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すごい日本語ラッパーを発掘した

歌代ニーナさんという日独ハーフの方が歌う気鋭の日本語ラップ。たまたまインスタでフォローしている大学の恩師(スペイン人)がこの動画をシェアしていて、何の気なしに開いたら、え、日本語っぽいのが聴こえる・・・ってなわけでいろいろ調べた結果、今に至ります。

また本当のこと言っちゃったまでに悪者になった
ただパズルのピースが合わなかった とても悲しかった
とても悔しかった でもスッキリした
人ごときで無理はしない
完璧までもう1回 まだまだ完璧までもう1回
やっぱり腫れてる ささくれ剥いたら痛いのわかってるけど剥きたい

– Nina Utashiro - ÉTUDE

ここの歌詞は特に今の自分に思いっきり刺さるものがありました。先日、完璧主義者の苦悩について記事を書きましたが、そこらへんの心理と完全に一致しています。パズルのピースの話も、そのまんま私自身がドストレートに正論をぶちかます性格であるがゆえに日本社会にフィットできないと感じる部分で、つい昨日あたりに頭の中に浮かんでいた言葉でした。多分、海外を転々としていたりでバックグラウンドが少し似ている部分があるからシンパシーを感じるんでしょうね。

私自身は主にマス広告やウェブ広告などの買え買えというすさまじいまでの押し付けによる、消費者に対する尊敬が欠如した態度にものすごく幻滅しておりなるべく視界に入れないようにしているのですが、どうやら彼女も似たような考えの持ち主のようです。

余談ですが、歌代ニーナさんはもともと"Thirteen13"名義でラッパーを始め、その後本名での活動に切り替えています。彼女名義での楽曲リリースは先に紹介した動画で2作目で、1作目は日本語で、2作目は英語での反響が大きいように見えます。おそらくこれから英語圏で人気が出そうだなぁなんて個人的には思っていて、すでにバズりの兆候が見えています。4/28(リリースから8日後)時点で約14万再生ですから。

歌代ニーナさんは20歳でファッション業界で編集プロダクションにアシスタントとして入社したものの、詐欺ばかりの退廃したメディアのあり方に幻滅してしまったみたいです。

お金が大事なのはわかるけど、クライアントや広告のことばかり考えて、読者への誠意がまるでない。それでお金もらっていいの? 私たちの仕事は誰かの命を左右するんじゃないんだからさ、もっと自由にやればいいじゃん。それがアートの美学でしょ?

– NEUT Magazine

そんな中でラッパーとしてもデビューすることになります。
彼女曰く、

表舞台に対する憧れがないし、人に好かれたいとも嫌われたいとも思わないからマイクを握ろうという発想がなかったんですが、そういう流れが来たときに、私の物語の1章としては面白いかなって(笑)。でも私だけじゃなくて人様の労力と時間が関わってるし、適当は人生の無駄。だから半端にはやらない。本気でやる。雰囲気だけも本質だけもダサいからどっちも手は抜かない。ラップでもマガジンでもなんでもいいけど言いたいことはあるから。

– NEUT Magazine

正直私にはこのエピソードが一番刺さりました。

年に数回、カウンセラーとして通っている乗馬クラブでこの夏出会ったというその女の子は、「すでに真実在が見えている子」で、世の中の綺麗事に対して感じるむず痒さにいつも「私がおかしいのかな?」と思ってしまうらしい。感性が鋭く、誰かがずるい物言いをすると「なんで嘘を言うの?」と大人の浅慮をあっさり見破る。今はどこに行っても「疲れてしまう」。
そんな女の子に対して彼女は、「絶対に普通ではない。そしてこれから色々なところで普通を押し付けられてつぶしにかかられるから、こういう子は誰かが光らせないといけない」と言う。

– NEUT Magazine

なぜ刺さったかと言うと、私自身がこの女の子に近い部分を自覚してるから。昔から割とこうだったけど、それこそ「つぶされかけて、今もまだ必死に足掻いてる途中」と言った方が正しいです。私はもういい大人だから、誰かに面倒見てもらうよりも自分でどうにかすべきなんでしょうけど。

私自身も高校生くらいから自己表現をするアーティストに憧れ続けているものの、今も自信がなくてトライすることすら出来ずにどんどんどんどん年増になっています。でも社会の仕組みの理解が進むにつれて絶望が増していきどこにこのもやもやをぶつけていいのやら・・・という気持ちが年々増してきています。いい加減それを思い切って曲にぶつけて自己表現してみようかな・・・私の中の悪魔がこういう時は大体「お前はもう年齢的に無理だよ」とかささやいてくるんですけどね。

話が逸れてしまいましたが、彼女は本当にものごとの本質をしっかり見ることができる人だと思います。まさかこんな一瞬のネットの出会いからまるで磁石のようにどんどん引っ張られるとは。不思議なもんです。

彼女はハーフだからってのもあると思いますが、お顔立ちもさることながら全てが本当に美しいです。派手でアート性の高いメイク、ヘア、ファッションは彼女がファッション業界にいたことで得た部分も大きいと思います。Thirteen13の頃も含めた他のMVも強烈なビジュアルなので、アート作品としても観ていて面白いです。Lady GagaのBad RomanceとかDie AntwoordのFatty Boom BoomのMVを観た時の衝撃を思い出しました。そんなアーティストが日本にも出てきたって個人的にはかなり嬉しいです。彼女がこれからヒットしたら日本社会にも変化が起きそうだな。

歌代さんはモデル活動もされているようです。スレンダーすぎて心配になるくらいですが・・・彼女のインスタも美しく、独特の世界観が作られていてほれぼれします。最初はちょっと怖いなって思ったのは内緒。

「私、インスタは虚像でしかないという認識なんですけど、そこだけでレッテルを貼られがちで謎」

– NEUT Magazine

今日はここまで!アディオス