「落ちないでハンプティダンプティ」 (雑記)
まさか、自分が単身赴任になるとは思わなかった。
それも大阪のど真ん中である。
目紛しく毎日行き交う人の洪水に、ようやく慣れた電車の乗り継ぎ。
だが、本当に割り込みがひどいのには閉口した。
早朝、乗り換えの駅であるホームに立っていると、点字ブロックと自分の前にグイと入る影があった。
それが、通勤電車でいつも向かいに座る男性。
英国紳士風のスーツにキャメル色のマフラーを巻き、細身の足もとには茶色のシューズが磨き込まれた輝きを放つ。
短く刈り込まれた頭髪は、年齢のためもある