19歳

人生は思ってる以上に残酷だ、と思う。

高校卒業してすぐにわたしは社会人になった。
進学しても勉強へのやる気が出ないと思ったからだ。学費の無駄だと思った。
やりたいと思ってるものはあったけど、
それが夢かわからなかった。
またいつもみたいに中途半端で
終わってしまうそんな気がした。
自分の取り柄が何かも分からず、
昔から友達と同じ道を選んでいた。
自分の気持ちはいつも迷子だった。

分からない、どうすればいいんだろう、
そんなことばかりの毎日。
成長するほど、日々選択を迫られる。


何も判断できない。


いつも最終決定をする前に母に相談をしていた。
母はいつも "自分で決めなさい" と言いながらも
意見はちゃんと言ってくれていた。
母の意見を聞くといつも正しい方向へ
向かっていたし、自分は母の意見が
全て正しいとも思ってた、
のだと思う。

それもあってか、社会人になろうと思った。
もう自立しようと思った。
母の意見はなるべく聞かないように生きようと
そう思った。思えばあの時のわたしは
どこか大人になった、とさえ錯覚していた。

4月。晴れて社会人になった。
夢と希望に溢れていた。
新しい環境。親が買ってくれたスーツを
身に纏って、長くした髪の毛でポニーテールにして
学生の時にはできなかったお化粧もした。

入社式の時、新入社員の代表に選ばれて
決意文を読んだ。
研修の時もいつも先頭になって
同期と一緒に一度も寝ずに乗り越えた。

長い研修を終えていざ配属先へ。
わたしの他にもう1人の同期と一緒だった。

その同期はわたしとは正反対で
なんだかすごく羨ましいと思った。
同期はいつも自分の気分で
やりたいことをたくさん叶えて
動いていたからだ。
髪の毛だって染めていたし、
ネイルだってしていた。
わたしはやりたいとは思わないが、
ピアスだってしていた。
わたしは周りの目が怖くてできなかった。
周りはどう思うのか、ただそれだけのために
何もしてこなかった。
昔からそうだ。

自分のやりたい、と思ったことを
口に出すと母に否定されていた。

アイドルになりたい、看護師になりたい、
きっともっとなりたいことはあったけど
全部どこかに消えてしまった。
口を開くたびに何か理由をつけられた。
でも母が全て悪いわけじゃない。
否定されても貫かなかった自分が悪いかもしれない。それでも一度否定されると、
全部否定されてる気がして、
何もかもやらなくなった。
勉強だって同じだ。だからやらなくなった。
やる意味がないと思ってた。

話は戻るが、配属先の人たちは
第一印象は悪くなかった。
ただ同期とわたし2人の新入社員を前に
きっと心のどこかでわたしは、
比べられるのかなあ、と思ってしまっていた。
わたしは何より人と比べられることが嫌いだ。
比べられるというのは、人に必要とされるか、
必要とされないか、の2択になる。
人に必要とされたい。嫌われたくない。
そんな気持ちしかなかった。
みんなに好かれてないと、
自分はダメだと思ってしまう。
また学生の頃みたいにいじめや嫌がらせに
あうかもしれない。

人に嫌われることが一番嫌だった。
が、その心配をどこかで知ったかのように
周りの人は比べ始める。
わたしも同期も2人とも女だった。
配属先はほとんど9割が男。
同期はいわゆるギャル要素が強いし
メイクもバチバチしていた、が
それが男からしたらよかったのだろう。
同期ばかり贔屓される場面が増えた。
最初の頃は愛想良く振る舞うことが
一番だと思っていたし、そうすれば贔屓される
と思っていた。でも実際は違った。
圧倒的に扱い方がおかしい。

ただ全員が贔屓してるわけではないし、
わたしのことを贔屓している人たちもいた。
これは仕方ないことなんだろうと思った。
割り切ろうとも思った。

だが、そう簡単にいかないものだ。
一度気づいてしまったら、
ずっと気にしてしまうのがわたしなのだ。

同期はあまり仕事ができなかった。
なぜならわたしとは正反対で慎重でもないし、
真面目じゃないからだ。
適当に仕事して、ミスしても
周りが贔屓してるから許してもらっていた。
わたしは反対になぜか仕事ができた。
できてしまった、と言った方が
いいのかもしれない。
そしてそれを誇ってしまっていた。
次から次へと仕事が増えていく。
最初の頃は仕事さえできていればいいと
思っていた。だが違うもので、日に日にわたしも
バカみたいにヘラヘラしてみんなから
贔屓されるような人になればよかった、
とさえも思ってしまうくらいになった。

半年経つ前に今まで一緒にお仕事を
してくれていた職場先輩が異動になった。
わたしは正直、その人を好んでなかった。
わたしに仕事を任せてるくせに、
隣でスマホみて遊んでるし、
自分よりも効率悪く仕事をしていたからだ。
その上、異動と聞いたのは
異動する1週間前で、何も引き継ぎがなかった。

入社して半年も経ってない、
まだ出来ることが
かなりかなり少ないわたしを残して
異動することを許した上層部の意図が
未だにわからないくらいだ。

結局、職場先輩は何もないまま異動していった。
取り残されたわたしはそこからの日々が
想像より遥かに地獄だったことを
まだ知らなかった。

1人になってから思ったこと。

まずは周りの人がわたしよりも
この会社にいるはず、なのに
誰もわたしの担当する仕事の内容を
知らないということ。
次に、定時で帰宅する同期とは
真逆でわたしが残ってても
誰も声をかけずに帰ること。
その上、残業はつけてもらえない。
朝は誰よりも早く会社に行ったし、
夜は誰よりも遅く会社にいた。
そんな毎日がずっと続いた。
誰からも評価はされなかった。

一年目だから、と渡された評価シートは
ランクが一番下だった。
一年目だとしても多少評価があると思って
期待していたわたしはここにずっといても
いつまで経っても誰からも評価されない、
そう思ってしまった。
そして自分の存在までも否定するようになった。

なぜこんなにも1人だけ頑張ってるのだろう

もう、先が見えなくなった。
入社当初、会社から帰ると、
普段なら筋トレしたり
ランニングしたりしていた。
動くのが好きだったからだ。
嫌なこと全部忘れられるから続けていた。

だけど1人でお仕事をするようになってからは
帰宅するとすぐにベッドに入るようになった。
いつの間にか毎日のように泣く日々が続いた。
自分でもなぜ泣いてるのかわからないくらいだ。
涙が止まらなくなった。

そしてある日、母が 
"そんなに嫌なら仕事辞めたら?"
とわたしに声をかけてきた。
その言葉を聞いた時、内心すごく腹が立った。
今まで何のために頑張ってきたのか
余計に分からなくなった。
その母からの言葉は何回も何回も
かけられるようになった。
わたしは仕事を簡単に辞めたらダメだと思って
何回も我慢したからだ。

我慢しすぎたある日、朝起きようとすると
吐き気が止まらなくなった。
車に乗って職場へ行く時も。
車から降りて職場まで歩く時も。
逆に職場から車のある駐車場へ歩いて帰る時、
車で家まで帰る時。
お風呂に入る前。
お風呂に入った後。
夜寝る前。

わたしの全てのどんな時でさえ
吐き気が止まらなくなった。
でも吐かないのだ。吐けなかった。

追い討ちをかけるかのように、
友達と遊びに行く時も
吐き気が止まらなくなってしまった。

部屋から出られなくなった。
外に出るのも怖くなった。

余計に自分を見失った。
もう限界なんだ、と気づいた。
19歳にもなって自分の限界を知ってしまった。
こんなに苦しくなるなら生きなくてもいい
そんなことさえ思うようになった。
毎日が苦しい。もう死にたい。
と感じるようになった。

そしてついに上層部に相談することにした。
もう辞めたい、続けられない、と伝えたら
もう少し続けて欲しい。と言われた。


実際上層部からそのような言葉を
かけてもらえたことがちょっとだけ嬉しかった。
自分なんかを必要としてくれてることに
嬉しさを感じてしまった。
ただそれだけ必要としてるのならもう少し気にしてくれててもよかったのではないか?とも思った。

人間関係も苦しいし
会社に行くのも会社から帰るのも
夜寝て朝起きるのも日々の生活で
吐き気が出てるし限界なんです、

そう伝えても上層部は
"人間関係は他の会社に行っても
同じなのでは?"とか
"なんならここで戦ってみようよ" なんて言われて
頭イカれてるって思った。

こんなクソなところにずっといる必要ない
そう思った。

上層部との話し合いが終わった後、
事務所に戻るといつもならわたしなんかに
声をかけない人たちが声をかけてきた。
そしていつも以上にわたしの仕事に参加してきた。
急に態度がコロッと変わったのがすぐわかった。
いかにも、辞めるなよ? と訴えているような
ものだった。そう思ってしまった。
なんだか気持ち悪くなった。

そしてわたしは1年半勤めてきた会社を辞めた。










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