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ロック座

先日、浅草のロック座へ行った。

入場料は4000円だった。
僕の財布には、3000円。

よし、いっちょ増やしてから行こう。
ここで、ひと勝負キめこんでやろう。

そう思い立ち、ストリップを見る前に
GOGOを光らせに行ったのだが
一度も光る事なく、
浅草への入場料3000円を支払ってしまった。

以前、高円寺へ9000円ほどを支払った過去もあるので、
耐性はついていたが、さすがにコタえた。

入場料を支払ったって、
別にその街が優しくなる訳ではない。

非常に軽薄な算段であり、
人生はそう簡単にうまくいかないことを教えてくれる。
学ばない僕。
学ばない人間。
この世界から争いが絶えない理由を
自分自身から学んだ。

負けてエスカレーターを上がると
そこにロック座。

いつものようにセブン銀行にお世話になる。
いっそ、なくなればいいのに。
そうしたら困るのが目に見えるから
一生勝負しないのに。
いやそうなってもきっと勝負したくなるよね。
男の子だし。

ストリップ劇場は、
映画館のようにスクリーンがあり、
スクリーン下に舞台があり、
客席中央に回転台がある。
回転台から舞台までは、通路になっていて
観客は回転台付近に密集する。

観客は年金暮らしをしているようなおじいちゃんを中心にチラホラと同年代。

開演前に薄暗い箱の光で
読書をしている女の子がいた。

そうだよね。
ここはそういう場所だよね。

ビートたけしの半生を映画化した浅草キッド
でたびたび登場するストリップ劇場だが、
生で観るのははじめてだった。

はじまる。
面積少なめのレースを纏った女性が登場。
パリコレモデルのように凛とした佇まいで
回転台まで歩く。

スッと、その瞬間の区別がつかないくらい自然に、裸になる。

生まれたままの姿で彼女がまわる。

今この瞬間を生きる、最も美しい女性が
生身の身体を社会に放つ。

大きな箱に
生身の女性と服を着た50人の人々。

ゴッホの展覧会よりも高い値段設定であると
観る前は正直思ってしまった。
ただ見始めて、思った。
そんなの当たり前である。

局部を開脚する。
拍手が起こる。
最初のうちは思わなかったのだが、
段々と慣れてくるとその拍手はスケート選手が大技を繰り出したかのように。
女子ゴルファーがナイスショットをしたときのように、似たようなものを感じる。

下半身のワクワク
上半身の脳みそ
中心部のハート
それぞれが爆発的なスピードで体内を駆け巡る。

最後、彼女たちが帰って行く際、舞台に下されたスパンコールのキラキラした幕を背景に、ポーズを決める。

キラキラの画面に、美しい裸の女性が1人。



水商売の人と会うとなぜだか親近感を感じる。

それは、僕が一度しぬほど辛かった時、
占い師に「あなたには水の気質がある」と言われた事が起因している。

あぁそうなの?
しかその時は思っていなかったが、
今でも覚えているというのには何か思い当たる事があるのかもしれない。

いや、ない。

まぁそんな事は置いておいて、
ロック座は落ち着くし、元気が出るしで
僕にとっては万々歳な場所だ。

僕は今ベトナムの路上でタバコをふかしていますが、
彼女たちは今日もひと仕事しているのか。

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