マガジンのカバー画像

140文字小説以外の小説のまとめ

10
140文字以上の文字数の小説
運営しているクリエイター

記事一覧

W町のA子さんの話

 私が住んでいる街ではハロウィンになると町内会でハロウィンをする習わしがある。協力してくれる商店街のお店にあらかじめ飴を配っておき、仮装した子供がきたら渡してあげるのだ。今年は私もスタッフとして参加する。今年はペロペロキャンディとチョコ、ジンジャーブレッドマンを配る予定。
 先に募集をかけた結果、参加者の数は子供20人 、大人は15人とわかっている。大人は子供の付き添いなのでお菓子は配られない。お

もっとみる
短編小説 映画座にて

短編小説 映画座にて

呪文みたいに複雑な名前の監督が撮ったという映画を見に映画館へとやってきた。  
 上は年寄りから下は幼稚園児まで様々な年齢の人たちが臙脂色の椅子に座って映画の始まりを待っている。
 始まりを告げるブザーの音が鳴った。映画が始まった。スクリーンに赤や黄色や緑のボールが映し出された。ボールは弾んだり、跳ねたり、飛んだりと様々な動きを見せる。ボールが変な動きをするたびに観客は笑い声をあげ、両手を叩く。

もっとみる
【短編小説】バスを待ちながら

【短編小説】バスを待ちながら

 真っ白い霧があたりを覆っていてまるでミルクの中のようだった。
 私は家に帰るために、バスを待っていたのに、眼の前にあったはずのバス停の標識が無くなっている。下を見ても地面が見えない。まるでミルク色の靄の中に自分の体が浮かんでいるみたいだ。
「ばにぱにまーしゅんしゅん」
 丸眼鏡の中年男性が向こうから体を左右に揺らしながら、歩いてくるのが見えた。
 叔父だった。
 大阪にいるはずの叔父がなんで東京

もっとみる
【短編小説】ランプと青年

【短編小説】ランプと青年

青年は蚤の市で美しいランプを買った。青年が、ランプを磨くと美しい女魔神が現れた。「食べ物がほしいわ」お腹いっぱいになったら願いを叶えてくれるに違いない。たくさんの食べ物を用意した。「お腹いっぱいになったら眠くなったわ」美しい寝台を用意した。眠ったあとに願いを叶えてくれるに違いない。
 たが、女魔人は願いを叶えようとは言い出さなかった。
 青年は女魔人につめよった。
「あら、わたし願いを叶えるなんて

もっとみる
【短編小説】「1776年7月4日」

【短編小説】「1776年7月4日」

 これは2023年にツイッターに投稿した140文字小説に加筆をして140文字以上にしたものです。

 古本屋で一冊の本を見つけた。英語で書かれた英語の諺についての本で表紙には鷹が描かれていた。
 幾人もの人の手を渡ってきた本なのだろう。表紙の金文字も天金も黒ずんでいた。私はそのアンティークな雰囲気を気に入ってその本を買った。
 家に帰ってから本を開くと一枚の紙きれがペラリと床に落ちた。紙切れは日焼

もっとみる
【短編小説】疑惑

【短編小説】疑惑

 彼女と僕が山にハイキングに行ったのは五月の事だった。川沿いを歩いていくと小さなお社があった。ずいぶんとさびれた社で屋根は壊れて中の鏡が見えていた。
 僕と彼女はその社に手をあわせた。それからもと来た道を戻った。山を下りるとき彼女はしきりと後ろを気にしていた。何しているのと問うと首を傾げる。何か変な感じなのよねと言った。それからというもの彼女は何かにつけて「へんなのにつけられている気がする」とか「

もっとみる
【短篇小説】5月の庭

【短篇小説】5月の庭

うちのお隣には品の良い老夫婦が住んでいる。頻繁に訪ねてくる息子さんや息子さんの友達もみんな、穏やかそうな顔をしている。なにより素晴らしいのは庭だ。見たこともない美しい花が咲いている。私はスマホでパシャリパシャと撮影して自分の家の庭の写真だと嘘をついてSNSにアップした。
SNSは炎上した。どうやらあの花は、栽培してはいけない類のケシの花だったらしい。お隣の家のご夫婦が逮捕された。しかもよく遊びに来

もっとみる
架空のあらすじをまとめてみた

架空のあらすじをまとめてみた

 あったらノベルズというアカウントさんがあります。あったらノベルズさんが考えた架空の本のタイトルに他の人が内容を加えるという遊びをしているアカウントさんです。うさぴょんが、あったらノベルズさんのツイートに返信したもののまとめです。

【短編小説】「二人一組でペアになりましょう」

【短編小説】「二人一組でペアになりましょう」

 クラスでペアになる時さ、誰かひとり余るんだよ。人数の問題でさ。で余ったやつは先生と組むよね。でさ、校庭で体育やるときはあまりがでるのに体育館で体育やるときだけあまりが出ないの。先生が応援呼んできたとか、誰か気ィきかせて3人で組んだとかじゃなくて、はじめから余らないの。
 誰か知らん奴が混じっているって事でしょ。すごい怖い。でも見回しても知らない顔の人は一人も居ないのよ。
 同じクラスの奴らも先生

もっとみる
【短編小説】打ち明け話

【短編小説】打ち明け話

夢の中で私は麻雀を打っていた。私は麻雀のルールを知らない。適当に牌を動かしただけだ。なのに周りの人達は負けた負けたと言って私に現金を束で渡してくれた。何回か勝負した後、その現金を透明な袋に入れて担いで家に持って帰ることにした。が重い。うまく運べずに、置いて行くしかなった。
そこで目が醒めた。その日の午後、北海道で透明な袋に入った1000万が見つかったとニュースで見た。その1000万は私が夢の中で置

もっとみる