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わたしの小説

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書きたい時に書いたもの。高校生の日常をひたすら美化しています
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小説:わたし、クリーム中心

高校2年生。
一般的な学生、月曜日、学校に行けなかった。体調が悪いとか、家の用事だとか、休む理由にするには疑われてしまいそうな、そんな理由すら付けられなくて、

今日はむりです。すみません。

とだけ電話越しに振り絞った。今思えば一瞬だったあの沈黙も、受話器を持っている間は、そう、テストを開始する1分前と同じような長さで。沈黙を破って担任は

ああ。わかった。じゃあまた後で連絡す

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小説 夢見心地に彼と。

小説 夢見心地に彼と。

その日はまだ私の席が先生から遠くて、見られにくい席の日だった。
席替えで、今は違うけど。あの席には思い出がたくさんある。

その日、とても暑くて、でも急に暑くなったもんだから、制服を夏服にした人は少ない。そんな日だった。男子はみんな腕まくりをしていて、彼の袖からは部活で酷使しているのであろう焼けた腕が見えていた。
小テストあります。机の上、片付けて。
先生の呼びかけでテストがあることを知った彼。机

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小説 愛ゆえに膜

小説 愛ゆえに膜

今日もまた、一日が始まる。扉を境に外の何とも言えない漂う空気がわたしをそのまま飲み込んでしまいそうで嫌気がさして。
このまま家から出なかったら。親はどんな反応するだろうな。とか。
全然面白くもないのに笑えて、口角は微妙に上がったままだけど、扉はわたしに開かれて開くし、制服のスカートは太ももに張り付いて、ローファーはいつも通り、外の空気を切るように歩く。

むしむし。今日はこの言葉が似合ってる。特に

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小説 三年経ったら

小説 三年経ったら

彼女は僕の3人目の客だった。美容師になって、僕にもお客さんと呼べる人が出来て、それだけで満足だった。彼女は3人目の客だが継続して僕のところに来てくれる、そんな人は彼女しか残らなかった。
彼女が初めて来店したのは三ヶ月前、閑静な街にあるこの美容院に彼女は来た。

今から髪を切ってもらえる。予約はしていないんだけど。大丈夫ですよ。そうなのよかった。

僕の前に座る彼女は携帯を慌ただしく操作する。なんて

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