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川口には人間がいない。 人間がいないなら、この街にいるのは妖怪だ。 閑静な住宅街と…
大阪の大学を卒業して埼玉県の川口市に引っ越してから、私は一体どんな小説を書けばいいのか…
埼玉と東京は、荒川で区切られている。 なんて私は安易に考えていた。京浜東北線を使う人…
先日、埼玉県川越市で行われる川越まつり(川越氷川祭)を観光した。ユネスコの無形文化遺産…
用水路に落ちたら死ぬ。側溝に流されたら死ぬ。 私の地元はそれなりに豪雪地帯なので、雪…
「お祭り」という舞台は物語のなかでよく登場するものだと思う。娯楽作品なら友達や家族や恋…
地元のお祭りというと、確かに市街地のほうでは商店街を丸ごと使うような大きなお祭りもあったけど、私の記憶にあるのは集落のお祭りである。白山神社と、今はもう更地になった私の母校である分校場。お祭りというよりか、実際のところは集落の年寄り達が御堂に集まって酒を飲み、子供達は親達に連れられて賽銭箱にお金を入れたら、境内に一つか二つだけ遣ってきた玩具の屋台で珍しいものを買って帰るぐらいのものであった。 あんな過疎集落のお祭りにも屋台は出ていた。 この世には、とても小規模な集落
純文学には「(文学的に)評価の高い経験」を描くことを求められる、という環境がある、と仮…
物語というのは、それが実体験や実話に基づくものであれ、完全に独立した虚構であれ、登場人…
筆記試験よりも経験を重視すべきだ、という乱暴な主張に対する様々な反論意見が一時期どばど…
純文学なるものが、仮に私小説的リアリズムを系譜を引くジャンルであると考えるならば、当然…
ここでリアリティについて、非常に面倒な二面性にぶつかることになる。同じようなことが何度…
半年ぐらい前のこと、朝里樹『21世紀日本怪異ガイド』(星海社新書)という書籍を読んだ。文…
私がまだ幼かった頃、たまに祖父母の寝室で一緒に眠ることがあって、電気を消した天井を見上げながら祖父の昔話を聞いたりしていた。大抵の内容は忘れてしまったけども、一つだけ覚えている話がある。 祖父の祖父が日が暮れた山を歩いていた。そこに突如として火の玉が現れた。私の御先祖様は、これは狐火だ、逃げたり追い掛けたりしたら化かされるぞ、と腹を括って一歩も動かずその火の玉と睨み合った。この睨み合いは一晩に及び、とうとう夜が明けると、火の玉はふっと消え失せてしまって、代わりにコーンと