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今日が水平線に落ちる頃

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散文、詩、ドローイングなど
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2020年8月の記事一覧

反転する世界に落ちているもの

反転する世界に落ちているもの

日常が飽和していってしまう。

全て何かに飲み込まれて何か大きな一つの混沌になる。

そのために私はキータイプをして散漫な文章を書き発信している。モールス信号を送るようにネットの世界に発信をしているんだ。

ここはもう磁気が意識を持って支配されている。こんなことを書いている自分でさえ意識が奪われて混沌の一部になっていってしまう。

ここ というのは、自分の座っている何の変哲もない部屋の、散らかった

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知らない先

知らない先

未来を見る力なんて無い。今しか感触は無い。

大変な時代になってしまったと人はいつも思うのかもしれない。いつも主語は曖昧で飽和している気分でいる。集合意識というものがあるのなら、どこまでが自分でいられるのかと思う。

今の社会の動きの中、過去という織物に織り込まれていくようで気持ちが圧迫されていく。知らない時代の糸を受け入れている今は、生きることに対して陽を感じることが本当に必要だろうか。

少な

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空が遠ざかるのは、きっと鳥のはばたきに余白を残して

空が遠ざかるのは、きっと鳥のはばたきに余白を残して

もうそろそろ夜明けは、少しまるくなった温かい風が運んでくる。

何年も先の日記のページを暗示するような明るさの雲の層は、数々の鳥の目覚めを飲み込んでいる。遠くに頬の高揚に似た、桃色がしみてくる

聞き慣れた音階に似た声の鳥に集中すると、聞き取れる音域が広がってきて音楽が組み立てられていく。

小さな鳥 大きな鳥、それを何セットか繰り返したのを合図にセミがだんだんと鳴き重ねていく。風が少し吹く、シャ

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銀河、私たちは永遠の夏の子ども。

銀河、私たちは永遠の夏の子ども。

瞳の奥に赤い華の咲き乱れているそこは夏の終点。宙の露が、光る場所。

汗は顔や身体中をつたってざわめき世界中の道のような血管の凹凸を重力に従って落ちていく。熱い土に黒くシミを落として、そして目指す。私たちは全く誰もいない知らない場所を知っている。

このむせるような暑さの果て。真夜中、ペルセウス流星群には今年も搭乗できなかったけれど、強くこの道から進もう。たいそうな旅になるかもしれないと心配すると

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夜の森は闇よりももっと深くたどり着いてかすめるのは魚。

夜の森は闇よりももっと深くたどり着いてかすめるのは魚。

夜の公園で私は暗闇に足を取られた。満ち潮のように眼の中に群青色を取り込み眼球の奥は冷たい火花が飛んだ。夏の夜。

今、この足を踏み入れたところから世界がひっくり返ったんだ。そう思った。私は近日にいろいろな感情と相撲を取って、自分の中の長テーブルに大層な燭台が並んでたくさんの人たちが会議をしていたのだ。それは夜を歩くことによって行われる。疲労感に夢遊に近いものを感じて見えないものたちに挨拶をして進む

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羽化の穴

公園へ行った。朝の暑くなってきた頃に。そこいらじゅうに大人の親指程度の 穴、穴。蝉のでてきた穴だ。夜にたくさんの秘密が生まれていることを思うと、羽化を感じるために夜の木々の間に耳を歩かせている自分がいる。

木の多い大きな池のある公園は、長い梅雨を終えて待っていたとばかりの蝉の大合唱の真っ只中だ、密に何種も鳴き始めている気がする。私には三種類くらいしかわからないんだけれど、ミンミンゼミ ツクツクボ

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