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[本紹介]プロデュースの基本 (木﨑賢治)

著者は沢田研二や槇原敬之、BUMP OF CHICKENのプロデュースを手掛けた木﨑賢治さん。タイトルの通りプロデュースについて木﨑さんの経験に基づいた法則やテクニックが書かれています。
過去半世紀、目まぐるしく変化してきた音楽ビジネスの中でもその内容は普遍的。あっという間に陳腐化してしまう音楽ビジネス系の本が多いなか、とても中身の濃い、何度も読み返す価値のある有用な本です。

その本の中から、特に私がこれ!と思った見出しを3つを紹介します。

P46 『新しいもの』とは、新しい組み合わせのこと

これは、他のビジネス書やアイディア本でもよく言われることですが、新しいものやことは全くの0から生み出されることはありません。様々な情報を取り込みそれを取捨選択仕組み合わせて作られるものです。
音楽も同様です。私は曲を作る際に知っている複数の曲をパーツに分解し、それを組み合わせて作ることがあります。
また、他人の曲を聴いても誰の影響を受けているかがわかったりします。それはパクリではなく、新しい組み合わせなのです。
本書では、この組み合わせの試行錯誤を「実験」と呼び推奨しています。

アイディアについてはこの「アイデアのつくり方」も良いです。

P160 まずはタイトルを

私もこのnoteやYOUTUBEでタイトルの重要性を説いています。曲はタイトルがついて初めて作品になります。
私の場合タイトルをつけるのは最後になりがちなんですが、木﨑さんはタイトルの重要性から糸井重里さんに「先にタイトルだけ」を依頼したというエピソードを披露しています。

P197 自分が納得できた仕事だけが糧となる

AIが台頭してきた今、私も強調したいのがこれです。AIは「提案して」と言えば提案してはくれますが、基本的に人間の言われるがままに動きます。
しかし、これから特に必要なのは人間のこだわりです。ときに周りとぶつかることはあると思いますが、ぶつかりながらでも思い描く完成形へできるだけ近づけていく努力。それこそが人間が作る大きな意味になるでしょう。
私の経験でも、不思議とこだわった作品は20年以上前のものでも忘れ去られず今も残っています。

他、200ページほどの新書ですが、とても良い本です。
音楽が好きで作曲を始めたら、やることは作曲だけでは終わりません。
作品の作り方や、プロデュースについて悩むことがあったら、この本を読んでみることをおすすめします。


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