誘致をおおまじめに選挙公約として掲げ、当選後も実際に県や国に嘆願していた町でもある。石灰石の採掘による人口増加と産業のさらなる発展を見込んだものであった。  高度経済成長期にはセメ

『夜行バスに乗って』 豆島圭様企画に乗ったkaze企画の顛末 

※この物語はフィクションです。すべての出来事や企画は実在するクリエーター様とは一切関係がありません。 (本文約5400文字)    あと30分ほどで21:00。やっと一日を終えた通勤族の視線は、一番小さなサイズのキャリーバッグですら許そうとはしない。混雑した電車からの押し出され方に未必の故意が感じられる。俺はもう少しで自分のバッグに躓いてホームに転倒するところだった。  昭和のモーレツじゃあるまいし、平日に旅支度は珍しくあるまい。ただ我が身に迷惑と感じれば、マナー六法を駆使

『夜行バスに乗って』#夜行バスに乗って

*ふと思いつき、書こうかと一瞬・・・思ったのですが noteterさん達との交流がほとんどない自分には無理と断念。 こんな設定だと愉しんで遊べる人もいるかな?などと 大まかなプロットだけ書くことにしました。(笑) 「春と風林火山号に乗って新宿に行こう!」の 基本的な『夜行バスに乗って』の企画はそのまま。 運転手の「乗合 春」さんも、 「4B」シートのフード男もそのままに・・・ ☆☆☆ 帳面町のバスターミナルには《バスタ新宿》に向かう数台のバスが。 バスにはそれぞれの号に

小説/予備席の男《#夜行バスに乗って》

僕は、兄さんが託してくれた手紙を再度開いて読み返した。 「自分に何かあったときに読んで実行して欲しい」と言って手渡されていた手紙。 間違いないと思う。 夜の籠、新しき宿、そして、春。 帳面駅に貼ってあったポスターを見た時ピンと来たんだ。手紙はこの夜行バスのことを言っているに違いないって。 「予備ニ坐スラバ」って言っても小学校の時の遠足みたいに夜行バスに補助席なんてない。予備ってなんだよと思ったけど予約サイトを見てはっとした。 「4B」の席だ。 キャンセルが出たのか直前にな

初めての #夜行バスに乗って

初めての夜行バス。 目覚めたら新宿だった。 (20字) 実は夜行バス。乗ったことがないんです。 その昔は夜行列車で東京に行ったものです。 しばらく寝かせていたけど、20字から増える気配がないのでこのままアップさせていただきます。

短編小説/夜行バスに乗って

 帳面町には古いしきたりがあって、四人の童貞が神事を務めなくてはならない。巫男と呼ばれている。巫男に選ばれた男は死ぬまで童貞を守らなければならない。巫男の一人だった武田冨福さんが八三歳で逝去されたのは、暖冬のまま終わると思われた冬が急に底冷えしはじめた二月の終わりのことだった。  四人ということに意味があって、三人では駄目なのだろう。諜報員の眼をした自治会の人が見廻りをしている。心の奥を見透かすような笑みを浮かべて、「今日は雨ですね」と声をかけてくる。彼は黒い雨合羽を着ていて

到着 #夜行バスに乗って 企画参加作品

・帳面町からバスタ新宿までの夜行バス ・① 「4B」の席には 10代後半~20代くらい?男性? (フードを被ってマスクをして いるのでよく分かりません)が 出発直前に乗り込みます。 ・夜中の2時過ぎ、サービスエリアの 休憩中に座席に座ったまま、 ある物を床に落とし慌てて拾い上げます。 それは「拳銃」に見えました。 ※ ※ 本日締め切り。 色々な人々を乗せて (一部ロケットランチャー所持で乗れない方も)まもなく新宿に。 新宿についたら どんな事が起こるのか。 楽しい企画

【創作】夜行バスの悲劇

※この創作は  体調の悪い方、また  グロテスクな表現に弱い方は  決してお読みにならないでください。  ある意味ホラーです。 東京へ帰る手段は夜行バスにした。 新幹線よりもお値打ちだし 最近の夜行バスは とても快適だと聞いたから。 私は乗り物酔いをする。 だから長時間乗る夜行バスは 乗ったことがない。 「最近のバスはあまり揺れないから  前の席に乗れば大丈夫。  嫌な臭いも少ないし  寝ている間についちゃうよ」 私の頭を大きい手で 優しく撫でながら言った彼のことばに

誤用と伏線について考える

 目に入れても痛くない。  そんな表現がある。  近頃、SNSなどの影響なのか、 「一生食べていられる」 「神ってる」 「秒でバレた」  などなど、やたら大袈裟な表現が目立つようになった。  オーバーな言い回しをするほうが、テンションも上がって、会話が楽しいのだろう。  先程、冒頭で記した  目に入れても痛くない。  は、そんな過剰表現の元祖のような気もする。  常識的に考えて、どんなに小さくとも、幼子をぐりぐり目に入れたら痛いに決まっている。しかし、  その常識すら吹

【創作】夜行バス フーリン

かつてフーリンはバス会社一の人気者でした。 帳面町から東京まで向かうバスはフーリンの1台だけでした。 ゆったりとした座席で夜の間に目的地まで快適に運ぶその夜行バスはたくさんの人たちから利用されていて、他のバスたちにとってもフーリンは憧れのバスでした。 「俺もフーさんみたいにたくさんのお客さまを乗せたいな!」通学バスのビシャはそう言っていつもフーリンの後ろをついていきました。 「まるでベッドみたいに眠れるバスなんてお前くらいだよ」路線バスのシノーは先輩でしたがフーリンのことを

小説│駆動 [#夜行バスに乗って]

 23時半の高速バス乗り場は、漆黒の中で切れかかった街路灯が瞬きを繰り返しており、錆びれた舞台上を想起させるようだった。ガード下で一列に並ぶ人々の他に歩く人はなく、時折目の前の道路を、大型のトラックが低い振動音と共に走り去っていくのだけが、唯一の動きらしい動きだけだった。  私はバスを待つ列の中ほどに立ちながら、ダウンジャケットに顔を埋めた。北国の春は遅い。3月も末というのに気温は1桁を叩き出していてた。一方で、本日の目的地では桜が開花したらしい。しまったなと、僅かな後悔が芽