車のなかで
私は車の運転が下手だ
未だに
パーキングするのに
何度も切り返す
車幅感覚は
ほとんどないし
車には
傷がある
でも
運転しながら
音楽を聴く
その時間が好きなの
あの
狭い
密閉空間が好き
自分の
薄くふった
香水が薫るのも良い
今日は
ちょっと長くドライブするから
パリの
「ホテルコスト」
のコンピレーション
車内が
ラウンジの奥行きになる
狭いところで
慌ただしいセックスは
嫌いだから
カーセックスは
したことがない
でも
先日彼が
昔、したことがある
と
言った
彼は
今までこれほど
誰かを愛したことは無いと言い
私のために
全てをくれる
その愛を
疑いはしないし
感じるけれど
私の中の
黒い炎がちりっと
出てきて
この
限られた空間で
彼の上で
両手で彼の耳を塞いで
彼の舌を
私の舌で
愛撫して
彼のものを私におさめて
激しく
時にゆったりと
汗かく算段を
始める
私に
こんな気持ちを
抱かせるなんて
憎らしい
上書きして
忘れられない
思い出を
プレゼントするわ
受け取り拒否は
できないの
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