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「論理的思考法」クイズ!【第13問】「本日はお答えする内容がない」

政治家発言の「コント」

日本の政治家は、いつから「お笑い芸人」になったのだろうか? 彼らの発言を聞いていると、まるで「コント」である。コメディアンが観客を笑わせようと意図しているのであれば理解できるが、彼らは国会や委員会や記者会見において公式声明を発しているのである。もはや、幼い子どもたちからさえ、大笑いされるレベルではないか!

読者は、次の発言をどのように思われるだろうか? その発言のあった状況を改めて確認した上で、なぜ「コント」になるのか、どこまで非論理的なのか、いかに日本語が破壊されてしまっているのか、自分自身の頭でよく考えて、発見してほしい。「論理的思考法」のよい訓練になるはずである。

「本日はお答えする内容がない」

2021年7月28日、菅義偉首相は、新型コロナウイルスの全国的な感染急拡大を受けて閣僚と協議を行ったが、その内容に関する取材を求めた記者団に対して、首相秘書官を通じて「本日はお答えする内容がない」と述べて、取材そのものを拒否した。

その前提として、次のような状況があった。そもそも菅首相は、6月9日に実施された「党首討論」において、東京オリンピック開催による感染拡大の可能性について、「国民の生命と安全を守るのが私の責任だ。守れなくなったら、やらないのは当然だ」と答えている。

ところが、7月27日に東京都の新規感染者が過去最多の2,848人になった際、記者団から「中止の選択肢はないのか」と問われると、「人流も減っているし、そこはない」と答えた経緯がある。

つまり、東京オリンピック開催前には「中止の選択肢はある」と答えていたにもかかわらず、いったん開催されてしまうと、感染拡大の事実が生じているにもかかわらず、「中止の選択肢はない」と答えているわけだ。

そして、7月28日、日本全国の新規感染者は9,576人となり、過去最多を更新した。過去のピークを遥かに超えて、東京都の新規感染者は3,177人、神奈川県1,051人、埼玉県870人、千葉県577人、茨城県194人、京都府175人、石川県119人と、1都1府5県で、同日に過去最多を更新したのである。

ここで注意してほしいのは、関東圏(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城)に加えて、京都・石川(金沢)が外国人に好まれる観光地だという点である。東京オリンピックが全国の感染拡大に影響を与えていることは、明白に予測できるだろう。

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このような事態を招いた以上、「国民の生命と安全を守るのが私の責任だ」と自負する首相が、その対策を国民に説明するのは当然の責務ではないか?

一般に「戦わずに逃亡すること、責任を負うべき時に逃亡すること」を「敵前逃亡」という。新型コロナウイルスの過去最多感染数を招いた政府の責任を問い、東京オリンピック中止の可能性を問うマスコミは、菅氏にとって「敵」に映るのかもしれない。だから彼は「本日はお答えする内容がない」と言って逃げたのかもしれない。

しかし、これからも10日以上続く東京オリンピックの期間中、彼は言い逃れを続けるつもりだろうか? 日本国の首相が、これからも毎日「本日はお答えする内容がない」と取材拒否を続けるのだろうか? なぜ菅氏は、これほどまでに短絡的な「敵前逃亡」に陥ってしまうのだろうか(笑)?

ヒント:「敵前逃亡」・「その場しのぎ」・「喉元過ぎれば熱さを忘れる」

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