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うまいこと他人には言えないような心の機微を一つひとつ摘み取って並べてできたもの。
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#未来

くもり時々炭酸シャワー

くもり時々炭酸シャワー

なりたかった私はどこへ
手を伸ばした瞬間
いつもシュワッと消えてゆく

「今日の天気はくもり時々炭酸シャワー。
お出かけの際はカッパを忘れずに。
弾けて消えないようご注意ください」

何人もの私を見送ってきただろう
これが最後なんて決められなかった
こわかったのは私
どんな自分にも自信がなかった

でもほら空を見上げると
浮かんだ泡の数だけ“夢”が
出会いと別れみたいに
くっついたり離れたりしなが

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詩「砂糖菓子の祈り」

詩「砂糖菓子の祈り」

わたしのこころは
どうして砂糖菓子のように
もろく 甘く 繊細なのだろう

ほんのすこし 
風に吹かれただけで
ほろほろと崩れてしまう

一滴にうたれれば
穴があき 音もなく
溶けて消えていってしまう

神さまはどうして
わたしをこんなふうに
おつくりになったのだろう

わたしはどこを向いていればいいのだろう

愛がこわい
愛する者を手放す恐怖に
夜もねむれず おびえている

不確かな未来に
悪し

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詩「それから」

詩「それから」

今が過去に流れていく 

「それから?それから?」
急かされるように今日も過ぎてゆく

いったいいつから
誰に
急かされるようになったのだろう

鏡を見つめる

いくつ歳を重ねても
変わらない何かがある
くすぶる灯心を揺らしながら
絶えぬ想いは命と共に

ゆっくりと目を閉じる

「それから」の続きはいつだって
まっすぐに未来に向けられている
出会った人の数だけ
夢と憧れを詰めこんで

目を開けると

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