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第5話 「きっかけは、初恋。」



青春といえば、恋も大切。
恋から学ぶことも沢山ありました。

恋もきっかけがあってこそ。

さて、第5話です。
ぜひ自分の青春とも照らし合わせて見ていただけると幸いです。

タイトルは、「きかっけは、初恋。」


僕の中学生活はシュンスケとの出会いがきっかけで、
いわゆる「陽キャ生活」だった。
 
僕は部活では先輩の誘いもあり剣道部に入り、
プライベートでは空手。
という感じでいかにも坊主スタイルが似合うような
武道ガチガチ人間だった。
 
武道が好きだった訳ではなく
戦うことが好きだった。
 
武道に熱中している側、
ヤンチャをすることにも熱中していた。
 
服装は気がついたら、
先輩に譲り受けた、ボンタンに少し丈の短い学ランだった。
 
そんなよくある不良かと思えば
塾は真面目に通っていて、
5教科で430点がアベレージで
中学1年の時には英検、漢検、数検の3級を持っていた。
学校の授業が面白くなくて良くサボってたな。
 
僕の通っていた中学校は勉強ができれば
服装が悪くても許されるような学校だったので
違反の制服を着ていたいがため、テストは本気で点をとりにいっていた。
 
 
そんなこんな陽キャ生活を送っていたある日。
人生を左右する出来事が起こる。
それは。。
 
 
「ほんきの、初恋」笑。
 
 
僕は歳が一つ上の、カナちゃんという女の子に初恋をした。
カナちゃんは、目がくりっとしていて薄ら化粧もしていて
当時の僕からしたら性格も大人びていて、特に顔が超絶好みだった。
 
カナちゃんに出会ったきっかけは、シュンスケだ。
 
他校の不良が攻めに来た時、
頭として学校を守っていたシュンスケが、
他校の不良にボコボコにされ負けてしまった。
もちろん応援要請があれば、僕たちも行ったんだが、
僕たち5人は、その日学力テストがあって行くことができなかった。
 
本当かどうか未だにわからないが、シュンスケ曰く
シュンスケ:「俺達3人に対して相手、15人だった。」
と言っていた。
 
僕たちは、15人と聞いて申し訳ない気持ちだった。
だから、僕は
僕:「やり返しに行こうぜ。」
といって授業をサボって、やり返しに行った。
 
 
シュンスケが:「俺をやった15人のやつら全員でてこい!」
拡声器を使って他校の校門から大きい声で言った。
まぁ、ものの10秒ぐらいで頭と思われる奴と
サポート役の3人が来た。
 
この中学は不良の数が多い学校で昔から有名。
 
僕たちは不良達恒例の、
「目と目のセッション」
ガンの飛ばし合いを開始し
その後すぐ、
「一方的な感情の自己発信」
口喧嘩を始めた。
 
 
カナちゃんとの出会いはこの時に起こるんだ。
 
 
僕が、サポート役と口喧嘩をしている時
自転車でスーっと横を通っていった女の子がいた。
今でも覚えている、なんかよくわからない高そうな香水の匂いがして
その匂いに、気を取られてしまったのだ。
「いかん、いかん」と我に返ったが
気になりすぎて集中できなかった。
 
 
シュンスケを見ると他校の頭と殴り合っている。。
「そろそろやるか!」ってなった時、
??:「あら、シオじゃね?」
とイケメン風のイケメンでは無い奴が声をかけてきた。
僕:「あっ、タケルじゃん!」
 
タケルは小学生の時、空手の道場が一緒で、
中学になってサッカーをするといって辞めていった奴。
 
タケル:「なにやってんの?笑 喧嘩?笑」
僕:「いやーうちの頭がやられて、やり返しに笑」
タケル:「お前シオのこと知ってんの?」
他校の奴:「しらねーよ」
タケル:「喧嘩しない方がいいぞ、案外強いから。」

タケルの援護射撃もあって僕の喧嘩は無くなった。
 
シュンスケどうなったかな?と思ってみたら
他校の頭とタバコを吸って仲良さげに話していた。
 
という訳で、シュンスケ達には不良の青春をしてもらい、
僕はタケルに、
僕:「そういえば、さっきめちゃくちゃ可愛くていい匂いのする女の子がチャリで通ったんだけどさ」
タケルは食い気味に、
タケル:「それ、多分カナ先輩だわ。めちゃくちゃええ匂いしたろ?笑」
僕:「めっちゃしたわ、お前の学校羨ましいわ・・。」
タケル:「カナ先輩は、皆憧れてるで」
僕:「彼氏おるんかな?」
タケル:「どうなんじゃろうな、噂ではおるって聞いたことあるで!」

僕は、少し残念な気持ちになった。
 
僕とタケルが話しているところに
シュンスケと他校の頭、タイシがやってきた。
タイシとタケルは幼馴染でタケルはタイシの抜けた歯を心配していた。
シュンスケは空気が読めない節があったので、
僕とタケルが話していた事を聞いてきた。
それを聞いたシュンスケは、
シュンスケ:「俺が声かけてやるよ。ついでに彼氏おるかも聞いてみたる!」
となぜか漢気を見せてきた。笑
 
するとカナちゃんがやってきた。
すぐさまシュンスケは
シュンスケ:「こんにちはー。俺シュンスケっていうんだけど、あそこの奴が先輩に興味があるらしく、彼氏がいるか聞いてって言われて・・・」
完全なる裏切りをかまされた。
 
カナちゃんはシュンスケにこう返した。
カナちゃん:「あまりヤンキーとか喧嘩とか好きじゃくて。。」
それを受けてシュンスケが
シュンスケ:「シオー、ヤンキーとか喧嘩とか好きじゃ無いし、お前のこと興味ないってー。」
こいつの頭のコンピューターはイカれているのかと本気で思った。
 
カナちゃん:「私格闘技は好きだし、強い人も好きだけどね。」
となんかカナちゃんに気を使わせたのかフォローされた気分だった。
 
そういってカナちゃんは帰っていった。
 
 
僕はフラれた気分がして元気がなかった。
そんな僕をシュンスケとタケルとタイシが慰めるような言葉をかけてくれた。
シュンスケには結構ムカついていた笑。
 
 
その日家に帰った僕は、
ボンタンと少し丈の短い学ランを押し入れに閉まった。
 
 
ある日偶然の出来事が起こる。
それは塾だった日のこと。
なんと・・・カナちゃんも同じ塾だったのだ。
 
カナちゃん:「あっ!君!この間の」
僕:「あっ、どうもっすー」

嬉しいくせにスカしてた。今考えるとウザい笑。
カナちゃん:「あれヤンキースタイルやめたの?」
僕:「あーあれはあの日だけの服装で、いつもはこんな感じ!」
余裕の嘘をかましていた。
カナちゃん:「そうなんだ、じゃあヤンキーじゃないんだね!」
僕:「ヤンキーにはなれないよねぇ。空手やっているから人殴れないし・・・」

これも嘘。笑
 
カナちゃん:「空手やっているんだ!えー格好いい!そういえば名前なんていうの?」
僕:「背が小さいから中量級ですけどね。シオって言うから好きに呼んでくれたら。因みにカナさんって名前ですよね?」

カナちゃん:「確かに身長私よりも少し小さいもんね。シオね。私はカナだから好きに呼んで、でもさんは嫌かな。」
僕:「んんーじゃあカナちゃんはどう?」

 
そんなこんなで偶然が偶然を起こし、奇跡がおきた。
僕は、正直スッゴイ嬉しかった。
 
 
カナちゃんとは塾の日はほとんど
塾終わりに駐輪場で話したり、一緒にコンビニで買い物して話をしたり、
どんどん仲良くなっていった。
 
 
そんなある日、
シュンスケとまっちゃんに
「告白すれば!」と言われた。
多分カナちゃんのことになるとナヨナヨしている僕がウザかったんだろう。
僕もそろそろかなと思っていたこともあり、
いつもの塾終わりに決めたんだ。
その日の塾は何も頭に入ってこなかったし、時間ばかり気にしていた。
 
そして塾が終わり、いつもの時間だ。
いろいろと今日あった話とか、
格闘技の話とかしていた。
あんまり頭には入ってこなかった。
少し、話の内容が落ち着いてきた時、
僕は言おうとした。
 
「・・・・」
 
カナちゃん:「そういえばシオって好きな人とかいるの?」
僕:「あー好きな人、いるよ。」
カナちゃん:「えっ!そうなん?どんな人なん?」
僕:「えっ、可愛い人なんだけど、一目惚れなんだよねー」
カナちゃん:「私のこと??」

このやり取りは今でも覚えている。
中学生なのに色恋営業のような男の気持ちを読めているかのようだったな。
 
僕:「あっ!なんでわかったん?」
カナちゃん:「全然言ってくれないから先に言ったんだよ。待ってたのに。」
僕:「ごめん、ごめん。今日言おうと思ってて笑」
カナちゃん:「というわけで、今日から彼氏彼女ということで!はい、これあげる。」

カナちゃんは赤と白で編んだミサンガをくれた。当時結構流行ってた。
 
僕とカナちゃんはこの日から
彼氏彼女の関係になった。
 
そこから、
映画を見にいったり、花火大会にいったり、空手の試合の応援に来てくれたり、剣道の試合の応援に来てくれたり、プリクラもいっぱい撮った。
青春絶好調、青春最高!だった。

 
そうこうしているうちに約1年が経ち、
カナちゃんは高校へ、僕は中学3年へ。

 
このまま、続くと思っていたが、そうではなかったな。


 
新学年が始まり
いつもの日々を送っている時
カナちゃんからメールが届く。
 
「別れよう」
 
僕はメールを見た時に固まった。
 
僕は、
僕:「どしたん?理由はあるの?」
と聞いたがなかなか教えてくれなかったが、
何度かメールのラリーをし
ようやく話してくれた。
 
かなちゃん「私は高校生、シオは中学3年。多分高校と中学の差は大きいし、シオには中学3年生という時間を楽しんでほしい」
 
これが、別れたい理由だった。
 
それともう一つあった。
 
かなちゃん:「好きな人ができた。」
多分一番の理由がこれだったと思う。
 
僕は別れたくなかったが、
仕方ないという気持ちにもなっていて、
結局別れることになった。
 
僕は、かなちゃんと同じ高校(県内で2番目に偏差値が高い)
を受験しようと思って勉強していたが、やる気にならなかった。
 
 
ある日、タケルにたまたま会った。
かなちゃんと別れたことを言うと、
タケルは昔から情報通だったこともあり
情報を教えてくれた。
 
タケル:「カナ先輩、今高校の空手部の次期部長の人と付き合っているらしいよ」
僕:「えっ、まじ?誰?」
タケル:「俺が空手やってた時にもいた、ヨシヒロってやつ」
僕「・・・。まじ?あいつと?」

僕は驚いた。
というのもヨシヒロは不良風な、空手も荒く、暴れん坊みたいなやつだったから。
その情報を聞いた僕は、ショックだった。
 
 
タケル:「お前がカナ先輩と同じ高校行ってっていうのも面白いけど、
空手のそこそこの高校に行って、
ヨシヒロを倒すってストーリーも面白いよね。笑」

とあからさまに元気の無い、僕を励ましてくれた。
 
 
僕は家に帰って、自分の部屋で考えていた。
受験用の参考書や、カナちゃんとの思い出も全て押し入れにしまい。
押し入れの奥で眠っていた、
ボンタンと丈の少し短い学ランを取り出した。
 
 
母親に、
僕:「明日から塾はいかない。」
と伝えた。
母はこういった。
母:「なんかやりたいことでもできたの?」
僕はこう返した。
僕:「今は何もしたくないな。」
母は勘繰ったのか、「やりたく無い時は何もしなくていいんよ」
と言ってくれた。

 
僕は、気持ちが復活することなく、塾を辞めた。
空手と剣道だけは辞めなかった。
空手と剣道をしている時は、負の感情が無かったから
居心地が良かったからだ。
 
 
ある空手の道場での練習の時、
リュウこと武田っちと話していた時のことだ。
武田っち:「そういえば、A高校の空手部の顧問が、お前のこと推薦で来てほしいっていってるよ」
3年の時はスポーツ推薦の話が凄い多かった。
僕:「空手のスポーツ推薦かぁ・・武田っちは推薦で行った時どんな感じだった?」
武田っち:「面白いけど、1年はまぁ地獄。サンドバックやし3年は神様やし・・・」
僕:「うわー無理だわ。坊主にせんといけんのん?」
武田っち:「1年は大体坊主やで。意外とやったら風呂楽でええで笑。あと中学と高校では圧倒的な差がある。やっぱり高校は階級も無差別だから小さい者が大きい者倒すと会場沸くしな!」

僕は武田っちの言った
「小さい者が、大きい者倒す。」
という言葉にムズムズしたのだ。
 
 
「圧倒的魅力!」
 
 
さらに脳内でこう変換したのだ。
「1年が2年を、しかも小さい者が大きい者倒す。」
確実に沸くと思い脳内が沸騰しはじめたのだ。
 
 
すぐさま、母親に伝えた。
僕:「俺、空手のスポーツ推薦で高校に行く!」
すると母は
母:「3校から来ているけどどれにする?」
僕:「この中で1年でも試合にでれそうで、そこそこ強いところ、あと坊主にしなくていいところ。」
 
 
この日から
僕は勉強を辞めて、高校での試合に向け
髪も短く切り、スポーツ推薦で入る予定の高校の部活にも練習に行った。
 
 
この人生の選択が、新たなきっかけを生みます。


第5話「きっかけは、初恋。」完

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