マガジンのカバー画像

ひと言だけ

38
雑記帳およびみじかい小説など
運営しているクリエイター

#エッセイ

朝9時40分

朝9時40分

愛想ないコンビニの店員鈴木さんが、やたら話かけてくる日は、恋愛でもうまくいっているのだろうか。
こんなにムラのある人雇うのやめとけよと思うが、ここは店長の入れ替わりが激しくたぶんろくな職場じゃなさそうだ。アルバイトの人も選べないんだろうな。
大学に行く前に朝ごはんを買い、わたしを焦がさんばかりに陽あぶりにする世界を歩く。緑がまぶしい。道が白い。
おにぎりを食べながらにやけてくる。
「あ赤飯ないんで

もっとみる
雪は均一に降る

雪は均一に降る

着こんで着こんで、ロボットみたいに歩く私は街灯の明かりのなかで雪のカーテンの内部に幾重もくるまれて、息をすると口の中に冷たい氷の粒が入ってきて、瞬く間に消える。

見上げると目の中にも雪が降る。すぐに目をつぶってしまう。

去年の春に桜の下でこうやって空を仰ぎ、散歩した親友。

まる裸になった木立を、枯れ葉をさくさく音を立てて踏みながらたくさんのことを話した隣人の大学生。京都の日々。

白く、出来

もっとみる
桜の枝がとどく窓

桜の枝がとどく窓

言葉に飽きてしまって、幼いころみたいに言葉を遊び道具にして、ろくに伝わらなくても伝わりすぎないのがちょうど良いんじゃないのかと。

思いついたある昼から、わたしはコミュニケーション上手をあきらめた。

まず気になってたかっこいい後輩の25歳早瀬くんにがんばって話かけたり盛り上げたりするのを手放した。常温の関係。

上司に笑顔をばらまくのをやめた。言葉を紡ぐ…事実を表すより伝わりやすいように…これも

もっとみる
天気雨とシュークリーム

天気雨とシュークリーム

ダイエット中といって予防線張ったのに、おかまいなしに、ヤマザキのシュークリームを手渡してくる母親は障害物でしかない、

このあいだ、小雨が降っていて傘がなかったから濡れて歩いていたら友人が働いている喫茶店が見えて、雨宿りしたかったけど、わたしは濡れているから店内には入らない方がいいなと思った。中は暖かくひとがたくさんいて、外にひとりで立つわたしがガラスに映る。足元は泥がはねて汚れていた。

気を使

もっとみる
いちごムース、階段、バッファローの群れ

いちごムース、階段、バッファローの群れ

数の子を冷蔵庫の奥に見つけた。驚いたことに賞味期限は切れておらず、捨てるわけにはいかないけれど、六月に食べる気にはなれない。

とりあえず見なかったことにして、手前のガラスカップに盛り付けたいちごムースを3つ取り出した。

低い丸テーブルを囲む友達は顔をあげて、わあーおいしそうと声をあげる。

私はテレビをぼんやり見る。画面のなかのバッファローの群れがハイエナから逃げる。

10分したら自然番組は

もっとみる
evergreen

evergreen

CDを入れ替える。

流れてきた曲にあわせるように、窓から風が、車の中をかけぬけていった。

助手席でサトコが口ずさむ歌詞を聞いて、わたしはこの曲のタイトルの意味を知り、おもいがけず驚く。

「見送りに出てこなかったなあ」

「今度はあの子連れてあんたに会いにいこうか」

「うーん夏になったら、あたしがまた来る」

サトコはうすく笑って続きを歌う。

わたしはほんとうに来るだろうか。

あなたが大

もっとみる
夜中に窓をたたくのは

夜中に窓をたたくのは

恋愛小説を書いてる友人が、夜中に窓をそっとたたき、チョコレートケーキを食わせろという。

糖分が足りないのだと。

チョコレートケーキもだが、わたしの意見が必要なんだろう、と思いながら招き入れてやる。

これ読んで。なんか、終わらないんだけど、

長いだけで堂々めぐりやん。

なんで先に進まないのかね。

さぁ…あ、チョコレートケーキ、切らしてるわ。

アドバイスも糖分ももらいそこなったくせに、翌

もっとみる
ねんりん

ねんりん

38年生き残っている。脳が取捨選択して、ほとんどの瞬間は思い出せないけど。じゃあ思い出せることのなにがそんなに重要かとゆうと、初めてわかった、てゆう感覚だと思う。つまり成長の年輪。人も木もおなじだな。たくさん年輪があれば太くて立派な木になれる。たくさんチャレンジして生きよう。

イライラするので、おのれを分析!

イライラするので、おのれを分析!

イライラして困るので、原因を追究してみました。

誰かおなじことで困ってる人の参考になれば、えいな。

せっかちで、先を急いでいるから、なんか忘れたり時間に遅れたりたとき、余裕をもって「あらあら」とならずに、「なんで、もう!イライラ」となる。

せっかちはどこから来ているか。

仕事で一度にいろんなことに気を付けながら、あれもやってこれもやって、急いでばっかりいるから、それが普段も持ち越されてる。

もっとみる