来兎の音楽制作周りのこと

ゲーム音楽家です。メルティブラッド・アンダーナイトインヴァース・おそ松さんのへそくりウ…

来兎の音楽制作周りのこと

ゲーム音楽家です。メルティブラッド・アンダーナイトインヴァース・おそ松さんのへそくりウォーズなど ここでは音楽制作について考えてることを個人的にまとめていきます。

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最近の記事

「実力で勝負」とは?

ネットのニュースで「音楽の実力よりもSNSでバズったほうが集客している、実力で勝負したいのに今はSNSで注目されないと日の目をみない」みたいな記事が上がっていました。 ここでいう「実力」とは音楽の評価だけで評価されたいということでしょう。 しかし古今東西音楽の才能だけで評価されて売れたなんてことは、ほとんど無かったはずです。時代や場所によって家柄、師弟関係、話がうまい、顔が良いとか、その評価の要素は色々あります。 そして、現代においてはその評価の要素にSNSが追加されま

    • 「才能の民主化」と、才能に対する考え方について

      最近「才能の民主化」という言葉がバズっていました。 生成AIによって、ハンディキャップを負ったひとでも才能を発揮する機会が与えられるということが言いたいらしいです。 この考え方に対して、私は明確に否定します。 まず、才能の定義についてです。 一般的にいいう才能の定義は上記です。 現実に落とし込むと、この才能はとは 上手くなる才能 と 有名になる(売れる)才能 この2つを合わせたものをいうでしょう。しかし、これは正しくありません。 この意味で才能という言葉を使う

      • 「顔出しNGアーティスト」の終焉

        2000年代から顔出しNGのアーティストが現れました。 古くはGReeeeN、ClariS、比較的最近だとadoさんやヨルシカなど。ミステリアスさの演出や個人情報漏えい対策などそれぞれに理由はあるかと思いますが、なによりそれを可能にしたのは、インターネットの登場によりアーティストが露出できるメディアが格段に増えて、収益を上げられる方法も多彩になったからでしょう。 歌手のオーディションに顔出しNGを希望する参加者も増えました。それもあって、今は顔出しNGでもOKのアーティス

        • 来兎式 初心者向けDAWの選び方2024年版

          迷いを断ち切れDAW選びは結構迷います。この記事では、その迷いをなくすためのDAWの選び方をお教えします。迷っている暇があったらさっさと決めて始めてください。迷っている時間だけ、あなたの成長は遅れていくのですから。 予算がない、お金を使いたくない人向けiPhone GarageBand iPhone・iPad付属のDAW。Logicというプロが使っているDAWの機能限定版ですが、これだけでもかなり作り込むことが出来ます。iPhone・iPadの方はまずこれから使い始めまし

        「実力で勝負」とは?

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        • 音楽制作のヒント
          5本
        • 制作環境の話
          1本

        記事

          やってはいけない芸名・ペンネームの付け方

          私はこの来兎というペンネームを10代の頃から使っています。もともとは同人でマンガを書いてたときの名前です。もはやどうやって決めたかも覚えてないぐらい、ある意味いい加減につけてしまいました。この名前、実はあまり良くなくて、正直失敗したなと思ってます。 今から絵師とか作曲家など表現を始める人は、自分の名前をつけるときには良く考えて決めてください。そのために、やってはいけない・避けたほうが良い名前と、推奨する名前の付け方をお教えします。 良い名前をつけたら売れるということはそう

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          やってはいけない芸名・ペンネームの付け方

          才能とは「解像度」と「再現力」

          音楽には才能という言葉がよく使われますが、才能とは一体何でしょう? 一般的に使われる才能という言葉は、始めたすぐに何故かメキメキと上達してしまう人のことを「才能がある」なんて使われることが多いように思います。 そこには具体的な理由はなく、天から与えられた不思議な能力ぐらいの曖昧な感じです。 私は、才能とは「解像度」と「再現力」だと考えています。 私は、小学4年生でエレクトーン教室で習い始めて半年ほどでコードとハーモニーの基本を感覚的に理解しました。 なぜ理解できたのか?そ

          才能とは「解像度」と「再現力」

          AIは作曲家の仕事を奪うのか?

          イラストのAI生成サービスが炎上しておりました。このサービスは自分の書いたキャライラストを複数アップするとその特徴をAIが分析して、その絵柄の新たなイラストを生成するというものです。 このようなサービスが現れるとイラストの仕事を奪われると反発が出てきます。 では、音楽はどうでしょう? 音楽もAI作曲サービスやAI技術を活用したアプリが数多く出ています。ですが、今の所それで仕事が減ったという空気感はありません。実際のところ、AIで作曲の仕事は奪われるでしょうか? 結論を言

          AIは作曲家の仕事を奪うのか?

          「思い入れ」は創作にとって枷になる

          マンガ『SPY×FAMILY』の作者が「キャラへの思い入れ0」とインタビュー記事で話したことが話題となっています。 ファンにとってはそれが好きなキャラクターをないがしろにされたような気分になるかもしれません。しかしながら、創作するものとして言わせていただければ自分の作品やキャラに強い思い入れは持たないほうがいいです。特にそれがプロ、またはプロ志望ならなおさらです。 アマチュアの方で上達の遅い方の特徴に「作品への思い入れが強すぎる」というのがあります。 このタイプの人は「こ

          「思い入れ」は創作にとって枷になる

          音楽学校には気をつけろ!

          10年ほど前の話ですが、うちに新人ボーカリストがいて、歌唱力を向上させようとボーカルの学校を探したんです。 ひとつ見つけたんでマネージャーが体験レッスンに行かせたのですが、ちょっとこれがなんというか非常に駄目な音楽学校でした。 ボーカリストが体験レッスンを受けたんですが、どんな先生がどんなレッスンをするのかマネージャーが付き添おうとしたらなんやかんや理由をつけられ断られました。お金を出すのはボーカリストではなくうちなんですけど。 じゃあそれはしょうがないとしよう。 体験レ

          音楽学校には気をつけろ!

          AI音声合成ソフト『Voicepeak』がすごいです。

          今回紹介するのは、AI音声合成ソフト「ボイスピーク」です。 YOUTUBE動画も作りました。 テキストを入れるとそれを喋ってくれるっていうシンプルなソフトですが、とてもなめらかな発音で、フラットなナレーションならもう十分に使えてしまうんです。速さ、ピッチ、ポーズ、音量の4つスライダーと喜怒哀楽の感情スライダーが4つあります。あとアクセントとイントネーション、長さのパラメータがあり、これを細かく調整すると表現も割とつけられるんで、かなり遊べます。 ボイスのバリエーションは

          AI音声合成ソフト『Voicepeak』がすごいです。

          「音楽の才能は遺伝で90%決まる」は本当か?

          ちょくちょく見かける才能と遺伝についての話。特に「音楽の才能は90%遺伝」というのは音楽をやってる人のやる気をがっつり削ぐ数字的なインパクトがあります。 しかし、そこで言う「音楽の才能」とは具体的に何なのか?記事を読んでみると音楽の才能と呼んででるものが何かがわかります。 検索してみると、出てくる研究は2つ 2つの研究結果とも音を聴き取る調査によって遺伝的な有意差があると結論づけています。おそらくこれは事実であり演奏家であれば考慮すべき研究結果でしょう。 それを「音楽の才

          「音楽の才能は遺伝で90%決まる」は本当か?

          プロになるための資質とスキルの「無い人」について

          8割の人は曲を聴く前に門前払い 年に10通ぐらいは「雇ってくれ」「曲をきいてくれ」「弟子にしてくれ」系のプロ志望の方のメールがきます。 しかし、その8割がメールの文面だけで曲を聴くまでもなく資質がないことがわかります。音楽以前の問題なのです。 今回は、プロとしての最低限の資質の「無い人」について書きたいと思います。 1.伝えたいことを文章化する能力がない プロでやっていきたいのなら、メールなりDMなりで仕事相手に文章で必要なことを過不足なく伝える必要があります。しかし、

          プロになるための資質とスキルの「無い人」について

          キャンディキャンディ主題歌の凄さを語る

          雑記BLOGの方に書いた記事なんですが、これこっちのほうが合ってる気がしたので転載しつつ追記です。 キャンディ♡キャンディは原作水木杏子、作画いがらしゆみこの少女漫画です。アニメ化され、主題歌レコードは120万枚売れたそうです。 そんな『キャンディキャンディ』OPは本当にすごいのです。70年代の曲でありながら、今聴いてもこの曲に凝縮された世界観、構成、演奏力、歌唱力、今風に言えばエモい。 イントロはチェンバロで始まり、クラシックかなと思わせながらAメロの明るく健気な歌が

          キャンディキャンディ主題歌の凄さを語る

          【本】音声UX 〜ことばをデザインするための111の法則

          音楽制作の参考になりそうな本を紹介します。 この本は、全体としてはAmazon EchoやGoogle Homeのような音声を使った新しいプロダクトへの音声の実装を想定した感じの本です。 そんななかでも、特に3章と4章は音楽制作や作詞する上でも役に立つんじゃないかなと思います。 音声を”デザイン”とすることで、これまで話し方の本なんかに書かれていたテクニックも細分化して、相手にどう伝わるかを考えることが出来ます。 029「アクセント」は、私は特にCMソング制作のときに気

          【本】音声UX 〜ことばをデザインするための111の法則

          CUBASE12は買いです

          ついにでましたCUBASE12。 かれこれ20年ほど音楽制作にはCUBASEを使い続けています。 たまにきかれる「おすすめのDAW(音楽制作アプリ)は?」には「CUBASE!」と即答したいのですが、そうもいかないのがドングル問題でした。 ドングルというのは、アプリを起動するための「鍵」みたいなもので、CUBASEを起動するためにはドングルというUSBメモリみたいなものをPCに挿しておく必要がありました。 今やPCはノートが主流。コンパクトなやつや薄型などはUSB端子が少な

          音楽制作を”ノーギャラ”で請けることの是非と、私の見解(プロになりたい方向け)

          特にSNS界隈では「ノーギャラで仕事を受けてはいけない」という投稿をよく目にします。 相場が崩れる、ノーギャラでは真っ当な責任を伴わないから駄目、クライアントに使い潰される、ギャラの額を上げられなくなるなど、それなりの説得力はあります。 私のこれまでの経験からいろいろ考えてみて、この”ノーギャラ問題”について私なりの答えが出たので、書いてみようと思います。 この記事は作曲家など音楽制作を仕事にしたい、プロ志望の方向けのアドバイスとして書きました。 先に結論を書きますと、プ

          音楽制作を”ノーギャラ”で請けることの是非と、私の見解(プロになりたい方向け)