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「『限界』を知ることの面白さ」!

アットホーム

「アットホーム(at home)」という名称を耳にしたことがあるだろう。1967年創業の「ヨコハマ物件配布センター」が、1971年に「不動産ニュース株式会社」に社名変更し、不動産業者間の情報流通を専門化して、急成長した会社である。

1987年に「アットホーム株式会社」に社名変更してからは、「アットホーム総合コンピュータシステム」の「電子作図」による全国物件情報配信を開始し、2008年以降は消費者向け物件検索サービスに拡張させた。現在では、全国に52カ所の事業所を展開し、TVでCMを流す大企業になっている。

創業者であり、2008年以降は「アットホームホールディングス株式会社」代表取締役を務めたのが、松村文衛氏である。

「こだわりアカデミー」

さて、この会社が加盟不動産会社向けに発行する「at home time」という機関紙があるのだが、そこに松村社長が全国の大学教授と対談する「こだわりアカデミー」というコーナーがあった。

1970年5月号の宮城音弥氏(東京工業大学名誉教授、心理学)から2017年11月号の並木則行氏(国立天文台教授、惑星科学)に至るまでの48年間、「さまざまな学術分野の第一人者が語る最先端トピックや研究裏話あれこれ」というキャッチフレーズで、松村氏は膨大な数の対談を行い、それらを記事にまとめて連載された。現在は、すべての対談を無料で読めるようになっているので、以下にご紹介しよう。

「限界」を知ることの面白さ

松村氏と私の対談は、2011年5月号に掲載された。ただし、実際に対談を行ったのは、3月11日に発生した東日本大震災の直後で、場所は、地震の揺れのために書籍が散逸したままの大学研究棟13階の研究室だった。

「こういう時だからこそ、先生さえよろしければ、『限界』についてのお話を伺いたい」ということで、大会社の社長とは思えない身軽さで、車を飛ばして訪ねて来られたのである。話しているうちに、お互いに次から次へと新たなアイディアが湧き出てくるような、実に楽しい対談だった。さすがは不動産の斬新な「情報」流通で立身出世した人物だと、感服した記憶がある。それが、次の記事である。

松村氏ほどの成功者になれば、贅沢三昧に明け暮れてもよいはずだが、常に幅広い専門分野に知的好奇心を抱き、全国の大学を巡っては教授たちと対談し、しかもそれを記事にして社会に貢献するという発想がすばらしい!

松村氏は、昨年4月28日に82歳で逝去された。一周忌を迎え、改めて故人のご冥福を祈りたい。

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