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才能とは「解像度」と「再現力」

音楽には才能という言葉がよく使われますが、才能とは一体何でしょう?
一般的に使われる才能という言葉は、始めたすぐに何故かメキメキと上達してしまう人のことを「才能がある」なんて使われることが多いように思います。
そこには具体的な理由はなく、天から与えられた不思議な能力ぐらいの曖昧な感じです。

私は、才能とは「解像度」と「再現力」だと考えています。

私は、小学4年生でエレクトーン教室で習い始めて半年ほどでコードとハーモニーの基本を感覚的に理解しました。
なぜ理解できたのか?それはエレクトーンを習いに行く前から、音楽が自分に与える影響について考えていたからです。子どもだからそんな難しい言葉で考えていたわけではなく「なぜこの曲を聴くと感動するんだろう?」「なぜこの曲は聴いても感動しないのだろう?」「この曲は聴くとなにか重苦しい気持ちになるのだろう?」みたいなことを考えていました。

そして、その共通点のようなものがあるところまでは気づいていたのです。「自分の好きな曲Aと曲Bはどこか響きが似ている」「苦手な曲Cと曲Dもどこか響きがが似ている」など。

そんな疑問をエレクトーン教室で教えてくれたコードという概念を知ることによって理解したのです。つまりは、好きな曲のコード進行の傾向が似ていたのだと。エレクトーンを習いに行ったことで、これまで聴いていた音楽への解像度が上がり、分解して音を聴くことが出来るようになりました。

その得られた解像度によって、自分の好きな曲からコード進行だけ抽出することが出来るようになりました。
そうすることで好きなコード進行に合わせて気ままにメロディを弾けば、自分好みの曲の出来上がりです。

エレクトーンを習う前から、音の細かい違いを見つけようと音楽を聴いていたからこそ、コードの概念を教えてもらうだけで理解することが出来たのです。

ここでいう解像度とは特定の事象をどれだけ細かく見ることが出来るかです。細かく感じ取れるほどに、その事象のあらゆる表現をパーツごとに再現しやすくなります。

私は音楽のコード進行による自分の気持ちのゆらぎの事ばかり考えて聴いていたので、その部分だけ解像度が高くなりました。
逆に言うと、そこ以外のあまり興味のない音楽の部分の解像度はあまり高くないです。

私はエレクトーン教室に通っていながらも、あまり演奏への興味はありませんでした。だから人が弾く演奏表現を読み取る解像度はあまり上がらないし、あまり練習もしないので自分自身の演奏も上手くなりませんでした。
自分の演奏が上達することよりも、先生が弾く曲で使われているまだ習っていないコード進行のほうが気になり、授業もそのときだけ集中していました。

そんな感じで、エレクトーン教室のお陰で私はコード進行だけ「解像度」が高くなったのです。

そして、好きな曲のコード進行を解析し自分の曲に活かせるようになり、オリジナル曲を作るようになりました。
オリジナル曲を作る方法は、パソコンを使ってのプログラミングでした。パソコンにMMLというパソコン用の楽譜を打ち込むことで、プログラムを動かすと自動演奏してくれるのです。私自身が演奏するのではないので、演奏力は必要ないのです。
もしこれがパソコンのない時代だったら私に作曲は出来なかったでしょう。パソコンが普及し始めた頃で、とてもタイミングが良かったです。

そんな感じで、私は日頃から才能に関しては解像度どのぐらいのものかを考えています。

上達を早めるためにも、解像度の向上は絶対に必要です。ただ闇雲に練習したり制作するのではなく、今自分が目指している音がなんなのかをじっくり自分自身に問うのです。
一言で「音楽」と言っても、ひとそれぞれに聴いてるツボは全然違うのです。私のツボが「コード進行」だったように、他の人は「歌詞」や「歌声」「ギター」「リズム」だったりします。
もちろんそれらを組み合わせてひとつの音楽となるわけですが、自分が重視する中心をちゃんと理解できないと、本当はボーカルが好きなのにギターを練習するみたいなミスマッチが起こり、上達が遅かったり、ひどい場合は下手になります。

私が作曲能力を伸ばせた理由のひとつに、演奏の上達を捨てたというのがあります。エレクトーン教室は色々あって3年ほどで辞めました。このエレクトーンのお陰で、作曲に必要な左手でコードを押さえて右手でメロディを弾くだけの、最低限の演奏力を身につけることが出来ました。
逆に言うと、それ以上のコンサートで発表するような演奏力を身に着けようとは思いませんでした。

能力の高い人なら作曲と演奏を両方伸ばせるでしょう。しかし私は不器用なので半端にエレクトーンを続けていたらリソースが分散して作曲能力は伸ばせなかったんじゃないかと思うのです。

あくまでこれは私個人の話であり、作曲演奏ともに興味がありどちらにも解像度が高い人も当然いると思います。

「作曲家になりたい」や「バンドをやりたい」など、行動するのは結構なことです。もしそれが上手く行かないのであれば、その興味や情熱の方向は正しいのか一度よく考えてみてください。ミスマッチが起こっているかもしれません。

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