Lilaclavender

一風変わった交通手段を使う国内旅行、およびNHKドラマについて綴っていきます。

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マガジン

  • NHK大河ドラマ『光る君へ』/『枕草子』

    2024年放送NHK大河ドラマ『光る君へ』および清少納言『枕草子』について取り上げた記事をまとめています。

最近の記事

【光る君へ】第16回「華の影」

1030年ごしに窘められる今回は「光る君へ」関連番組から紹介する。 まずは2024年4月20日放送「土スタ」。 藤原道隆役の井浦新さんがゲストで登場。 お話に入る前に流れた、番組スタッフが編集したダイジェスト映像「藤原道隆の歩み」は、主役がほとんど登場しないにもかかわらず見ごたえ十分。さすがは大河ドラマである。 井浦さんは「歩くマイナスイオン」と形容されていた。ひと目見るだけで穏やかで優しく、周囲の人をなごませる大らかなお人柄がうかがえた。『枕草子』に登場する「関白殿

    • 続・「暮しの手帖」を読む

      懐かしい寄稿者初期の「暮しの手帖」は、当時の各界著名人による随筆が人気コーナーだった。文壇で活躍する作家・評論家のみならず政治家や科学研究者、メディアで活躍していた人たちも寄稿している。現在も元気にご活躍中の、あるエッセイストさんのお名前の由来も「暮しの手帖」で知ることができる。 1965年発行の第80号から、グラビアページに続く本文用紙ページの頭から15ページを「雑記帳」として、読者からの寄稿にあてた。最初は編集部員のご家族や花森編集長と親しい人に書いてもらい、合間に外

      • 【光る君へ】第15回「おごれる者たち」

        次回予告がトレンド入り!「光る君へ」第15回。(2024年4月14日放送) 今回は『枕草子』にわかファンにとって嬉しい内容だった。大好きなごちそうをたくさんいただいた気分。「腹をなでる女王」は出なかったが、よい意味でいっぱいになったお腹をなでたくなる。麗しい俳優さんが大勢登場、画面を美しく彩った。 ききょうの中宮定子拝謁と女房名「清少納言」下賜場面は、SNSでたくさんの人がイラストに描き、道長まひろ逢瀬以来の大盛り上がりとなった。 さらに、次回予告であの 「香炉峰の雪

        • 「暮しの手帖」を読む(1957-1969)

          私の”幼なじみ”幼い頃、「暮しの手帖」を熟読する子供だった。 文章はほとんどわからなかったが、見出しの大きなアルファベットや数字、台所の流しやコンロの模型の写真、ビタミンの種類を紹介する妖精たちの絵、カラフルな表紙などを眺めることが大好きだった。飽きなかった。 母親は顔をしかめて 「友だちと遊んできなさい」 と叱ったが、同世代の子供は正直怖かったし、どのようにふるまえばよいのか、皆目見当がつかなかった。子供たちの流行り物にも関心が向かなかった。遊びに行かされるたび「早く夕

        【光る君へ】第16回「華の影」

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        • NHK大河ドラマ『光る君へ』/『枕草子』
          12本

        記事

          【光る君へ】第14回「星落ちてなお」

          赤い月、赤い橋2024年4月7日放送「光る君へ」第14回を見た。 前半は藤原兼家の死を描く。 時に狡猾で憎まれ役でもあった兼家だが、強いリーダーシップと政治力で物語の序盤を牽引した。 兼家は息子たちを呼び、道隆を後継者にすると告げ、「今より父はないものと思って生きよ」と命じる。 座る時は何とか自力で動けたが、話し終えて立ち上がろうとするとよろけ、従者の肩を借りて、歌いながら去る。現代ならば車いすを使うところだろう。 剃髪して床に臥す兼家は、妾の寧子と道綱に看取られる。

          【光る君へ】第14回「星落ちてなお」

          【枕草子】いつもの浦

          『枕草子』謎の一首しほの満ついつもの浦のいつもいつも 君をばふかく思ふはやわが 『枕草子』21段(※)「清涼殿の丑寅の隅の」に登場する和歌である。 (※)段数は角川ソフィア文庫2024年3月刊 河添房江・津島知明訳注本による 「潮が満ちるいつもの浦のように、いつもいつもあなたを深く想っているのは私です」 という意味になるだろうか。角川ソフィア文庫1979年8月刊 石田穰二訳注本では「恋歌」とされている。 しかしこの歌は、作者も出典も明らかでない。数百年にわたり無数

          【枕草子】いつもの浦

          【光る君へ】第13回「進むべき道」

          アイドル登場「光る君へ」第13回(2024年3月31日放送)を見た。 前回、第12回を以て主人公まひろと道長の恋模様、および藤原兼家の権力掌握への道筋の描写が完了。舞台は4年後の990年に移る。 冒頭から成年役(今回は14歳)の藤原定子が登場。 定子さまについてはずいぶん心配していたが、明るく優しく愛らしく、華のある人で安堵した。 というか、出た途端場の空気感が清々しく一新された。第9回で退場した直秀以来、久しぶりに現れた”アイドル”である。ここ数回、まひろと道長の関

          【光る君へ】第13回「進むべき道」

          伊那高遠 天下第一の桜

          2023年春、「青春18きっぷ」を買った。 今回は、関東甲信地方でこれまで出向く機会のなかったところへの日帰り散歩を5回しようと思い立った。 そのうち、長野県伊那市高遠に出かけた日について記す。 唱歌「たきび」かつて私は東海道本線東京発静岡行き、常磐線上野発四ツ倉行きなどの中距離普通列車によく乗車していた。1本である程度まとまった距離を移動できて、都心から少しずつ離れていく車窓風景が映画のように鑑賞できる。それをボーッと眺める時に、至上の価値を認める。この乗車目的に対して青

          伊那高遠 天下第一の桜

          【光る君へ第11回】取り返せる失敗、取り返せない失敗

          人生には失敗がつきものである。 誰しも嫌な思い、悔しい思いを重ねつつ進んでいく。 失敗にも種類がある。 自らの努力や思考方法の見直しなどにより、後から取り返せる失敗。 そして、もう二度と取り戻せず、人生が終わるまで影を落とす失敗。 大河ドラマ「光る君へ」第11回(2024年3月17日放送)を見て、そのことに思い至った。 摂政と直接対面?第11回は、花山帝退位・懐仁親王(一条帝)即位により藤原兼家が摂政として政権を掌握した一方、藤原為時が官位と職を失う場面から始まった。

          【光る君へ第11回】取り返せる失敗、取り返せない失敗

          【光る君へ】改めて、”直秀”を想う

          最も成功したオリキャラ?2024年3月3日に放送されたNHK大河ドラマ「光る君へ」第9回で、辻の散楽演者・直秀とその仲間たち、あわせて7名が検非違使役人によって殺害され、遺体が鳥辺野に棄てられる場面が放送された。 この作品では今のところ、男性キャラクターがとても魅力的に描かれている。主人公のまひろがいろいろこじらせているせいでもあるが。その中でも直秀には独特の色気と男気があり、放送が進むにつれて人気が急上昇、幅広い層にファンができていた。それゆえ、突然惨殺されてしまったと

          【光る君へ】改めて、”直秀”を想う

          大河ドラマ館 はしごの記(石山・武生)

          近年放送される大河ドラマでは、主人公ゆかりの土地で「大河ドラマ館」が作られている。大河ドラマは何だかんだと言われても、今なお多くの人が見る、注目度の高いコンテンツである。舞台として取り上げられる地元にとっては、自分たちの町に広く関心を持ってもらうために格好の手段なのだろう。様々な町で誘致活動が行われていることも頷ける。 『光る君へ』でも、紫式部ゆかりとされる地域で大河ドラマ館が開設されている。平安時代が舞台で、ドラマとしての斬新さもあり、昔からの大河ファン層以外にも広くアピ

          大河ドラマ館 はしごの記(石山・武生)

          ドラマ『お別れホスピタル』

          普段忘れがちだが、人間もまた動物の一種である。 たまたま脳が発達して二足歩行で両手が使え、言葉を持ち、知性を得て、作り上げた文明の一員として生きているが、誰でもいずれは老いて衰え、死を迎える。 そのことを改めて思い起こさせるドラマが制作された。 2024年2月にNHK総合で放送された『お別れホスピタル』(全4回)。この月は図らずもNHKドラマを3本(『光る君へ』『ブギウギ』)追いかけるはめとなった。 マームちゃんください第1回の冒頭は、冬の夜明け前の海辺から始まる。 カー

          ドラマ『お別れホスピタル』

          【枕草子】よしよしの関

          類聚段改めて「枕草子」を読んでいる。 この作品には「島は」「浜は」「森は」など最初にお題を記し、それに対応するものを次々と挙げていく短い文章が結構多い。専門用語では「類聚(るいじゅう)段」という。 例えば と、今でもよく知られている寺院を挙げている。 お題の対象は、草・鳥・虫・猫など身近な動植物、星・雲・月など空にあるもの、指貫・狩衣・扇の骨など当時の生活必需品と様々だが、地名や施設名もたびたび取り上げられている。それも本人が直接行けるはずのない、かなり遠方の土地に

          【枕草子】よしよしの関

          85→117 南紀乗るだけの旅

          知らなかったことにする西日本旅客鉄道(JR西日本)は2016年、「気軽に鉄道の旅を楽しめる観光列車を作る」と発表した。2015年に運転を終了した「トワイライトエクスプレス」が高級志向の長距離列車で、きっぷが取りづらかったことを意識した発想だろう。 3年過ぎて、具体的な概要が発表された。 列車名は「WEST EXPRESS 銀河」。新快速用車両として1980年に作られた117系電車を改造したという。 このニュースを見て、複雑な心境を抱いた。 私は寝台急行「銀河」を”愛用

          85→117 南紀乗るだけの旅

          「光る君へ」序盤雑感(第6回まで)

          面白い! 面白い!! 面白い!!! 大河ドラマ「光る君へ」は2月11日時点で第6回まで放送された。回を重ねるたび面白くなる。これはマニアにはたまらないだろう。私も『枕草子』に目を通したり、SNSやこのnoteで綴られる意見に気づきを得たり、お腹を抱えて笑ったり、「#光る君絵」タグの作品に感心したりと、日々勉強している。 このドラマは48~49回程度作られるだろうか。それを思えばまだ序盤。あくまで”にわか”の視点だが、ここまで見て気づいたポイントを徒然なるままに書き連ねてみ

          「光る君へ」序盤雑感(第6回まで)

          宮脇俊三『平安鎌倉史紀行』

          宮脇俊三氏は1980年代後半から1990年代にかけて”日本通史の旅”という企画を手掛けている。日本史に登場する事件や主要人物ゆかりの地に出かけ、現状を見たままにレポートする。講談社の雑誌「小説現代」に連載され、ある程度まとまると同社より単行本化された。 記録によると「魏志倭人伝」ゆかりの史跡を目指して対馬へ出かけたのを皮切りに、13年かけて関ヶ原合戦(1600年)まで進めたが、宮脇氏の体力が衰え、そこで打ち切られた。 「平安鎌倉史紀行」はその真ん中、平安時代・鎌倉時代ゆか

          宮脇俊三『平安鎌倉史紀行』