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【理科】私が、理科にはまった理由   ~私が巨大ロボットに絶望した日の話~

みなさんこんにちは!
LIT代表のはるです。本日は、私が理科にはまっていくストーリーをお話させてください。

プロローグ「理科との出会い」

 まず、理科って面白いかもって思い始めたのは、とても些細な事でした。それは、中学校に入学して、単にテストの点数が他の科目に比べて、高かったからです。たったそれだけでした。
 中学生になり、しばらくすると「コードギアス」というアニメに出会い、巨大なロボットを作ってみたいという夢ができ、ロボットエンジニアになるために、理科をたくさん勉強するようになりました。そして、高校に入り、物理を学び始めたはる少年は、あることを疑問に思うようになりました。それは、「コックピットのパイロットには、どれくらいの負担がかかるだろうか?」これが禁忌の扉とは知らずに、計算を始めてしまったのでした。(それを今回は再現していこうと思います。)

1章「問いの設定」

 まず、私が設定した問いは、「ガンダムが1歩歩いたときにアムロ・レイは、どれくらいのスピードで弾きとばされるのか?」としました。次に、インターネットで各パラメーターを調べました。

〇アムロ・レイのパラメーター
 身長:172㎝
 体重:63Kg
〇ガンダムのパラメーター
 全長:18m
 重量:60t(フル装備時)

 とパラメーターを調べることができたが、「ガンダムが1歩歩いたときにアムロ・レイは、どれくらいのスピードで弾きとばされるのか?」この問いを解くためには、当時のはる少年には難しいかったので、問いの簡易化が必須になりました。そこで、
「ガンダムが1歩歩いたとき」ここの情報が、抽象的過ぎて数式で表しにくいことに気が付き、このように変更しました。

「ガンダムが1歩歩いたとき」→「ガンダムが膝を90度に曲げてから、力を加えない(自由落下)で、地面に着いたとき」

と変更し、検討を始めましたが、まだ難しかったのでした。それはガンダムが人型に近い形をしているということでした。高校生で習う物理計算は、物体の大きさや形は基本的に無視するものだったからです。
 はる少年は考えました。そこでたどり着いた変更は、もはやガンダムではなくて、物体として扱おうというものでした。

「ガンダムが」
→「物体G(ガンダム)に物体A(アムロ・レイ)が乗っかって物体」
と変更しました。

見るもの無惨になった問いがこちらです。
「物体G(ガンダム)に物体A(アムロ・レイ)が乗っかって物体が、ガンダムが膝を90度に曲げた高さから力を加えない(自由落下)で、地面に着いたとき物体Aが飛び出す速度は?」というものになりました。

〇更に必要なパラメーター「ガンダムが膝を90度に曲げた高さ」
 ガンダムの腿の長さが必要でした。そのようなデータはどこにもなかったので、ガンダムの写真から定規で測定して、その比から求めることにしました。

・実際のガンダムの全長18m
・画像のガンダム9cm
・実際のガンダムの腿の長さXcm
・画像のガンダムの腿の長さ2.5㎝
つまり、
1800cm:9cm=Xcm:2.5cm(ポイントは、単位を合わせること)
Xcm=1800cm×2.5cm/9cm
       =500cm=5m
※腿の太さを考慮したかったが、はる少年には技術的に難しかったので無視した。決して考慮忘れとか、気が付いたけど考慮すると計算が面倒なことなるなーとか思っていないことにしたい。

最終的に、問いはこうなりました。
「物体G(ガンダム)に物体A(アムロ・レイ)が乗っかって物体が、5mの高さから自由落下で、地面に着いたとき物体Aが飛び出す速度は?

図1.問いの変遷

2章 実際に計算してみた

 今回活用したのは、
〇力学的エネルギー保存の法則
〇反発係数
〇運動量保存の法則
です。

 「力学的エネルギー保存の法則」では、物体が落下し始めるところから地面にぶつかる直前の部分を担当してもらいます。

公式(力学的エネルギーなど)

〇力学的エネルギー=位置エネルギー+運動エネルギー
〇力学的エネルギー保存の法則
 →位置エネルギーと運動エネルギーの和は、常に一定である。
〇位置エネルギー:質量(Kg)×重力加速度(m/s^2)×高さ(m)
〇運動エネルギー:1/2×質量(Kg)×速度(m/s)の2乗

物体Gの質量をM、物体Aの質量をm、高さをhとすると、
落下し始めたときの力学的エネルギーは、
〇位置エネルギー:(M+m)gh
〇運動エネルギー:0(自由落下なため)

地面に激突直前の速度をVとすると、
また、地面に激突直前の力学的エネルギーは、
〇位置エネルギー:0
〇運動エネルギー:1/2(M+m)V^2

力学的エネルギ保存の法則より、
(M+m)gh+0=0+1/2(M+m)V^2
2gh=V^2
V>0より
V=9.9m/s
激突直前の速度は、9.9m/sと分かります。

図2.衝突直前までの様子


激突する時の計算に移ります。
地面に激突する時は、「反発係数」というものを考える必要があります。

公式(反発係数)

反発係数eとは、2つの物体が衝突前後の速度の比を表したものです。

反発係数eは、0 ≦ e ≦ 1 の値をとり、e = 1の場合を(完全)弾性衝突、
0 < e < 1の場合を非弾性衝突、e = 0の場合を完全非弾性衝突といいます。
特にe = 0の場合には衝突後の物体は一体となります。

つまり、プールにダイブ(腹うち)するのと、ベットにダイブ(腹うち)するのでは、痛み(エネルギー)に違いが生まれるのも反発係数によるものなのです。

今回の場合、地面はアスファルトであったとすると、
反発係数e=0.4であるので、
衝突後の速さをV'とすると、
V'=eV(m/s)
V'=0.4×9.9m/s
   =3.96m/s
衝突により、上向きに3.96m/sとなります。

図3.衝突の様子

最後に物体Aが弾き飛ばされる時の計算に移ります。
そこで使うのが、「運動量保存の法則」です

公式(運動量保存の法則)

〇運動量とは
 →運動の様子を表すもので、質量(Kg)×速度(m/s)で表される。
〇運動量保存の法則
 →衝突前後の運動量は、一定である。

衝突時の運動量pは、
p=(M+m)V’

衝突直後の運動量p'は、Vamuroとすると
p'=mVamuro
運動量保存の法則より
p=p'
(M+m)V'=mVamuro
Vamuro=(M+m)V'/m

ここで、具体的な数値を代入すると、
ガンダムの質量:M=60,000kg
アムロの質量:m=63Kg
衝突時の速度:V'=3.96m/sであるので、

Vamuro=(60,000+63)×3.96/63
            =3775.3885……..
            ≒3775m/s (3.8km/s) ←あっ、ヤバい
時速(Km/時)に変換すると、
1秒:3.8Km=3,600秒(1時間):Y Km
Y Km=13,680Km  つまり、13,680Km/時

図4.弾き飛ばされる様子

3章 絶望

 ん、時速13,680Km…約マッハ11!!
ガンダムが1歩歩いた時に、約マッハ11の速さでアムロ・レイが弾き飛ばされる…即〇…とはる少年は、そっとノートを閉じましたとさ。こうして私が巨大ロボに絶望しました。

 マッハ11がどれくらいヤバいのか解説をしていきましょう。
そのためにマッハ(音速)からお話します。(大学生が習う流体力学という分野の話です。)
 空気中で、モノが音速で動くとソニックブーム(衝撃波)が発生します。詳しく説明すると、音速で動く物体は、空気の摩擦や空気を圧縮してしまい、物体の先端は、高温、高圧の状態になります。それが音速で動くことで、圧縮波(高校生が聞き覚えのある言葉でいうと、疎密波)が発生し、それが地上とぶつかった時に、ソニックブームが発生します。
 身近な例でいうと、雷の音は、ソニックブームだと言われています。

では、物体Aがマッハ11で、弾き飛ばされると、
弾き飛ばされる瞬間の力学的エネルギーは、
〇位置エネルギー:0
〇運動エネルギー:1/2×63Kg×(3.8×10^3)^2m/s=4.5×10^8J

物体Aが、耐えきれなくなる間に、4.5×10^8Jが発散される。
約TNT換算100キロの爆薬と同等程度です。その爆弾が、一瞬の間に地上0.1mで炸裂すると同等と考えると、7.5×10^9KPaかかる計算できます。

6.9KPaで、家が住めなくなる程度に破壊されますw。

エピローグ「理科にはまった理由」

 なぜ絶望したのに、理科にはまったかというと、これまでは、問いを与えられ、解答があるものではなく、自分の興味のあることに対して、自分で問いを立てて、解答までの道筋を立てて、納得できる答えが出るまで、トライアンドエラーを繰り返すこれこそが、学びであることに気が付き、学ぶこと、探究することが楽しいと感じるようになりました。
 みなさんも、たまには普段の勉強ではなく、探究をしてみてはいかがでしょうか。

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