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タイトルの段階で、もう気になるよ!「成瀬は天下を取りにいく」感想

タイトルだけで本を買うって事、あるんじゃないでしょうか。

私はあります。

たった一文で心を掴まれる。そしてレジへと赴く。まあ、そんな感じなわけで。
この「成瀬は天下を取りにいく」(2023年3月刊行)も、上記と同じように、タイトルだけで心を掴まれて、買った本なのですよ!



どんな本なの?

以下にあらすじを引用させていただきます。

中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない! 話題沸騰、圧巻のデビュー作。

宮島未奈/著「成瀬は天下を取りにいく」| 新潮社の電子書籍 (shinchosha.co.jp)

友人やクラスメイト、はたまた会社員の男性の視点から、「成瀬」というキャラクターの活躍を見ていくといった内容なのですが。

この成瀬、まあ変わっているんです。


なんか涼宮ハルヒっぽい。

引用にも書かれているように、成瀬という女性キャラクターの行動は突飛です。

閉店するデパート前で中継しているテレビに、毎日映ろうとするわ。Mー1に挑むわ。坊主にするわと何から何まで破天荒。

こういった行動は、谷川流先生のライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』に出てくる、涼宮ハルヒを連想してしまうわけなのですが。

私の感覚では、どこか漫画的なハルヒ。
しかし、この成瀬というキャラクターは、現実に存在していそうなキャラクターだと、私は感じてしまうのです。

そこが良い。


最終的に女の子が「総理大臣」を目指す話なのかなと思った。

正直に告白します。

これだけ突飛な行動をしている成瀬なので、『天下を取りにいく』のタイトルとで連想し、「もしかしてこの成瀬、総理大臣を目指すんじゃないか」という妄想を、私は本屋のレジ横でしてしまいました。

だってね。それだけの行動力があるわけなのよ。この女の子。それなら、天下を取りにいったって、全然不思議じゃないわけで。

こいつは面白い。買った!

と、なったのです。


でもこれ、ちゃんと青春小説って書いてあるから!


そうなんです。ちゃんと引用元のキャッチコピーに、『青春小説』って書いてあるんですよ!

それでいて読んでみると、ちゃんとした青春小説になっている。

ええ、そうです。

武将のように、成瀬の荒々しい活躍が見られる小説だと思ったんです。もちろん、ものすごい勘違いをしていたことは、後に分かるわけで。

ああ、恥ずかしい。


で、面白いの?

はい、面白いです。

本では、様々なキャラクターが視点となって、成瀬の活躍を見守る短編集的な構造となっています。

最初は奇抜な行動をする成瀬に戸惑うばかりですが、物語が進むにつれて、その目的が分かり……といった内容です。

最終的には、彼女の言動を見守るようになり、青春小説的なさわやかさで締めくくられます。

良い意味で裏切られました。

ちなみに最初の話である「ありがとう西武大津店」では、第20回「女による女のためのRー18文学賞」で、大賞・読者賞・友近賞の三つを受賞しています。すごい。

また、この作者でもある宮島未奈先生は、この本がデビュー作となっています。もっとすごい。


これは話題になるね!

タイトルの秀逸さと、中身による面白さによって、ここまで話題になった、この「成瀬は天下を取りにいく」なわけですが。

専門的な言い方をすると、キャラクターが非常に立っていて面白いです。

主人公でもある成瀬はもちろんですが、視点キャラクターでもある友人やクラスメイト達もちゃんと個性が立っていて、楽しい。

これは話題になるなと、そう思いました。



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