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NHK大河ドラマ『光る君へ』/『枕草子』

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2024年放送NHK大河ドラマ『光る君へ』および清少納言『枕草子』について取り上げた記事をまとめています。
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記事一覧

【光る君へ】第18回「岐路」

【光る君へ】第18回「岐路」

今回も簡単に済ませたい。

大石先生や制作統括さんは、道隆一家(中関白家)に何か個人的な恨みでもあるのだろうか?道長を少しでも良く描くために負のバイアスをかけなければならないという固定観念にとらわれすぎていないだろうか?道隆も道長も、当時の貴族の常識に則って政を進めていたはずである。

今回描くべきだったできごと伊周の「皇子を産め」暴言ハラスメントは正視に耐えなかった。前回の道隆は病身で余命いくば

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【枕草子】再び、香炉峰の雪

【枕草子】再び、香炉峰の雪


ドラマで作ってくれないのならば「光る君へ」では、『枕草子』のエピソードをあまり取り上げてくれないみたい。宣孝御嶽詣での時は期待したが、あれはまひろにも関わる話だから採用したということなのか。そもそも藤原道隆一家の描き方が雑過ぎ、下げ過ぎと感じる。貴族の傲岸ぶりは道長政権になってからもそう変わらないと思うが…。

嘆いていても詮なきこと。ドラマで作ってくれないのならばnoteで書こう。スキの数など

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【光る君へ】第17回「うつろい」

【光る君へ】第17回「うつろい」

長文を書いて、消した。
思うところはいろいろとあるのだが。

かなふみをひとつ作った。
まずは楽しもう。

「ステラnet」のサイトで定子さまが、「もし(井浦)新さんがあんなふうに責めてきたら、自分の記憶を改ざんしそうですね。」と仰せになられていた。

せっかく素敵な役者さんを呼んでいるのに、演じていてそのような思いを強いる脚本って…どうなのよ。

井浦さんにプライベートで「ヴィラン(悪役)の関白

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【光る君へ】第16回「華の影」

【光る君へ】第16回「華の影」


1030年ごしに窘められる今回は「光る君へ」関連番組から紹介する。

まずは2024年4月20日放送「土スタ」。
藤原道隆役の井浦新さんがゲストで登場。

お話に入る前に流れた、番組スタッフが編集したダイジェスト映像「藤原道隆の歩み」は、主役がほとんど登場しないにもかかわらず見ごたえ十分。さすがは大河ドラマである。

井浦さんは「歩くマイナスイオン」と形容されていた。ひと目見るだけで穏やかで優し

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【光る君へ】第15回「おごれる者たち」

【光る君へ】第15回「おごれる者たち」


次回予告がトレンド入り!「光る君へ」第15回。(2024年4月14日放送)
今回は『枕草子』にわかファンにとって嬉しい内容だった。大好きなごちそうをたくさんいただいた気分。「腹をなでる女王」は出なかったが、よい意味でいっぱいになったお腹をなでたくなる。麗しい俳優さんが大勢登場、画面を美しく彩った。

ききょうの中宮定子拝謁と女房名「清少納言」下賜場面は、SNSでたくさんの人がイラストに描き、道長

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【光る君へ】第14回「星落ちてなお」

【光る君へ】第14回「星落ちてなお」


赤い月、赤い橋2024年4月7日放送「光る君へ」第14回を見た。
前半は藤原兼家の死を描く。
時に狡猾で憎まれ役でもあった兼家だが、強いリーダーシップと政治力で物語の序盤を牽引した。

兼家は息子たちを呼び、道隆を後継者にすると告げ、「今より父はないものと思って生きよ」と命じる。
座る時は何とか自力で動けたが、話し終えて立ち上がろうとするとよろけ、従者の肩を借りて、歌いながら去る。現代ならば車い

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【枕草子】いつもの浦

【枕草子】いつもの浦


『枕草子』謎の一首しほの満ついつもの浦のいつもいつも
君をばふかく思ふはやわが

『枕草子』21段(※)「清涼殿の丑寅の隅の」に登場する和歌である。

(※)段数は角川ソフィア文庫2024年3月刊 河添房江・津島知明訳注本による

「潮が満ちるいつもの浦のように、いつもいつもあなたを深く想っているのは私です」

という意味になるだろうか。角川ソフィア文庫1979年8月刊 石田穰二訳注本では「恋歌

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【光る君へ】第13回「進むべき道」

【光る君へ】第13回「進むべき道」


アイドル登場「光る君へ」第13回(2024年3月31日放送)を見た。

前回、第12回を以て主人公まひろと道長の恋模様、および藤原兼家の権力掌握への道筋の描写が完了。舞台は4年後の990年に移る。

冒頭から成年役(今回は14歳)の藤原定子が登場。
定子さまについてはずいぶん心配していたが、明るく優しく愛らしく、華のある人で安堵した。

というか、出た途端場の空気感が清々しく一新された。第9回で

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【光る君へ第11回】取り返せる失敗、取り返せない失敗

【光る君へ第11回】取り返せる失敗、取り返せない失敗

人生には失敗がつきものである。
誰しも嫌な思い、悔しい思いを重ねつつ進んでいく。

失敗にも種類がある。
自らの努力や思考方法の見直しなどにより、後から取り返せる失敗。
そして、もう二度と取り戻せず、人生が終わるまで影を落とす失敗。

大河ドラマ「光る君へ」第11回(2024年3月17日放送)を見て、そのことに思い至った。

摂政と直接対面?第11回は、花山帝退位・懐仁親王(一条帝)即位により藤原

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【光る君へ】改めて、”直秀”を想う

【光る君へ】改めて、”直秀”を想う


最も成功したオリキャラ?2024年3月3日に放送されたNHK大河ドラマ「光る君へ」第9回で、辻の散楽演者・直秀とその仲間たち、あわせて7名が検非違使役人によって殺害され、遺体が鳥辺野に棄てられる場面が放送された。

この作品では今のところ、男性キャラクターがとても魅力的に描かれている。主人公のまひろがいろいろこじらせているせいでもあるが。その中でも直秀には独特の色気と男気があり、放送が進むにつれ

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大河ドラマ館 はしごの記(石山・武生)

大河ドラマ館 はしごの記(石山・武生)

近年放送される大河ドラマでは、主人公ゆかりの土地で「大河ドラマ館」が作られている。大河ドラマは何だかんだと言われても、今なお多くの人が見る、注目度の高いコンテンツである。舞台として取り上げられる地元にとっては、自分たちの町に広く関心を持ってもらうために格好の手段なのだろう。様々な町で誘致活動が行われていることも頷ける。

『光る君へ』でも、紫式部ゆかりとされる地域で大河ドラマ館が開設されている。平

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【枕草子】よしよしの関

【枕草子】よしよしの関


類聚段改めて「枕草子」を読んでいる。

この作品には「島は」「浜は」「森は」など最初にお題を記し、それに対応するものを次々と挙げていく短い文章が結構多い。専門用語では「類聚(るいじゅう)段」という。

例えば

と、今でもよく知られている寺院を挙げている。

お題の対象は、草・鳥・虫・猫など身近な動植物、星・雲・月など空にあるもの、指貫・狩衣・扇の骨など当時の生活必需品と様々だが、地名や施設名も

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「光る君へ」序盤雑感(第6回まで)

「光る君へ」序盤雑感(第6回まで)

面白い!
面白い!!
面白い!!!

大河ドラマ「光る君へ」は2月11日時点で第6回まで放送された。回を重ねるたび面白くなる。これはマニアにはたまらないだろう。私も『枕草子』に目を通したり、SNSやこのnoteで綴られる意見に気づきを得たり、お腹を抱えて笑ったり、「#光る君絵」タグの作品に感心したりと、日々勉強している。

このドラマは48~49回程度作られるだろうか。それを思えばまだ序盤。あくま

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小迎裕美子『本日もいとをかし!!枕草子』

小迎裕美子『本日もいとをかし!!枕草子』

今回はこの本を紹介する。

爽快!ナゴンさん「枕草子」の有名な段を思い切り現代風感覚に翻案したコミック。Web記事で一部紹介されていたのを機に買ってみたらたちまち大爆笑した。

この発想もまた「空から日本を見てみよう」のくもじい同様ブレークスルー的である。1000年前の古典で、学校授業の教材で、試験に出題される文章…そんな堅苦しさを一気に振り払う爽快感がたまらない。

良く言えば(?)豪快な、悪く

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