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2023年1月の記事一覧

【随想】小説『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』鴨崎暖炉

【随想】小説『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』鴨崎暖炉

密室黄金時代の殺人
雪の館と六つのトリック
を読んだ。

作者は、とかく密室が好きなんだなぁ。
密室のためなら、他の何を犠牲にしてもいい、といった潔さを感じる。
時代設定も、舞台設定も、人物設定も、犯行動機も、アリバイ工作も、日常会話も、心理描写も、
密室に比べたら、取るに足らないと言わんばかり。

そして、密室は作り上げるのがとても大変であることがわかる。
400ページをかけて全部で6つの密室を

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【随想】小説『老人と海』ヘミングウェイ

【随想】小説『老人と海』ヘミングウェイ

老人と海/ヘミングウェイ
ずいぶん昔から持っていたが、読み進められなかった小説。
表題からはまったく内容が想像つかない。
ハートフル系なのか、日常まったり系なのか。
名作ということだからいづれは、と思いつつ10年以上放置されていた。
読んでみて、結果、
ただひたすら老人が魚(巨大なカジキマグロ)と格闘する小説であった。
まさか
150ページそこらを使って、
たった1匹の魚を釣り上げるために、
延々

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【随想】小説『のぼうの城』和田竜

【随想】小説『のぼうの城』和田竜

のぼうの城/和田竜
何の前情報もなく、読んでみた。
勿論「のぼう」とやらが何なのかもわかっていない。
読み始めてみると、まず羽柴秀吉が備中高松城を水攻めするシーンから始まる。
まさにオープニングにふさわしいスペクタクルな幕開け。
ちょっと違うかもしれないが、マーベルのエターナルズのオープニングのような感じ。
とにかくハリウッド脚本の壮大なオープニングを思い浮かべてもらえれば近いんじゃなかろうか。

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【随想】小説『リバース』湊 かなえ

【随想】小説『リバース』湊 かなえ

リバース
恐る恐る読む。
湊かなえは、『告白』以来。
あの衝撃度と後味の悪さは忘れられない。
おいそれとは手が出せない。
2015年、今から8年前の作品だ。
作者にとっては、18作目。
やたらと食べ物や飲み物の描写が細かい。
そして、必要なのか?と思われる何気ない会話や、
たまに垣間見えるちょっとした心理描写(あまり深堀しない)が、非常に不気味な作品であった。
全体から感じる事件への興味関心、緊迫

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【随想】小説『君のクイズ』小川哲

【随想】小説『君のクイズ』小川哲

170ぺージくらいだが、あっという間に読み終わった。
正味3時間くらいだろうか。
軽口で、大変読みやすかった。
坦々と筋が運ばれていく。
余計な情緒や寄り道もなく、一直線に謎の回答へと向かっていく。
というのも、序盤に作者によってこの小説の筋立てが簡潔に示されるのだが、
とあるクイズ番組の決勝戦での優勝者の0秒押し(ヤラセ疑惑)の謎について
主人公である対戦者がそのクイズ番組の問題を1問ずつ振りか

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