「永い夜」 (短編小説)
「お待たせしました、ジンライムです」
8席ほどのバーカウンターに座る2人組のサラリーマン風の男達にカクテルを出す。
仕事柄、バーによく出入りするので、どうにか作り方は知っていた。
2人組のサラリーマンがそれぞれ口に運ぶ。
何か変なのか、お互いチラリと目線を合わせても何も言わない。
何か違っていたのだろうか……。
「マスター、何かつまめるものない?」
急いで視線をメニューに落とす。
ナポリタン、カルボナーラ、ぺペロンチーノ、ジェノバ風ピザ、コブサラダ、アスパラのアーリオオーリ