タイトルの段階で、もう気になるよ!「成瀬は天下を取りにいく」感想
タイトルだけで本を買うって事、あるんじゃないでしょうか。
私はあります。
たった一文で心を掴まれる。そしてレジへと赴く。まあ、そんな感じなわけで。
この「成瀬は天下を取りにいく」(2023年3月刊行)も、上記と同じように、タイトルだけで心を掴まれて、買った本なのですよ!
どんな本なの?
以下にあらすじを引用させていただきます。
友人やクラスメイト、はたまた会社員の男性の視点から、「成瀬」というキャラクターの活躍を見ていくといった内容なのですが。
この成瀬、まあ変わっているんです。
なんか涼宮ハルヒっぽい。
引用にも書かれているように、成瀬という女性キャラクターの行動は突飛です。
閉店するデパート前で中継しているテレビに、毎日映ろうとするわ。Mー1に挑むわ。坊主にするわと何から何まで破天荒。
こういった行動は、谷川流先生のライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』に出てくる、涼宮ハルヒを連想してしまうわけなのですが。
私の感覚では、どこか漫画的なハルヒ。
しかし、この成瀬というキャラクターは、現実に存在していそうなキャラクターだと、私は感じてしまうのです。
そこが良い。
最終的に女の子が「総理大臣」を目指す話なのかなと思った。
正直に告白します。
これだけ突飛な行動をしている成瀬なので、『天下を取りにいく』のタイトルとで連想し、「もしかしてこの成瀬、総理大臣を目指すんじゃないか」という妄想を、私は本屋のレジ横でしてしまいました。
だってね。それだけの行動力があるわけなのよ。この女の子。それなら、天下を取りにいったって、全然不思議じゃないわけで。
こいつは面白い。買った!
と、なったのです。
でもこれ、ちゃんと青春小説って書いてあるから!
そうなんです。ちゃんと引用元のキャッチコピーに、『青春小説』って書いてあるんですよ!
それでいて読んでみると、ちゃんとした青春小説になっている。
ええ、そうです。
武将のように、成瀬の荒々しい活躍が見られる小説だと思ったんです。もちろん、ものすごい勘違いをしていたことは、後に分かるわけで。
ああ、恥ずかしい。
で、面白いの?
はい、面白いです。
本では、様々なキャラクターが視点となって、成瀬の活躍を見守る短編集的な構造となっています。
最初は奇抜な行動をする成瀬に戸惑うばかりですが、物語が進むにつれて、その目的が分かり……といった内容です。
最終的には、彼女の言動を見守るようになり、青春小説的なさわやかさで締めくくられます。
良い意味で裏切られました。
ちなみに最初の話である「ありがとう西武大津店」では、第20回「女による女のためのRー18文学賞」で、大賞・読者賞・友近賞の三つを受賞しています。すごい。
また、この作者でもある宮島未奈先生は、この本がデビュー作となっています。もっとすごい。
これは話題になるね!
タイトルの秀逸さと、中身による面白さによって、ここまで話題になった、この「成瀬は天下を取りにいく」なわけですが。
専門的な言い方をすると、キャラクターが非常に立っていて面白いです。
主人公でもある成瀬はもちろんですが、視点キャラクターでもある友人やクラスメイト達もちゃんと個性が立っていて、楽しい。
これは話題になるなと、そう思いました。
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